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134.野営で固茹で卵

野営地は混んでいた


片隅に安い4人用のテントを張り夕餉を作る


石を組んで竃を作り焚き火を熾す

テントのそばではべるでがガソリンの入ったボトルにポンプを付けている

ポンプを付けたら何回かか動かして加圧する

金属製の筒状五徳を開いてホースをねじ込む

ポンプ側のつまみを少し回してガソリンを五徳下の皿に溜める、、、ガソリンがで出てこない


つまみを閉めてホースを取り外すとペンチでジェネーターに刺さっているワイヤーを前後させた

その後、底面のネジを外し、中のジェットを取り外すと夕焼けにかざす。どうやら煤で詰まっているようだ、細い針金で小さな穴をつつく

細い穴が貫通したことを確認したら再度組み立ててガソリンを出す

今度はチョロチョロと出てきて皿に溜まる

半分ほと溜まった所でつまみを戻してガソリンを止める


バードアイマッチを石で擦って火を付け、皿に近付くけるとボッと言う音と共に火柱が上がり燃え出す


メラメラと燃えている炎が消えそうになる頃につまみを開くとコーっと言う小さい音と共に青い炎が出た。


やかんを乗せると程なくしてお湯が沸いた


べるではつまみを捻って火を消した。


「火力調節が出来ない所が漢の子っぽくって可愛いデス」


「あんたの趣味は良く解らないわねっ、ガスで良いのよっカセットガスのでっ」


「いやいや、液燃こそ一生モノで」


「あんたはいったい同じ様な一生モノを幾つ持ってんのよっ」


「そんなに無いぞ、そのファイヤージェットだって一個しかない」


「マナスルは大中小各一個でシタよ」


「MSRシリーズなんてコンプリートしてるじゃないっ」


「万一の時の予備とかバックアップとか代替品とか、、要るだろ?」


「エンジニアの業がかなり深いわねっ」


「でも今回増えて無かったし?」


「減っても無かったわよっ、交換パーツだけ製造年が新しくなってたけどっ」


「流石、向こうも俺だけあって万全だな、大体だな、アンだって町の金物屋で火打ち金を3つも買ってたじゃ無いか」


「あ、あれは人数分よっ」


「はい、ソロソロ3分たちまシタよ」


3人はゾゾゾっとカップの天ぷらソバを食べ始めた

天ぷらの先入れと後乗せで談義は続き夜も更けていく


・・・

夜も更けてテントの中でうつらうつらとしていた


「あれっタケルはっ?」


ふと気が付くと八尾の姿が無かった


「夜番デス、さっき呼ばれて行きまシタ」


「四番っ?この夜中に野球やってるのっ?」


「寝ぼけてマス?見張りデスよ」


「あぁっ、夜番、夜回りねっ」



・・・


川辺では篝火が焚かれている

パチパチと火の粉が舞う


八尾はそこから少し離れた所で火縄を回していた


何人か他にも種子島所持者が居るのか、時折遠くで赤い火が円を描きながらクルクルと回っている


「今日はホンモノが居るから安心だなぁ、なぁおい、あんちゃんよぉ、ソイツは弾出んだよなぁ、まぁその火縄の煙だけでも獣が避けるってんだから大したもんだ」


「出るよ?あぁ、アッチは火縄だけなのか」


よく見ると火の輪は篝火の直ぐ近くで回っている

本物なら口蓋が閉まっていても火の粉の舞い散る中では危なかろう

八尾の種子島には火薬も弾も入れていないので、単なる鉄の棒みたいなモノだが、素人臭く見られるのがイヤで篝火からは離れている

そもそもフリントロック式なので火縄も要らない


「今日はあんちゃん入れて2丁って聞いてるが、この間なんて弓師すらいねぇの、竿とヒモだけでよ、穴熊出ただけで蜂の巣つついた騒ぎで賑やかだったぜ」


男は苦笑いで語りかける


「あんちゃんはレソの話は聞いてっか?」 


「あぁ42人だったとか、ホントなのか?」


「それがよぉ、良い方向でデマだったってーぇ話でよぉ」


「やっぱりか、イタチじゃ有るまいし根こそぎやるなんて事は無いと思ってたんだ」


「熊の奴がなんども襲って来たってんでハンターが怖じ気づいてずらかっちまってさぁ、村人もそのまま逃げ出したってよ。

だから5,6人らしいぜ、まぁ逃げてる最中に狩らちまった奴もいるだろうがなぁ、奴さんらはバツが悪くてしばらく他の村に行ってたとかよぉ、全く情けねぇ話じゃねえかね、おっと、ソロソロおらっちは交代の時間だ、じゃ、後よろしくなっ、鉄砲のあんちゃん」


八尾は再び視線を対岸にやる

火縄は左手の中指と人差し指で外向けに挟んでいる


「5、6人ねぇ・・・・」


うっかり顔に近づけてしまい、目に涙が貯まる


「煙が目にしみるぜ・・・」


火縄の煙はイガラっぽい、タバコの煙よりキツかった


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