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一か八かの死の賭けに

 覚悟を決め、遼太郎は深呼吸をする。そして、目を開き、男をじっと見た。

 顎は効かなかったが、多分、いや、絶対、男ならあそこだろ。

 砂利は使わない。多分、投げている途中であの鞭に刺されてTHE ENDの未来しか見えない。

 遼太郎は、少しずつ距離を詰めていった。距離は九メートル、八メートル、七メートルと縮んでいく。

 伸ばせば鞭が当たるであろう距離まで迫った。

 次の瞬間、鞭が、顔を霞める。遼太郎は、鞭に触れる。鋭い鉄の刃が手に食い込み痛みが走る。だが、指が落ちるほどの鋭さはない、予想した通り、これは振りによる速度で斬りつけたり、先端が鋭いことで突き抜けることはできるかもしれないが、振りもない場合は、そこまでというか血が出る程度である。死ぬことと比べれば軽い。

 力勝負。明らかに遼太郎の負けだと思われた。しかし、次第に男の力は弱っていく。効いていなかったと思われていたパンチは、時間が経つにつれじわじわと効いてきたのだろう。

 こうなれば、遼太郎のターンである。

 出る血は気にせず、痛みに負けず、力一杯、鞭を引っ張る。

 そして、足が届く所まできて、思いっきり蹴った。男の急所と言えばいいだろう。……玉、金の玉、ストレートに言えば、ゴールデンボール略して金〇。

 さすがに効いたようで男はうずくまり泡を吹いていた。

 少女が出て来て、


「その勝ち方は予想してなかった」


 と、少女は驚きの表情を見せた。明らかに主人公というかこういう試練で、こんな勝ち方と言うのはなんというか、うん、アウトなのだろう。


――パロディなんてないし、からあげ〇んをおばあさんに投げてない、〇玉を蹴っただけ。せ、セーフ?


 なんてことを考えながら、少女を見る。もの珍しそうに遼太郎を見ていた。そして、少女は、


「これまでの契約者とは違う、面白いことになるかもね」


 そう呟いた。だんだんと思考が遠ざかっていく。

・・・

「彼には伝えたのか?」

「?」

「契約者は一年以内に結婚、もしくは婚約の証として接吻をしなければならないということをだよ」

「多分、伝えた」

「伝えてないだろ」

「うん」

「どうするんだ?」

「あいつに一年以内に付き合える人なんていない」

「そうか、初詣に一緒にいたお嬢ちゃんともしかして、あるかもよ」

「聞くけど、あんな勝ち方をする人に彼女ができると思う?」

「勝つためなら仕方ないんじゃない?」

「そんなの関係ない」

「彼女出来る出来ない以上にちゃんとそういうことは伝えておかないと知らないままはダメだよ」

「うん、わかった」

「ほうれんそう」

「うるさい」

「逆ギレ?」


 少女はパッと姿を消した。

 三つ編みをした若い男性はそれを見て、


「心配だな」


 と呟いた。

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