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145/146

145.魔改造は程々に

昼過ぎに村の皆には村長の家に集まって貰う事となった

八尾達は何セットかの玩具っぽい弓矢を事前に持ち込んである


頃合いになるとぞろぞろと村の衆が雁首並べて集ってきた



「その弓矢だば、サル用なんだべぇか?」

「サルっこさぁすばしこいだで、こげな弓であたるわけねぇべ、それにあの矢ぁ、あれだば痛くも痒くもねぇでねえか?」

「いやいや、石ころ投げたり棒切れ抱えて追いかけ回すよりなんぼかましやないか?」

「おら四十肩で石っこさ投げるのキツいだでなぁ」

「おめぇさま、いくらなんでも四十肩はサバをよみ過ぎでねぇか、とおに赤いちゃんちゃんこ着てるでねぇか」


「まぁまぁ皆の衆やぁ、まんずは見てもらわん事にゃ始まんねぇだか、なぁ八尾どん」


ルイの家の庭に出ると、既に的として台の上に置かれた壊れた桶が置いてある

べるでがそれを軽く射る


矢はビヨヨーンと緩やかな放物線を描いて飛んで行く


「おぉっ」


村人から感嘆の声があがった


コッ カランカラン


桶が落ちて転がる


「おぉーっ」


続け様に2射3射で転がった桶に追い討ちを掛けた


「こりゃ面白そうでねぇか、どら、オラも一丁」


と村人も用意してあった見本の弓矢を手に取る


「やっしゃー中ったでー」

「ありゃぁこりゃぁまた難しいもんでねぇかぁ」

「おめさ、随分下手っこでねぇか、ハハハ、どれおらにも貸してみろ」


と大の大人が取り合いに成って試している


「おとぅ、おらにも貸してけろ」

「おらにも、おらにもぉ~」


子供も群がり始めて収集がつかない


「こっちに材料が有りマスので作れる方は作って下サイ」


すると皆それぞれに竹を選びだして削り出した

簡単な造りなので割と直ぐに出来上がる


「矢の先にタンポを付け忘れ無いで下サイ」


数は少ないが矢の先端につける緩衝材も用意してあるので紐で括るだけで完成だ


「おめ達、帰ぇったらおっかぁに追加を作って貰うだな」

「おとぅ、後で篠竹さ切りに行くだ」


子供達は目をキラキラさせながらせがんだ。


その後、猿が来るたびに村人が一斉射撃をしたおかげか、人が畑にいる間は猿も来なくなった


・・・


「パンパカっぱーんっ、それでは第31回的当て大会開始しますーっ」


アンは高らかに宣言する 

弓は村でブームになり、あちこちで大会というなの娯楽が開催されている

今日は出場者3名という八尾の家ローカルな大会だ


「三射毎に交代して30m先の的に一番当てた人が勝ちよっ」


30m先に置かれた桶に当たるとコンと言う良い音が鳴る

矢羽根も付いてないので精度は悪く、当たったり外したりと逆に楽しい


次第に熱が入る


弓を魔改造したものに持ち替えて射り出す


「てぃっ」


アンは貼り合わせで強化した弓を使う

矢は緩い放物線を描いて桶に当たった


パキッ


とうとう桶の底が割れて転がった


「えいっ」


べるでは滑車が付いた弓で慎重に狙いを定めて放つ

びゅっ っと音を立てて矢が走る


矢はタンポを突き抜け桶の側に刺さった


「威力ありすぎだろソレ」

「威力は正義デス」


八尾はボウガンを構えて矢に火縄を近づけてから射った


白い煙を引きながら飛んで行った矢は バシッ っと音を立てて桶の側に突き刺さる


ボカーン


桶は跡形も無く爆散した べるで謹製爆竹の威力である。


「うははははっ 凄い、跡形も無くなった」

「これは凄い使い方デス、でも爆発迄のタイムラグが課題デスね」


「あんたらいい加減にしなさいよっ、人には散々言っておいてっ」


八尾はアンに耳を抓られたまま家に連れて行かれた

これから反省会と言う名のお説教タイムだ


・・・

その時、ゴルノ村を見下ろせる尾根の上では黒い影が様子を伺っていた


やべぇ、なんだアレは

ちっこいオヤツらもチクチクする奴を持ってやがると思ったら、あれはやべぇ

まじやべぇ あれは洒落にならねぇ

ここのオヤツ場所はダメだ あれはやべぇ


たまたま縄張りを巡回していた片眼の熊は尾根を超えること無く元来た獣道を戻って行った



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