129.ライフルの弾は自分で組む
明日は射場で試し撃ちをする事となり、八尾はライフルの弾を作っている
市販の装弾も有るのだが練習用のフルメタルジャケットだったので、シエラの弾頭とラプアの薬莢で猟用の弾を作るのだ。
薬莢は既に面倒臭い前処理がされていたので雷管を装着する。
LEEのプライミングツールに雷管を置いて横に振り向きを直す
散弾の雷管と違いカップ型なのでサラサラと振れば向きが揃うのだ。
雷管トレーの蓋を閉めてレバーを動かすと一つ目の雷管がセット位置に送られる
薬莢を付けてレバーを握りしめると程よい抵抗感で雷管が装着された。
一つ一つ装着された雷管を確認して作業時に薬莢をまとめて置くためのリローディングブロックに置いていく
そしてリローディングマニュアルを見て火薬の種類と量を推定していく
リローディングマニュアルとは言え、特定のライフルでの測定値なので、ピッチと銃身長から自分の銃に合わせたセットを出す必要がある
火薬の計りは電子式だったのでキャリブレーションが必要だ。
0.1グレインは凡そ6.48ミリグラムなので非常に繊細な測定が必要となる。これには専用の計りが必要である程度専用の高級品が安心である。
計りが水平に成るように足を調整し、電源を入れて回路が安定するまで待つ、付属の重りを載せると案の定、微妙なズレが有ったので設定モードにして付属の重りをセットして合わせた。
八尾は少なめの値から0.5グレイン毎に5発、40発の火薬を入れていく
火薬の量は少なすぎても多すぎても危険なのだ。
少ないと異常燃焼を起こすと言われ、多すぎると圧力が上がり過ぎてボルト破損が起こり死の危険すらある。
ましてや火薬の取り違えなんぞ以ての外である。
全ての薬莢に火薬を入れると上から覗き込んで、入れ忘れが無いか確認した
万一忘れると雷管の力だけで発射された弾頭が銃身の中で止まり非常に危険なのだ
猟などで興奮してると二発目を撃ってしまい銃身破裂で手指が吹き飛んだりするのだ。
次にリロードプレスにシーティングダイを付けて弾の長さが規定値に収まるよう何回か調整する、
これもベンチレストと言う長距離を数発撃ったグルービングを争う競技等では銃の薬室からキッチリ計ったりもすると言うのだが、此方は猟用なのでソコまでの精度は求めていない。しかし、規定値より長すぎるとランドタッチと言う弾頭がライフリングに喰いついた状態となり、これも異常高圧が発生する危険性がある。
一発撃って大丈夫でも皆さんご存じの金属疲労で次は駄目かも知れない。無理は禁物である。
後は流れ作業で次々に弾頭をセットし、火薬の量を弾頭か尻にマジックで書けば完了である
やり出すとキリが無いのであるが、猟用としては100mで野球のボール位に集弾すれば良いので火薬量とネック(薬莢の弾頭が嵌まる所)がある程度仕上げられれば良いのだ
とは言え500円玉程度に纏まると狙う時の安心感が高いので精度が高いに越したことは無い。
弾頭の重さ違いと薬莢違いで何セットか作っていたら深夜に成ってしまった。
後片付けをしていると何やらゴソゴソと物音が、、、
べるでがお茶を淹れてくれた
どうやら全く眠く成らないそうで、あれってそんなに効き目あったかなぁ、プラシーボ効果じゃ無いのか?
とか思いながら潤んだ目にやられた八尾は朝日が登るまで寝られ無かった




