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アルベルト=アインフォード

一話目からブックマークを付けて下さってありがとうございます!

やはり読みたいと思ってくれる人がいるのは執筆の励みになるので、とてもありがたいです。


面白いと思って下さったら、ブックマーク、評価等をよろしくお願いします!



 ・・・実力行使、できなかったよ…。


 いや、仕方ないんだよ。所詮一介の自室警備員にすぎない私には、お城から離れたところにある魔法学校にいるアルに対して何もできないし。手紙を書こうとでも思って一日に三枚のペースで書いてみたはいいけど、アルに届けてくれる人がいない・・・。


 今の私にできることなんて、まだ見ぬ相手を呪うくらいしか・・・


「たるっ!? たるたる!」


 いやいや、信用してくれないかな、クリスよ。さすがにそんな人として終わってるような真似には手を出さないって。簡単に人のことを恨んではいけませんと、前世でも今世でも母から口を酸っぱくして言われているのだよ。

 まあそれに、攻略対象って5人いるから、まだ誰を恨めばいいのか分かんないっていうのもあるし。


「た-るたる・・・。」


 恨む気満々じゃないかって? そりゃあ私からアルを奪おうとする人なわけだし。

 簡単には・・・・恨まないけど、ちゃんとした理由があるんだからセーフなはず。


 アルが連れてくるようなことがあったら、小姑のごとくいびってやりますよ。・・・むしろいびりかえさされる可能性もあるけど。だって私、引きこもりな脆弱根暗女だし・・・。


 言ってて悲しくなってきた。はあ。



 ふう、ちょっと前世での情報を整理してみよう。おそらく、この世界は乙女ゲー+ギャルゲー+戦略ゲーである『アインフォード王国記3』の世界だ。

 名前とかでそう判断してるから、ひょっとしたら違う可能性もあるけど。


 ここで、乙女ゲー+ギャルゲーってなんだよ! と突っ込みが入るところだろう。だって凍る炎アイスファイヤとか暗闇の輝きシャイニングダークみたいな矛盾した言葉だし・・・やだ、ナニそれかっこいい。


 と、そんなどうでもいい話はさておき。『アインフォード王国記3』が乙女ゲー+ギャルゲーと呼ばれる所以は選択式主人公にある。

 このゲーム、なにをトチ狂ったのか男五人、女五人のメインキャラクターの中から主人公・・・というかプレイヤーキャラとなる一人を選べるのだ。当然、選ぶキャラによってストーリーはガラリと変わる。


 ちなみに、メインの攻略対象が五人というだけで、隠し攻略対象だったり専用の攻略対象だったりがさらに何人もいる。


 

 しかも、このゲームはシリーズ物なのだ。3とあるように、『アインフォード王国記』には1も2もある。1と2は割と正統派のRPGだ。


 1では戦乱の時代に生まれた主人公が、仲間とともに国を作るまでのお話。

 2では、復活した魔王を主人公(1の主人公の息子)が倒すまでのお話。


 そして3では2の主人公の息子アルベルト含め、10人の男子男女が学校に通いながら恋をはぐくんでいく物語。


 ・・・2と3の間に何があったし。




 さて、話をアルのことに戻そう。

 このゲーム、かなりシナリオが充実している。その中でもアルベルト=アインフォードという人物には前作の主人公の血縁ということもあり、かなりの力がそそがれている。



 そして鬼畜難易度である。



 このアルベルトという人物、プレイヤーキャラとして選んだ場合は特にどうということはないのだが、攻略対象キャラとして見ると、好感度を上げるのが非常に大変なのである。しかも、それと同時に一つ大きな特徴を持っていた。


 告白イベント、というものが存在する。要するにルートを決定するための物なのだが、その時点の好感度、周囲との関係によって成功か失敗かが決まる。失敗してしまった場合、対象からの好感度ががた落ちしたり、周囲からの反応が変化する一方、成功すれば専用ルートに入れて共通ルートよりも当社比1.7倍くらい甘い話が繰り広げられるのだ。

 告白イベントの成功の目安は大体50くらいだと言われている。が、アルベルトは好感度がマイナスだったり、よっぽど周囲から嫌われていない限り告白イベントが成功する。

 実際、会って最初の選択肢に『一目ぼれしました。私と付き合ってください』という選択肢が出現し、それを選ぶと一気に卒業式まで飛ばされエンディングを迎えることができる。


 通称、『TASさんでなくても10分で見れるエンディング』。オープニングをスキップすれば最短2分で見れるらしいけれども。

 いわゆるネタエンディングというやつなのだが、アルベルトの性質を見事に表している。


 つまり、アルが求めているのは愛ではなく、国母としての存在だけということなのだ。

 ふふふ・・・ヒロインどもよ、私ろアルの仲を引き裂くことなんて早々できることではないのだよ?



 まあ、そんなアルベルトなのだが、当然いくつかエンディングがある。

 大体の傾向だけれど、好感度が0~50ならばお飾りの妻エンド。この時、ただの政略結婚という形ではあるけれども主人公とアルは結ばれる形となる。ただし、アルの細かい事情は分からない。『ただ、愛のない政略結婚だったのだ・・・。』という一文でエンディングを迎えることになる。ハッピーエンドみたいなバッドエンドなわけだ。


 好感度が51~70だと逆にあなたのそばにこれ以上いるのがつらい、と言われて主人公とアルが結ばれることはなく、どこかの適当な貴族と政略結婚をするという形になる。この時も、アルの細かい事情は説明されない。バッドエンドだけれども、ハッピーエンドの兆しが見えるだけさっきのよりかはマシなのかもしれない。


 好感度が71を超えると、アルの方から事情・・・つまり私のことを打ち明けられ、あなたを真に愛することはできないかもしれないけど、それでも傍にいてほしいと言われるようになる。

 ・・・されど、この状態になるとどこかから大量の妨害が入り(誰がやってるのかな~。全然分からないや☆)一歩間違えればデッドエンド一直線という状態になってしまう。



 その上で好感度が100になると、過去の恋は忘れ、今は君しか愛していない、という状態になる。

 こうなると、国では内乱が起こったり、原因不明の疫病が流行ったり、さらに大量の嫌がらせが起きたり、レイチェル(つまり私)と直に対面したり、どこかからか刺客が襲って来たりと(いや~誰がやっているのか、皆目見当もつかないね☆)ハードルがさらに上がる。




 ・・・あれ? 考えてみれば特に何もしなくてもアルが私を愛してくれているという事実は変わらない?

 


 私がプレイしたときも、アル狙いでやったからその艱難辛苦の道のりは知ってるよ? まず好感度50まで上げるのが苦行ってレベルでつらいよ?

 ぶっちゃけ、ゲームだったからセーブ&ロードで何とかなったけど、プレゼントしても好感度が上昇しない、最適な選択肢を選んだところで好感度の上昇幅がほんの少し、そもそもイベントの機会がやけに少ない(今にして思えば、長期休みはこっちに帰ってたからなんだろうけど)、スペックが普通に高くてそのくせ相手のいいところは素直に見つけるとかいう完璧超人じみてるから人格面での付けこむ隙がほとんどないエトセトラエトセトラ・・・。現実でこれを達成できるのはまずいないと思う。


 にもかかわらず、好感度50以下で専用ルートに入ると、なぜか余計に好感度を上げるのが難しくなるというね。



 そして好感度をなんとか50まで上げて専用ルートに入ったところで、今度は好感度の上昇減少が激しくなるという罠が。

 少し選択肢をミスって好感度が40を下回ると、また上げる前の状態に逆戻りするから・・・。五時間くらいセーブしないでぶっ続けでプレイして、最後の方眠気とかで朦朧として適当にやってたらいつの間にか好感度下がってて、そこからだと取り返しがつかない状態になってて泣く泣くやり直したのはいい思い出だったなぁ・・・。

 上がるにしても、好感度が70を超えると大量の妨害が起こるようになるし・・・。


 

 あれれ? これは私はただ引きこもっていればいいだけの話なのでは?

 あとはアルが会うであろう五人のキャラの中によっぽどの超人が混ざってなければいいだけだし?



 ・・・とりあえずは、アルの様子を見つつ、静観と行こうか。



         ◆ ◆ ◆



 なんだかんだで三年がたった。

 もうすぐ魔法学校を卒業するはずだというのに、アルの浮ついた話はほとんど聞かない。

 ・・・いやまあ、情報を得る手段もアルからだけなんだけど。


 とはいっても、もしアルが本気で恋をしているのだったら多少なりとも態度に出るはず・・・つまり、アルは特に変化がないなら好感度51以上の奴はいないんじゃないかな~なんてのんきに思っていたのだ。



 だからアルからその話を聞いた時は驚いた。



「・・・え? 私のことを婚約者に紹介するの?」

「ええ。やはり彼女にもレイのことは知っておいて貰わないといけませんから。」

「えっと、ということは相手も私とアルの関係を知っているってこと?」

「そうですよ?」


 何か不思議ですか? といった表情でアルがこちらをのぞき込んでるけど、私の頭は思考の奔流で一杯一杯だった。


(相手に私のことを説明するのは好感度が71以上の証・・・ひょっとして、かなりヤバい状況なのでは!?)


「たるー(レイは一つ大事なことを忘れているねーの意)」



意外と進みが遅くて四話じゃ全然終わりそうにないです・・・。

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DREAM WORLD~2つの世界が交差するとき~
ほのぼの男子が相棒のりんご(うさぎ)とともにVRゲームの世界を満喫するまったりとしたお話しです。
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