第30話 それぞれの思惑
30話です^^
視点がちょくちょく変わりますorz
すみませんっ^^;
ああ、アリス、アリス。
愛しいアリス。
綺麗な黒髪、しなやかに伸びた四肢。
長い睫毛に縁取られた瞳は、開けば強い光を秘めた漆黒なのでしょう。
狂った愛と呼ばれても、歪んだ愛と呼ばれても。
私は彼女を愛してる。
その愛は何よりも深く、誰にも止められない暴走へと変わるでしょう。
でも、私を狂わすのはその少女なのだから。
泣いても叫んでも怒っても果てても、アリスだけは放さない。赦さない。
ずっと欲しかったアリス。
もう、絶対に離さない。
永遠に私のモノとなりなさい、アリス。
ああ、愛しいアリス。
「たくさん、たくさん可愛がってあげる……」
愛らしいその全てが、私のモノ。
☆★☆
ようやく手に入れた、女王陛下へのお土産。
本当ならば私のそばに置き、愛でてやりたいところだが、そういうわけにもいかない。
早速女王陛下に差し出してきた。
猫には、少々手こずった。
それにしてもあいつ、本気か。
アリスを護るなどと戯言を抜かし。
そんなの所詮幻想でしかない。アリスは、我々を選んでなどくれないのだ。
―――だから、殺したくなる。
愛しているから、殺したくなるのだ。
アリスはみんなおかしいという。
でも、そんなのはアリスの基準。
我々は我々の基準で、アリスを手に入れる。
何としても……アリスを。
アリスを手に入れるための犠牲?
―――それならば、自分の命も同じこと。
自分の身が朽ち魂滅びようとも、アリスが手に入るならそんな代償惜しくはない。
所詮、アリスに踊らされる命だ。
永遠の呪いはこの身朽ちても続いていく。
ならば抗うより最早呪いに任せた方がいいではないか。
ああ、アリス。
我々を狂わせるその罪―――どれだけ重いものか、解っているのだろうな?
☆★☆
あ〜あっ、馬鹿みたーい。
何がアリスさぁ。
そんなにみんなアリスが好きー?
俺には分かんないなぁ、残念だけど。
変だよねぇ、ここの国民なのに。
だってアリス虐めてくれないし。
っていうか、ご主人がアリスを攫ってった時はあんなに必死に取り戻してたのに、城に連れていかれた途端意気消沈?
アリスを護るって言ったのに、みんなアリスを攫ってったあのゴツ男を追いかけようともしないなんてねぇ。
アリスに裏切ったって思われちゃうよー?
いいのかな、みんなぁ。
仕方ないね、俺は手を貸す気なんてさらさらないけど。
………さらさらなかったはずなんだけど。
やっぱり仕方ないね。
だって俺も結局この国の住人。
アリスを好きな気持ちは変わんないのかも。
……ま、もし助けたとして、そのあとのアリスはどうなるか分かんないけどねぇ?
てか、俺助けられる自信ないんですけどー。
でも、ま……何とかなるでしょうよ。
じゃー、グタグタのろのろ助けに行きますかねぇ。