13
殿下に連れられてやって来た場所は、
見渡す限りの沢山のお花が咲き、鮮やかで、静かに流れる川は、わたくしの心を癒す音を奏でる。
その場所の真ん中には、お茶が飲める様に、鑑賞出来る様にとテーブルと椅子がひっそりと置いてある。
こ、こ、こ、この場所は!!!!!!
感動に打ちひしがれて、心が震える。
殿下がいる事を一瞬で忘れ、わたくしの頭にあの小説が流れていく。
悪役令嬢と婚約が決まった殿下は、お気に入りの場所に連れて行き、
「気に入ってもらえたかい?いつか、君をここに連れて来たかったんだ」
そうそう!その言葉よ!!
そして、殿下は、今までは幼なじみとしてだったが、これからは婚約者としてお互い支え合っていきたいと言って手の甲に初めて口づけをするんだよね!
イザベラ様はその時、自分の恋心に気が付いたと
のちに牢獄の中で語られる。
そして、あの時がなければ
わたくしは殿下を好きになる事は無かったと
そして、涙を流しながら、恋するが故に暴走してしまった自分の行いを見直すのです。
そして、あの日の殿下のかけられた言葉、殿下を思い出し
ようやく、この恋も終わりなのですね…
お慕い申し上げておりましたと牢獄の中1人涙を流すのですわ!
ああ〜そのイザベラ様を作ったと言っても過言では無いこの場所に!!いま!わたくしが!立っている!!
クスリと笑う声が落ちて来たと思えば、わたくしの手にキスが落ちて来ました。