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好きにさせてみせる

好きにさせてみせる

好きにさせてみせる


なんて、素晴らしいお言葉でしょう!

本来このお言葉を聞いたのなら、わたくしの耳は痺れ、ずっと耳の奥にそのお言葉がこだまし、頭はお花が舞ってお祭り騒ぎになった事でしょう。


ただし、それが、自分へ向けられた言葉で無ければ。


「お嬢様、お嬢様、お嬢様!!」

アンの声で意識が戻る。


「アン?」


あああ…夢だったのね!

そうよね、わたくし、ずっとこの屋敷にいたのですね!

な〜んだ、安心致しました…


「お嬢様、先程帰ってきてから、ずっとボーッとしてて心配致しました。それ程までに、殿下は素敵でしたか?まさか!お嬢様…恋に落ちた…とか?」


「ゆ…」


「ゆ?」


「夢じゃなかったのですね…」


私は目に涙を溜め、悔しそうにその顔を顰めその場に崩れてしまいました。


「アン…大丈夫よ、確かに、素晴らしいお方でしたわ。けれども、わたくしは、恋に落ちませんでした」


「えっ!?そうなのですか!?5年前にあのお方の婚約者を決めるのが延期になって、国内中の御令嬢が婚約者を決めず、待っていたのに!お嬢様、何が駄目だったのですか?」


「駄目とかでは、無いのです。アン、わたくしは自分が第一王子殿下と一緒にいる想像など生まれて1度もした事がありませんの。それよりも、他の方と第一王子殿下とのラブストーリーが見たいだけ!」


「お嬢様と殿下とのラブストーリーではいけないのですか?私は、凄くお嬢様と一緒にいる殿下が見たいです」


アンのその言葉が物凄く羨ましい。

ジト目でアンを見つめながら言葉を言う。


「わたくしは、アンの立場が良かったのです。誰が好き好んで、他者から嫉妬と憎悪を向けられて喜ぶ人がいるというのです。それに、わたくしは伯爵令嬢です。身分もギリギリ第一王子殿下と並べるぐらいの位置なのです。

絶対、嫌がらせがありますわ。わたくしは、そんなの嫌!負けてしまいますわ!涙で枕が濡れない日など無いわ。そんな嫌がらせを笑って迎え撃てるのは、わたくしが尊敬する、イザベラ様しか無理ですわ!

だから、アン、その位置変わってくださいませ」


「無理ですね!私が殿下の隣に立つなど、明日隕石が落ちるより確率が低いです!」


アンはいい笑顔でスパッとわたくしを斬り捨てます。


「それに、お嬢様であれば、嫌がらせも他者からの憎悪も嫉妬も嬉々として楽しむと思うのは私だけでしょうか?」


「アン、わたくし、どんな、マゾなのですか?」


「えっ?違うんですか?」


「わたくしは見る専門で、自分が受けるのは専門外です!!!!!」


アンはハイハイと言い、わたくしにお茶を出します。

落ち着く為にそのお茶を手にし、口をつけた瞬間


「アイリーン!!大変ですわ!!コレ見て!!」


そんな言葉と共に母様が顔を青くしながら、わたくしの部屋に入って来られました。

その手には、お手紙が握られています。


わたくしの試練はまだまだ終わらない。

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