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「本日はよく、いらっしゃいました
わたくし、イザベラ・デュセ・カラベルですわ」
素敵〜!!
本物のイザベラ様は、容姿端麗、声も素敵とは!
わたくし、もう、痺れて、痺れて、悶えてしまいそうですわ!
この燃えるような赤い髪、少し吊り上がりキツそうな目、ぷるっとした唇!
是非、その口で罵って下さいませ!
もう、何もかもが完璧…
その思考わずか2秒程、にこやかな笑顔を浮かべわたくしは淑女の礼をとり
「本日はお招き頂き誠に光栄でございます。わたくし、アイリーン・ゼン・クワノスです、以後お見知り置き下さいませ。そして、これは、ほんのお気持ちでございます。イザベラ様のお口に合えば良いのですが」
「まぁ!」
イザベラ様の眉が上がり、目が開かれる。
来た来た来た来た来たきたーーー!!
そこで、この、わたくしに、こんな物を差し入れ致しますの!って罵るのです!
「わたくし、このジャムと言うものを食べて見たかったのですわ!アイリーン様ありがとうございます、こんな素敵なプレゼント、大事に食べさせて頂きますわ」
あれ?
イザベラ様は凄く嬉しそうに、わたくしの持ってきた物を抱えていますわ。
そして、ハッと気が付いた!
誰しも最初っから悪い人はいないわ。
もしかして、コレは、小説でも語られていなかったイザベラ様ではないかと、わたくしは気が付いたその瞬間
目をコレでもかと開き、そのお姿を脳裏に焼き付けようとした。
「アイリーン様?大丈夫ですの?」
イザベラ様は少し引かれた様子でわたくしを呼びます。
「大丈夫でございます、イザベラ様が可愛すぎて、わたくし少し魂が抜けておりましただけですわ。それとわたくしの事はアイリーンとお呼び下さいませ」
そうわたくしがおっしゃれば、ボッと火がついたが如くイザベラ様のお顔が真っ赤に染まっていきます。
「何を仰っているのですか貴女は!」
眼福です!
ありがとうございます!
「ゴホン、では、アイリーンと呼ばせて貰いますね、わたくしの事もイザベラと呼びなさい、さぁ〜こちらでお茶を飲みましょう」
「勿体ないお言葉ですが、わたくし如きがイザベラ様を呼び捨てなど…出来るはずがございませんわ。なので、心を込めて…ええ…愛を込めてイザベラ様とお呼び致しますわ」
「勝手になさい」
イザベラ様はそう言うと、わたくしをお庭へと案内した。
公爵家のお庭は、王宮と同じぐらい素敵なお庭でした。
1つ違うのは、そこに桜があった事だった。
あれ?このお庭…。
わたくしは、そのお庭を見た事がございました。
幼き頃、ここで、イザベラ様と第一王子が一緒に遊んでいたと、小説で読んだ事がありました。
その時、何かが起こったはず、わたくしはそれをすぐには思い出せません。
考え込んだわたくしを、イザベラ様は気付かず呼びます。
「こちらでしてよ、早くいらっしゃいな」
わたくしは、後ろ髪を引かれるようにその場を後にし、イザベラ様の方へと向かいます。
あれ??
「今回は、他の人を呼んでおりませんの、わたくし、アイリーンと2人でお話したくて」
今回のお茶会はイザベラ様と2人っきりでした。