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きっと、いつかは  作者: 深月
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妹のハマりもの


悪役令嬢なるものが流行っているらしい


そう言ってひどく真面目臭い顔で梨香子が携帯を差し出してくる。


「夏菜ちゃん、これ見て」

ずずいと眼前に迫るそれを押し返す。

「知ってる、妹が鼻息荒く見てた」

え、と瞬く梨香子に苦笑を返しつつ、で?と聞き返す。

「面白いの、それ」

「んー、あたしは好きか…じゃ、なくってー。もう、わかってるくせに」

ぷくっと膨らませた頬と相まって小柄な梨香子はリスみたいで可愛い。


私もこうだったら…


「そんなに悪役令嬢に見えるのかしらね」


吊り上がった目じりに色素の薄い髪、女子にしては少し高い身長。


「あたしは夏菜ちゃんみたいになりたいよっ、モデルさんみたいだもん」


ため息交じりにうっかり口に出ると、梨香子が慌てたように褒めてくれる。

地毛の私と違って、ミルクティー色に染めた髪を毛先でカールさせている梨香子は事あるごとに私のことを羨ましがってくるけれど、悪役令嬢っぽいことに関しては否定していないことに気づいているのだろうか。


「そもそも、あいつが悪いのよ。」

窓の外を見ると、校門に向かって進んでいく生徒の列の中が見える。

その中に目当ての人物を見つけて、梨香子が怒っている理由がわかった。


優希……


「夏菜ちゃんさ、木村くんとまだ、付き合ってるよね?」

「…そうね、まだ、付き合ってるわね」


彼と、そして腕を組んで歩いていくカノジョを見送りながら、多分だけれどと付け足しておく。


「そもそも、始まってすら、いなかったのかもね」


きっと、彼にとってあのことすら、些細な日常な一コマだったのだろう。







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