七十二章「GAKURA」
皆が出て行った部屋にアルンと残っていたカリアは、サタンにとある質問をした。
「王国が狙ってるって言ってたけど、スペルギアダストのことなんか知ってんのか?」
「・・・・。」
サタンが動きを止める。
「やっぱり、なんか知ってんだな?」
カリアが厳しい表情になる。
「・・・・・。知る必要はない・・・・・・・。と、言いたいところだが・・・・・・」
先ほどと打って変わって、低い声で返してくるサタンにカリアがゾクリとしたものを感じる。
「と、言いたいところが?・・・・・・何だ?」
サタンがゆっくりと振り返る。
「ガクラと言われる魔導師・・・・いや、神を知っているか?」
その男は、丘の上に立っていた。
すると、その男の後ろの空間が歪み、クライヴが現れる。
「まだ、本体を眠らしたままなのか。・・・・・・ガクラ。」
ガクラと呼ばれた男が応える。
「俺が本体に戻るのは、本当に重要な時だけだ・・・・と、言ったはずだが。」
その言葉を聞いて、クライヴが少し笑う。
「まだ、重要なことでないと?既に全てわかっていたのか。・・・・流石だな。」
そう言って、また少しクライヴは笑った。
ガクラと呼ばれる男が言った。
「本当の用は、もう一つの方何だろ?」
「・・・・全てお見通しか。・・・・そうだ。」
ガクラがクライヴの方に振り返る。
「私の物語にバットエンドは有り得ない。しかし、それにはそれなりの補助が必要だ。」
そう言って、右手をクライヴに差し出す。その中に小さな光が灯る。
沈む夕日を背にするガクラがその小さな光を差し出す姿は、とても神秘的であった。
「これは?」
光を受け取ったクライヴがガクラにきいた。
ガクラは、再びクライヴに背を向け、静かに言った。
「その光は、彼に閉ざされた一部の力を解放する鍵となるものだ。」
「鍵?」
「そう。そのあとは、彼しだい。彼によってあの物語は、進行する。・・・・・・アグネのことは、心配いらん。既に手を打ってある。」
クライヴは、下を向く。
「ガクラは、あんたは、何が目的なんだ?」
ガクラが言葉をきる。
クライヴは続ける。
「何故そこまでして世界を作り続けるんだ?それに・・・・」
「クライヴ。」
ガクラが鋭く言った。
「クライヴ。俺は、ただ自分のすべきことがこれだと信じているから、こうするんだ。それに君の考えているような人に人の真を理解させるということは、不可能なんだよ。・・・・・・そうと分かれば、君も自分のすべきことのために戻るんべき場所に戻るんだ。」
そう言ってガクラは、煙のように消えていった。
残されたクライヴは、黙ってゲートを開いた。
ギルフは、警戒し辺りを見回していた。
「出て来いよ。わかってんだよ。」
返事はない。
ギルフは、[カエサル・二アス]の強化魔法剣[メターカ・ドゥギット]を構える。[メターカ・ドゥギット]は、風と鋼の属性を持つ、拡大縮小の自由のきく特殊な魔法剣だ。
ギルフが神経を研ぎ澄ます。
「そこかぁああああああ!」
ギルフは、[メターカ・ドゥギット]を素早く伸ばし、そばの茂みを攻撃する。
ギン!
金属のぶつかり合う音が辺りに響く。
「何者だ。」
すると、茂みから一人の黒ずくめの男が現れる。コートからは、[メターカ・ドゥギット]を受け止めたと思われる、太刀が見えている。
男が言った。
「私の名は、ベルフェデュオ。魔界軍テンブレインの一人だ。陛下の命により、貴様を捕らえにきた!!」
そう言って、ベルフェデュオは、太刀を構える。それを聞いたギルフがニヤリと笑う。
「はっ!出来るもんならやってみろよ!テメーに本当の地獄ってもんを見せてやる!!!!」




