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碧空の下で 01  作者: 安曇 穂高
01. 日本にいた頃
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碧空の下で 005

  戦争が始まって1週間が経った。今はロシアのウラジオストクにいる。これからシベリア鉄道でモスクワに行く予定だ。最初に車両の中を見て思ったのが、やたらと長いこと。

 シベリア鉄道の列車に乗り込み、しばらくすると、隣にカナダ人で、同い年のジェシカがすぐ隣に座った。今までに見たことのないほどの美貌の持ち主である。彼女曰く、日本でいう中学生のとき、コンテストで優勝したそうだ。

 列車が発車した。車窓の風景を眺めていると、ジェシカが「カナダみたい」と言った。ロシアもカナダも、どちらも冷帯や寒帯にある国だから、似ていて当然の事だと思う。地理の授業で見たタイガは、これのことだったのかよ。


(ちなみに淳は英語だけは英検準1級を持っており極端にできるが他の科目、特に数学は全く振るわない。)

以下は会話のログである。


「ジェシカ、僕には相談したいことがある。」

「淳、何でも聞くよ。」

「日本が戦争になって、この場所に逃げてきた。国賊だとして命が日本政府から狙われている。あなたの祖国、カナダに匿ってほしい。」

 こう言うと、ジェシカは快諾し、母に連絡を入れた。そして、ジェシカの母は、これを承諾の意思表示をした。

 モスクワの駅にジェシカとともに降り立った。彼女はこんな情け無い僕をも受け入れてくれたんだ。なんて優しい女性なのだろう。

「モスクワでどこを観光しよう、ジェシカ。」

「私は赤の広場、聖ワシライ大聖堂に行きたいの。」

「僕は、赤の広場と、楓の広場に行きたいな。」

「楓の広場って何かしら。まさかカナダのこと?」

「そうだよ。」

「え、難民申請する気なの?」

「そもそもは、1ヶ月前に第2次日中戦争の火蓋が切られ、そこにアメリカが介入したことなんだ。そこで中国がミサイルを日本めがけて発射してきていつ死ぬかわからないから、日本海を漁船で横断して渡ってきたんだ。難民申請するよ。」

「じゃあ、私と一緒にカナダに渡ろうよ。お母さんも受け入れに了解したし。」

「受け入れてくれてありがとう。」

そう駅から赤の広場への道のりで話したのだった。

 一方で、日本では、淳の両親に対して召集令状が届き、そして大阪から奄美群島向かって飛行機に乗って戦っているという。ただ、この後中国軍に銃を30発ずつ喰らって、そのままなくなったと後で聞いた。

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