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「な、な、な、何をなさるのですか!第一王子殿下!」
わたくしは、慌てて手を引っ込め、殿下を睨む。
「えっ?何をって僕の初めてのキスだけど?」
可愛いどこかあどけなさが残る顔で、彼は悪びれず答える。
「それは、わたくしにすべき事ではございませんわ!」
「君が婚約者なのに?」
うぐっ!
「なぜ、わたくしが第一王子殿下の婚約者なのですか、もっと相応しい方々が沢山いらっしゃったのに、なぜ、よりにもよってわたくしなのですか!?」
「君が良かったんだ、アイリーン嬢!」
そう言い、はにかみながら、殿下はわたくしを見る
ぎゃぁぁああああああ!!
顔がいいから、ダメージがキツイですわ!!
イザベラ様もこの顔にやられましたのね!
分かりますわ、この顔は、犯罪ですわ!!
世の女性がメロメロになってしまいますわ!
ただ、1つ申したい!
何故、わたくしに言うのです!
わたくしは、言われたいのではないのです!
ただ、見たいのです!!
「アイリーン嬢は、僕との婚約を望んでいないのは分かってる」
しょんぼりとしたお顔で俯きます。
そのお顔を見て罪悪感がわたくしの心を満たしていく。
でも、だって、見たいのですもの。
それが、わたくしの生きる意味だと言っても過言では無いんですもの。
確かにお家の為に婚約する事も覚悟はしておりました。
でも、殿下では無いのです、名も知らない誰かがいいのです。モブはモブ同士結婚して、物語をみたかったのですもの。1人心の中で、自分の心を吐いていく。
うん!はっきり断ろう!殿下もわたくしが嫌がっているのを知ってそうですわ、殿下から陛下にやっぱりイザベラ様がいいと仰って頂ければ、それで、丸く収まるはずですわ!
「第一王子「まぁ〜それでも良いんだけどね」」
えっ?さっきのしょんぼりした顔が一瞬で無くなりそんな声が聞こえて来ました。
「まだまだ、結婚まで時間があるんだ、その間に、僕の事絶対に好きにさせてみせる、覚悟してね!アイリーン嬢」