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屋敷に着き、わたくしの部屋へと駆け込んだ。
アンが驚いた様子でわたくしを追いかけて来たが、そんなの気にしていられない程、わたくしは動揺していました。
えっ?
えっ?
ええええええええええええええええええええええ!?
なんで?なんで?なんで?
なんでですのぉ!!!???
ヒロインを抱きしめるのは王子だったはず、
確かに、確かに、確かに!!
アラン様が抱きしめておりました、そのお姿も
わたくしにとっては眼福でしたとも!
ええ、それは、もう、あの瞬間を見られたのは、素敵でしたとも!
驚き、一瞬見つめ合う2人
アラン様のお顔は残念ながら見えませんでしたが、ヒロインのお顔はバッチリでした。
もう!あの場面そっくりでしたわ!何もかもが。。
小説でも、相手のお顔は書いてありませんでしたもの、その出立ちと後ろ姿のみ、だから、わたくしは、あえて、お顔が見えぬ場所で見ていたのです。
なぜ、王子だと分かったのかは、後から後日談の所で明かされているのですよ!
【あの時、助けてくれたのは、王子だったのです】と
なので、わたくしは近付いて来た少年を王子だと思ったのです。
ですが、ですが、ですが!!
なぜか、王子はわたくしの後ろに居ました。
冷や汗が止めどなく出てくる。
大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫!
バレて無いはず!
もし、バレていても知らぬを通して見せますわ!
ガッツポーズを取るわたくしを、残念な目で見るアンに気が付かないまま、わたくしは意気込んだ!
絶対に、回避してみせますわ!
わたくしは、モブがいいのです!