表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/146

135.そしてゴルノ村へ

「おおーぃ、ヤオにーちゃ、ヤオにーちゃだっ、ヤオにーちゃが帰ってきてきただ」


ゴルノに差し掛かると与作が手を振って走って来る

後ろからポチが追い越して来た


ゴンっ


「ごふっ、、、いたたたっ、何すんのよこの馬鹿っ」


両手を広げてしゃがみこんだアンにポチが走って来た勢いのまま飛び込んだ


「ポチ?デスか?」


ポチはべるでに気が付くと腹を見せて寝転んだ

べるではポチの向きを正すとオデコをペチっと叩くと


「飛び込むと危険デス、メっ」


ポチはばつが悪そうにしっぽを丸めて伏せのポーズをとる


「ポチっあんたねぇ、もう子犬じゃ無いんだから加減しなさいよっ」


と顔を揉みしだく 次第にポチのしっぽはパタパタと揺れ始めた


「さぁもう一息だ、帰るぞ、ゴルノに」


与作は村の皆に帰還を知らせに走って行った

ポチは八尾達の周りをぐるぐると嬉しそうに走り回る

やっとゴルノに帰って来たのだ


・・・


ゴルノ村の村長、ルイは少し老けたように見えた

帰還の挨拶と報告を済ませると我が家に向かう

夕方から慰労会をするとの事なのでそれまで休憩をする事となった

与作は罠の見張りに戻って行った


畑には苗が延び、小麦は収穫が間近と成っている


「コココッ、ココッ、コココッ」


薄茶色の鶏が地面を啄んでいる


「ピヨピヨっ?これあのピヨ達なのっ?」


既に若鳥となってしまい短いヒヨコ時代の面影は少ない

アンは若鳥に寄って行くが警戒されるようでにじり寄っても地面を啄みながら距離を取られている


「ほれ、餌」


八尾はアンの手のひらにパン屑をザラッと載せた

よく見るとパン屑だけでなく煎餅やクッキー屑まで入っている

ちゃぶ台やビニールシートにこぼれた食べかすをちょくちょく集めていたのだ

八尾はパトローネケースにふっと息を吹きかけ静電気で張り付いた残りの滓を吹き飛ばしてストレージに仕舞い直した。


「ほらほらっご飯よっ」


パラパラと少しずつ鶏の目に止まるように撒くと警戒しながらも餌を啄み始めた


八尾は家の雨戸を開ける

小さな縁側に日の光が入り、少しだけ積もった埃を照らし出す

縁側に腰をかけてそのまま倒れ込むと高めの天井が見える、帰って来た実感が沸いた


ふと見上げると死んだような目をして嫌な表情を顔全体に出しているべるでが居た


「なになに?ゴキブリでも居たの?」


起き上がって部屋をのぞき込むが特に変わった所は無い


「オネェサマっ!」


と怒っているような泣きそうな悲鳴に似た叫びを上げた


「どーしたのよっ?」


と餌をやって一通り鶏と戯れたアンがやってきた

もっと餌をくれと言わんばかりに鶏もついてきた。

アンは部屋を見て同じ様な顔に成った


「何?何か変なの?」


縁側に座っている八尾は目の前の二人を見て、背中でゴキブリでも潰したかと縁側を見たり背中を気にしたり、、、


「べるでっ行くわよっ」


と勝手口に回る


「あぁっ、こっちもっ、ええぃっ、べるでっ撤去っ」


風呂桶だったと思われる木材をべるでが庭に運び

アンが寝具をその上に置いた

そのまま燃料ボトルから灯油をかけると火を付けた

後からべるでがバケツや桶に水を入れて運んで来た


「一体どーしたの?ダニでも居たの?」


「タケルは知らなくて良いのよっ、それより畳を干してっ、畳っ」


やれやれと思いながら畳を外に出した


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ