ONE
――――――ガラッ
「「「「こーんにーちはーぁ」」」」
授業が終わり運動部の生徒は急ぎ足で部活に向かう中、だらりだらりと部室に来た彼らは、既に来ていた先輩や後輩たちにあいさつを済ませる。
当初、このあいさつは無いに等しかったのだが、1年前に彼らが始めたことによって今や美術部の習慣となっていた。
「やっべ、クーラー超涼シス」
まず最初に入ってきたのは、奥園郁乙。
成績優秀、運動神経抜群、先生からの評価も大。
だが難点なのは、
「あー、まじほんと暑い。滅びればいいのに」
少々口が悪い所である。
「僕のクラス、全然クーラー効かないんだよねー」
次に入ってきたのは、矢口暁。
このメンバーでは一番背が高い彼。
そして唯一彼女持ちである。だが、
「けど、胸元パタパタってしてる女子見れるからいいや」
目移りしやすいタイプである。
「え、オレクーラーの風直撃なんですけどw」
続いて入ってきたのは、矢崎司緒。
見た目が少しチャラいがノリがいい彼は、男女問わず人気がある。
そして、
「まあ、多分風がオレんところに集まってきてるだけだと思うんだけどね?」
ただの厨二病患者である。
「まじで!?いいなー!」
最後に入ってきたのは、小森昴。
クラスの女子にも身長を抜かされる、小動物系男子。
運動大好き、走るの大好き。だが、
「おおっと!ドア、バーンて閉め過ぎた、!w」
加減を知らないちびっこである。
美術室は2人掛けの机が横3列で6つずつ置いてあり、中央の後ろから2つ目の机が彼らの定位置なのである。
そこで、彼らは1つの机に4つ椅子を寄せて創作しているのだ。
「んーじゃあ、絵描くからお題くれー」
「えー、なら、ひとりひとつお題を考えて、シャッフルして描こうか」
「さんせー!」
「なあこれって自分に返ってくるフラグある?」
「あるだろうな」
「僕、描きやすそうなの書いてあげとくわ」
「え、もう書いちゃったけど…」
「ちょ、昴早くねw」
「では俺が集めマース」
「「「ほーい」」」
「では…(ごそりごそり)……パァァァァンッ!!!」
「「「投げんのかよ!!」」」
「そんでー自分から一番近いの取ってー、で開ける!!」
かさりかさり
「お、"和服美女"だってーこれ誰?」
「それ俺だわ。今やってるギャルゲーの時代設定が明治なんだよねー。じゃあ"学校帰りの女子高校生2人"は?」
「それ僕ー。ちゃんと仲良い可愛い女子高生ね。え、じゃあ"3色ボールペン擬人化"はww何これ描けないww」
「ボクでーす!!てへぺろっ」
「「「……ということは……」」」
「……自分の返ってきた…」
「…因みに司緒、なんて書いたの?」
「……"荒ぶる鷹のポーズ"」
fin.




