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131.ライフルの掃除は面倒

八尾はX-Boltの銃身にミルフォームを充填している

これはライフルの銃身にこびり付いた煤や銅を取り除く薬剤である


缶を良く振ってから薬室にチューブを差し込み、ノズルボタンを軽く押す、ジワジワとヘアフォームみたいな泡が銃身を満たしていく

先端からポポッと先走りの泡が飛び出る

そのままジワジワと注入していくと連続した泡が銃口からニュルっと出る

そこで八尾は注入を止めた


同じように機関部に紙でマスキングをしたBar3とM94にも注入する

こちらはボルト銃と違い薬室側からブラシを通せないので養生しないと機関部に汚れが散って後が大変なのである。


5分位待って薬剤が汚れに馴染んだところでボアガイドと言うボルト部分に差し込むツールを入れてクリーニングロッドに付けられた真鍮製のブラシを往復させる。

競技銃の場合にはブラシは薬室から銃口方向のみと言う繊細な方法も取ると言うが、猟用でボルト式なのでお構いなしに往復させる。

往復と言ってもブラシ部分が完全に外に出てからだ、中で反転させると結構傷に成ったりするのだ。

自動銃やM94等は薬室からロッドを通せないので、マズルガードを付けてロッドを差し込む

銃口に傷が入ると精度が落ちるので十分注意してブラシを往復させる。

非常に面倒くさい作業である


その後、マカロニと呼ばれるVFGのフェルトを通して汚れを落とすと真っ黒に汚れが付いてきた


銃口を覗くとライフリングの谷部分が銅色に輝いていた


もう一度、ボアフォームからやり直すとフェルトは青黒い感じになった


3回目にフェルトの汚れが薄ら青くなり、銃口を覗くとやっと銅がとれたようであった。

パーツクリーナーで薬室周りのボアフォームを落として軽くWD40を吹いたフェルトを通した


他の汚れもWD40で落として完了である。


「さて、仕上げをしようか」


レシピが合わなかった弾を捨て弾として2発撃つ

これは銃身の中の油を落とす為と言われるが、パーツクリーナーで落とした場合と比べてバラ付きが少ないので、油だけの問題でも無さそうである。

いずれにしても猟では初矢が一番重要であるので、一発目の精度は高いに越したことはない。


慎重に気に入った弾を撃つ

狙い通りに中った事を確認するとまた掃除をする


最後に2発捨て弾を撃ち、乾いたボアスネークを通して煤を払いゼロインは完了した。


これで猟の初弾から狙い通りに中るハズである。


「別に猟用なら少し位銃口に傷が入っても構わないんじゃないのっ?ブラシは往復させてるのにっ?」


「銃口は見られたら素人臭くてみっともないでしょ?銃身は覗かれないから大丈夫」


結構、人目を気にする八尾であった。


・・・

「おぅ、あんちゃん達よぉ、その鉄砲すげぇ音出すじゃねぇか、耳ぃでぇじょうぶかよ?」


厳つい男達が銃架に置いてあるライフルをしげしげと見ながら話しかけてきた。


「これよっ、コレ、耳栓使ってるのよっ」

「あっアン、何すんだよ」


アンは八尾のイヤウィスパーを取り外して男に見せた


「ほぉっ、どれどれ」


男はゴツい指でコネコネして耳に入れた

シュッ、バーン

突然種子島の音が響いた

誰か射台で撃ったらしい


「ほぉっ、おらっちの耳栓に比べっと随分と良いもんだな、何処で買ったんだ?」


男は何事も無かったように会話を続けた


「今度シヤルスク銃砲で売る予定デスよ」


「ほぉっ、声は良く聞こえんだ、ありがとよ、ほら返えすぜ」


「よかったらそれはあげるわよっ、試してみてっ」


アンは差し出された耳垢まみれのイヤウィスパーを見て答えた

八尾はまだ耳を押さえいた。


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