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碧空の下で 01  作者: 安曇 穂高
01. 日本にいた頃
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碧空の下で 004

 驚くような情報を北陸号の車内の新聞の一面から発見した。

 「尖閣諸島の沖合で日本と中国が衝突、ついで八重山諸島で戦闘」という小見出しが踊っている。

 まじか。75年続いた平和が一瞬にして瓦解したのだ。ここに第2次日中戦争が始まったのだ。

  戦争が始まった。ラジオでは戦線は奄美大島だという。颯大はカナダ大使館に駆け込んでカナダに行ったという。二重国籍を持っていないので自力で行くか。

 家出して、寝台列車「日本海」(京都-新潟)に乗り、新潟駅に着いた。途中、新潟県内では昼は日本海が望めるという。しかしながら、家出なのでなるべく遠いところまで行かないといけない。よって観光は不可能だ。ここから新潟港に向かい、船を貸してくれる人を探そう。梨沙ではなく。

 これを探すのには暫くかかりそうだけど、政府から学徒動員の政令が定められているので、拘束されないか不安だ。

 にしても、また沖縄戦の悲劇の再来か。先月行ったばかりの沖縄への修学旅行で、ひめゆりの悲劇や、ガマの中での地獄絵図をこれでもかと見てきた。自国の政府に対して怒りが湧いた。もうこの国を去るしかないのだろうか。そう言うと、逮捕されかねないので、誰にも言えない。どうしようか。

 新潟に着いて3日経った。新潟には、笹団子、南蛮エビなどと名物には事欠かない。日本列島を開発した、あの田中角栄の地元でもある。

 新潟港に立ち、漁船に乗せてもらえないか交渉をする。

「すみません。船を貸して頂けないでしょうか。」

「どこまで?」

「ウラジオストクです。」

「俺もウラジオストクに行きてえ。」

  ご好意に甘えて、地元の方の田中豊栄さんにに漁船に乗せていただき、共にウラジオストクに向かった。

田中さんはこれからウラジオストクの海域で操業するのだという。この後は、観光して船で帰るのだという。

  三日間、船の修理を手伝った後、ウラジオストクに到着した。これから駅に向かう。数分も立たない内に「ロシア号」が到着した。さて乗り込もうか。

 淳が日本海にいるところで、東安威中学では、「大阪君が一週間いない。」と茨木先生が声を上げていた。担任の茨木が家庭訪問した模様だ。あの怖い鬼教師が家に来るなんて、非行や犯罪でもしない限りないぞ。

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