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誤字脱字報告ありがとうございます!修正いたしました。

イザベラ様と向かい合ってメイドの方が入れてくれたお茶に口を付ける。


「で、アイリーン、何か、わたくしに言う事があるんじゃない?」


来た!


「イザベラ様、大変、申し訳ございませんでした!間違いなんです!わたくしは、望んで第一王子殿下の婚約者となった訳では無いのです!あの方の隣に相応しいのはイザベラ様です!どうか、わたくしとの婚約が発表される前に、イザベラ様と第一王子殿下との婚約になんとか変更は可能でしょうか」


そうわたくしは捲し立てた。

イザベラ様からの反応は無い。

しばらく、沈黙がその場をしめていたが、突然


「プッあははは!おかしい!もぉ〜駄目だわ」


イザベラ様が笑い始めた。


「プッ意地悪な事言ってごめんなさいね…プププ」

目に涙を溜めながら笑いを堪えているイザベラ様


「イザベラ様…わたくしが憎くは無いのですか?」


「あら?なぜ、わたくしがアイリーンを憎むのですか?」


「イザベラ様が第一王子殿下の筆頭候補だったではないですか…」


「あああ…腐れ縁ね」


イザベラ様は、お茶を一口のみ、落ち着かれます。


「わたくし、ずっと、ジル殿下の筆頭候補が嫌でしたの。やっと、この役目からも解放され、わたくし、アイリーンに感謝しておりますのよ」


「えっ?」


「小さい頃から、お前は国母となるのだ!泣く事は許されん!大声で笑うな!他人に、心を悟らせるな!お父様に沢山のお言葉を頂いたわ。

でも、本当は、大きな声で先程みたいに笑いたかった、芝生を裸足でかけてもみたいし、勉強だって本当は嫌だったの。友達と語り合いたかったわ。

でも、家の為と今まで我慢してきましたの。

社交に出れば、周りはゴマすりばかり、お友達と呼べる方など居なかったのです。わたくしは、いつも1人でした」


そう、イザベラ様は悲しそうに笑います。


「もし、あのまま、わたくしに婚約が決まってしまっていたら、わたくしはお父様の一生駒のままでしたわ。確かにジル殿下は素晴らしいお方。小さい頃からずっと一緒にいましたから、いつか、この気持ちが、恋に変わる事もあったかも知れません。ですが、わたくしは、きっと1人だったと。頼れる友も居ない、本当の心を打ち明ける人も居ないわたくしは、いつか、ジル殿下が全てになってしまったでしょう。そして、いつしか、わたくしを見てほしいと願ったと思いますわ」


だから、止めてくれた貴女に感謝していると、そうイザベラ様はわたくしに仰いました。


「アイリーン、わたくしは、貴女と友達になりたいと思っているの。命令とかでは無くて、断ってくれても大丈夫です………わ……」


不安そうに仰るイザベラ様。


イザベラ様が、悪役令嬢になってしまった原因が分かった気が致しました。

ずっと、お1人で耐えていらしゃったのですね。

ここは小説の世界では無い。それは、分かっている。

でも、わたくしは、前世で見た小説の続きが見たい。

メインの人達には関わりたく無いと思っていた。

遠くからその物語りを第三者の立場として見ていたかった。関わるなどご法度。

この方が、悪の道に染まろうが、どこかで、関係ないから、わたくしは続きが見たいからいいと思っていた。


でも、あの日、第一王子殿下に出会ってしまった事が

全てを変えてしまった。


わたくしは、この人を、悪の道へと突き飛ばせるのか…

1人は寂しいと、吐き出し、僅かに震えているこの方を…


無理だわ…。


そうなれば、わたくしが答えられる答えは1つだけ。


「喜んで!わたくしで宜しければ!」

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