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碧空の下で 01  作者: 安曇 穂高
01. 日本にいた頃
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碧空の下で 002

 

 この日は、大雨だった。もう10日も行方不明になっているという。もう打つ手がほとんど残されていない。ということで陸と春花の家を訪ねたが、残念ながら、インターフォンの音に応じることはなかったのだった。なんて使えないやつなんだ。

 思案を巡らし15分、山手さんの働く十日市駅に行き問い合わせることにした。そこは最寄りの鉄道線の駅なのだから。大阪線と京神線の両方が乗り入れ、使い勝手が良い。ただ快速急行とかは通過するけど、まあここには目を瞑ろう。

 ずぶ濡れになった制服を着て十日市駅に着くと、牡丹色の列車が颯爽と通過して行った。三宮行きの快速急行だった。この時、これも停車してくれと思った。大阪線のホームに行くと、梅田行きの列車が停車していた。慌てて乗り、15分寝ていると、茶屋町だった。茶屋町の改札を通り、外へ出ると、見たことがあるような顔の人がいた。そう、神戸という名字の双子と、陸、さらに颯大がそこにいた。

「聞いてほしいことがある。」

「なんだ。」

「梨沙が拉致された。どこにいるか分からない。早急に見つかるように、共に探してほしい。少なくとも、1人より5人の方がいい。」

「いいよ。」

 このような会話を交わすことに躊躇など存在しなかった。

 そこから京都へ行き、梨沙を探しつつ本を買う。そこには、北陸地方鉄道が米原や岐阜に走り、また信越鉄道と太田電鉄が直通運転するイメージパースがあった。さらに、三駿電鉄が名鉄と直通運転するという情報もあったのだった。

 あの後の日曜日、北陸地方鉄道京都駅で日曜の朝7:30に5人の間で待ち合わせした。

その日は、大阪線島本行き、本線の特急「みやこ」鞍馬行きと乗り継いだ。やはり百円払って有料特急に乗り、着席するのは快適で爽やかだ。そのような薫風かおる列車は最高といえるのだ。

さて、京都駅に着いた。ほかの4人も揃っていた。横を見ると、近江線の部分開通を記念する行事が行われていた。それに気をとられそうになったが、梨沙を探しているので、足早に通り過ぎ、乗車券を買う。

本線のホームに向かうと、最新の車両、10000系が待っていた。快速急行敦賀行き。

「トンネルを抜けると、そこは琵琶湖が絶佳たる近江国であった。」とでも表現すべき車窓が見えるのも魅力だ。

 錦織、今堅田、南小松、新旭と停車していき、車掌が暗い表情で案内した。

「本日、野口、疋田間で猪に接触してダイヤが著しく乱れた影響で、この列車は今津止まりに変更させて頂きます。ご迷惑をお掛けしますことをお詫び申し上げます。なお、振替輸送をJR湖西線の近江今津、敦賀間で実施しております。」

 我々5人も今津で降り、暗澹たる面目でJR近江今津駅に行き、振替乗車で敦賀まで行く。

 あの敦賀か。小学校の社会科見学で行ったことがある。とろろ昆布の工場だったっけ。あと、越前カニの市場も見学したな。5人の思い出の地、でも去らないといけない、10分後には。

 そのあとは金沢方面向かって進むのだ。なにせ、並行在来線の北陸本線よりも早くて安い。場合にもよるが、時速150km/hで走る。富山でも直江津でも乗り換えなしというのは大きな魅力。JRも昔は同一ホームで乗り換えだったのになあ。

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