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サンデー猟師、異世界にコピーされる  作者: 鳥野葉霧
村の暮らしもサバイバル
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27.もうバレた!

「町のハンターさおねげぇしたども、銭こが足らんでの、親猪しか駆除ば出来んで

その後も畑ば荒らされたでな。落穂も山んもんも全部かき集めただが、このありさまじゃ。

そこで寝とるアンの家も、かか親もざんざ苦労しとったが、年が明けるめぇに

おっちんじまってなぁ・・・

うちのんも春にゃおらんで、じさまも不憫におもうてなぁ、自分ば喰うもんも喰わんで・・

とうとう、のうなっちまった・・・

村のもんも生きるんに必死だでな、他人を構う余裕なんぞもう残ってねぇだよ

今日の人の弔いは・・・明日の自分の弔いだでな・・・」


・・・全米が泣いた。


「ほんに、ヤオ殿、助かりました。ありがとうごぜえやすだ。」


「いえ、それでミラちゃんは・・・」


「あれには苦労さかけるだけんどな、年期は5年じゃで、ことすあれは13じゃ

ことすと来年さ頑張っておら働くで、仕事ばさはじまる15までには

返せるかもしんねでなぁ・・・」


「不躾な質問だとは思いますが、いったい幾ら・・・」


「借りたのは8両じゃ、身請けするには10両・・・

長の家に生まれたんじゃ・・・村を守るんにゃ・・・仕方なかろうて

・・・

こりゃ話がえろうなごうなりまして・・・

もう夜もふけてますだ

ささ、客間に布団が用意してごぜぇますだ、なんもありませんがお休みなさってくだせぇ」

ルイは目の涙が溢れないように立ち上がった。


「ありがとうございます。もう少し火にあたらせて頂いてから、休ませてもらいます。」


ルイは(ミラ)を抱えて寝室に向かった。


・・・・・・・・・・・・


囲炉裏では熾きが赤々と輝いている。

八尾は柴をくべる。

暫くの間、熾きの上で耐えていた柴は、白い煙を出し始めると次第に黒くなり、

パチパチと音をたててオレンジ色に燃えだす。

細い柴を一本、また一本とくべていく。


「10両・・・か、換算で幾ら位なんだろう?そもそもこの世界の貨幣価値って・・・」


ふと視線をずらすとアンと目が合った。


「起きたのか?、アンって言ったっけ?」


まずっ目が合っちゃったっ、そうそう、今の私はアンだ。


「お、おはようございます」 ・・・まだ夜中だ

「ア・・アンです はじめまして。やおにぃちゃさん、でしたっけ?」


「腹減ったか? なんか作ろうか?」


ぐぅぅぅぅぅぅぅ ・・・


「ふははは、お腹で返事したか よしなんか作ろう。」


干し肉を出して囲炉裏で炙り始める八尾。

ポチの鼻がひくひくしている。


外は寒いし面倒くさいのでペットボトルから水を鍋に入れる。

そして米を入れて粥を作る。


干し肉が焼けてきたので、手で割いてアンに渡す。


「あ、ありがとう」

わぁこれ、これジャーキーって奴ねっ。ふんふん、この香りは燻製なのかしらっ

それともこの囲炉裏で炙ったからなのかしらっ。

ん?ちょっと固いわねっ。んん、ん?んー丁度良い塩味に噛むと鹿の甘みが広がって・・・

お・い・しーーー

なかなかやるじゃないっ。

しかし人の食べ物って言うのは、いつも見るだけだったけど素晴らしいわねっ。

味と言うものは概念で知ってたけど、百聞は一味に如かずってこのことなのねっ。


八尾が鍋に入れた米が焦げ付かないようにかき混ぜ始める。


「アン、ここのお金について教えて貰えないかな?」


お、お金?知る訳ないじゃないのよっ。

こっちの「わーるど」は面白くないからなにも調査してないわよっ。

ええと・・・そーだっ

「私の家は貧しかったし、お金についてはあまり知らないの・・・」

うん、これで良いわっ、確か家に何もなかったし、お金には縁がなさそうだし子供だし


「そうかぁ そうだよなぁ うん、もっと干し肉焼くか?」


よしよし、なんとかなったかなっ?

干し肉・・うんそうそうアレ食べてみたいっ。

「あ・あたしねっ、コショウが掛かった方のジャーキ食べたいっ」


ん?なんか八尾が難しい顔してる。

もう無いのかなっ?


「タケルっ?あれ?もう無かったっ?」


八尾は立ち上がって言う。


「アン・・・・お前は何者だ?」


え?なんでっ?なんでジャーキの話がそっちに飛ぶのっ?

突然どうしちゃったのっ?

これは・・・「いにしあちぶ」を取った方が勝ちねっ。

高々現地人の一人や一人、なんとでもごまかせるわっ。

すっと立ち上がるアン。立って視線を合わせて力量を図るのだ。 ・・・獣か?


その時異常に気が付いた。

立ち上がった時に視線は八尾のみぞおちだった。

目を合わせるには顔をかなり上に向かなければならない。


八尾も気が付いた。

膝までのワンピースが床に付く位になっている。


「「ちいさくなってる!?」」


アンは体を回して自分を見る。

でも自分では小さくなったこと以外わからない。


八尾が一歩寄る。

頭のてっぺんを凝視する八尾。

髪の毛の付け根が濃い紫色に変化していた。

一本抜いた。


「ちょっ、なにすんのよっ、痛いじゃないのっ」


どうやら染めては居ない。

抜いた髪の毛をアンに見せる八尾。


「だ、大丈夫か?・・・び、病気か?」


アンは髪の毛を見ると青ざめて、

「ちょっ、ちょっと端末貸しなさいっ」

八尾の前に回り込むと「端末」を開いた。


・・・全部バレた


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