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132.シヤルスク銃砲 再び

「あー全くもう酷い目にあった、まだ耳がキーンとしてるよ」


八尾達は射場をあとにして銃砲店に向かっている

時折菓子店等を冷やかしながらダラダラと歩く


「あはははっ、だからごめんってっ、まさか撃つ人が居るとは思わなかったのよっ」


「1個2銀として卸値が6掛けでええとデスね」


歩いているので、べるではソロバンを出せなかった。


程なくしてシヤルスク銃砲に到着したのだった


「いやいやいや、いらっしゃい、なになになに、射場いったって?、動的撃った?ねっ動的どうだった?、たのしかった?」


矢継ぎ早に返事も出来ない


「行ってきましたがね盛況でしたよ、試し撃ちだったんで静的だけでしたけど」


「そう、そりゃぁ残念、でも盛況だったんだ、うれしいねぇ、動的のおかげで東射撃場も赤字脱却だって言うし万々歳だよ」


「へーっ赤字だったのっ?」


「そうそうそう、おかげで息子さんも射場で働けるようになったって、婆さん喜んでたよぉ」


・・・


「で、カクカクシカジカで、このイヤウィスパーを

お店で売って貰えないでショウか?」


「なになになに?なにこれ?これが耳栓?、へーこれがね、ふーん、柔らかいねぇ、一個サンプルで試して良い?、うんうんうん、ほー話し声は良く聞こえるね」


パン、パン、パン


と柏手を打つ


「ほー、これは良いねぇ、野郎どもが欲しがって?、うんうんうん、そうだろうなぁ、これはいいねぇ、うん、これはいい、で、買い取る?それとも委託?買い取りなら55、委託なら46だよ、一つ幾らで売れる?」


「ええと、1つ3銀売りでとりあえず買い取り50個どうですかね?」


「うんうんうん、買い取りね、買い取り、そうするとええと、半額の75銀だけと、委託の90銀の方が結構お得だと思うんだけど、買い取りでいいの?ホント?うんうんうん、判った判った、じゃ買い取りで処理するね」


とりあえず即金が欲しかった八尾は買い取りでお願いした。


・・・


長家に戻って一休憩だ

べるでがお茶を淹れて、アンが帰り道で買った草餅を食べる


「ボロ儲けねっ、まさか1銀値あげるとは思わなかったわっ」


「まぁ泡銭みたいなもんだがな」


「定期的には卸せませんデスか」


「需要マスが小さいからなぁ、今日だって射場に居たの10人位だったしなぁ」


「売れて年間50セット位と言う事デスか」


「コレって消耗品でしょっ?返して貰った奴も耳垢まみれだったじゃないっ?あれ再利用しないでしょ?」


「洗って使うのでは無いデスかね?」


「何回か使うと戻りが悪く成るじゃないっ?洗うと戻りが良く成りすぎてスポンジみたいに成っちゃうし」


「シリコンオイルを垂らすと復活しなくもないけどな」


「うわーっ、耳がネトネトしそうっ」


「まぁ兎も角買い取って貰ったおかげで黒色火薬はストック出来たし良かったよ、もう厠の床下に潜る必要もない」


八尾は遠い目をして黒色火薬の原料集めをした日々に思いを馳せる


「デスね、抽出するのも目に滲みて大変でシタ」


べるでも遠い目をして思いを馳せる

大変だったのであろう。


「それにしてもこの草餅、すーっとした口触りが美味しいわねっ」


「ヨモギが効いてるよね、縁側で食べたい感じになるな」


「昨日のタクアンでも同じ事言ってまシタね」


「借金も無くなったし、ゴルノに帰るか」


アンはゴルノの小屋に思いを馳せる

縁側からの庭、その先の畑、苦労した元肥撒き

そして鶏とポチ


「ポチにも早く会いたいデスね」


アンは付箋だらけの『シヤルスクの歩き方』を横に置いた


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