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一章「ART 」

 ゼボリア村の春は、少し早い。雪どけ水を小さく散らしながら歩く村人たちの姿は、春の祝福するかのように華やかで笑顔に満ちていた。

 ゼボリアの数少ない用心棒であるカリアは、その様子に少し目を細める。この春15となるこの少年用心棒は、最年少ながら武術において、村一の実力をもつ。そのため、一番重要な村長の家の門番をまかされている。


「よお。カリア!朝早くから、感心だねぇ~。」


 声をかけてきたのは、商人のバッツ。四十を越えているだろうとみえる短髪無精ひげのおっさんは、カリアの親友であり、親のような人物でもあった。


「仕事だからな。」

「ったく、つれねーな~。せっかくいい土産があんのによ~。」

「・・・何?」


 短く答えるカリアにバッツは、そっと耳打ちする。

『カルが手に入った。どっちにする?槍か剣か。』

『今回は、剣にするいくらだ?』

『5500ルトでどうだ?』

『わかった。昼から空くから、1時頃いく。』

 耳打ちを終え、無言で去っていく中年商人の背にカリアは、「5500は、高すぎじゃね…?」と、呟く。










 仕事を済ませたカリアは、昼食の後バッツの営む商店を訪れた。 バッツは、奥で一服しているところだった。


「おう。早かったな。」


 そういいながら、すでに準備万端のようで、バッツの片手に大型のカルがにぎられている。

 カルとは、魔力結晶の一つで火属性のものだ。ゼボリア村のあるハルー地方では、手に入らない種であるとともに、それなりの値段で取引される。


「よく、このサイズの手入れたな。魔力量的には、レベル5アップ位か?」

「だな。大変だったぞぉ~。取り寄せはおろか、なんたって競りがキツい。ギリギリでとったんだ。感謝しろよ?」

「まあ、いい素材でも、強化が成功しないと意味ないけどな。」


 そういいながら、カリアは腰にさげてある黒い片手魔直剣[アグルブレード]をバッツに手渡す。


「よろしく。」

「まいど!」


 バッツは、鍛冶台の前に座り、熱したこと液状化し赤色から黄色に変化したカルを確認する。その後、アグルブレードを真部からたたき割り、そこにカルを流し込む。すると、アグルブレードの魔力とカルの魔力が反応を起こし、まばゆい光が鍛冶部屋をつつむ…。

 強化の際には、いつも見る光景だが、いつも自分の魔法武器が真部から砕かれるの見ていていい気は、しない。

 ところで 何故いとも簡単に魔法武器が砕かれるかと、いうと、魔法は本来生きていて、周波数のようなものがあり、その周期の一定のところを狙うと魔法を殺さずに魔法武器を破壊できるという。しかし、それは武器を台など安定した所に置いた時のみなのだ。


「ギルティーブラッド… こんな魔剣みたことないな。大切にしろよ。」

「ありがとう。また、頼む。代金おいとくぞ。」

「まいど!」

 代金を置いて、新たな相棒を腰にさげカリアは少しはやい帰路についた。










 ギルティーブラッドは、深紅の如く燃える赤色だった。

 自分の血もこれぐらい赤いのかなとか考えている間にカリアは、家に着いた。カリアの家は、木造一階建ての2LDKといったところだ。15の少年用心棒にしたら、かなりの家だった。カリアは、一人暮らしだが、寂しいとは思わなかった。一歩外にでれば、村の人達がいる。それで十分だった。 しかし…。家に入った時、カリアは感じた。

 誰かいる!・・・その時!部屋の奥から、なにかが飛び出してきた!


「おかえりー!!!!!!!!カリアああ~!!」


ものすごい大声を出して飛び出してきたのは…


「フレナ…。勝手に人んち入んなよ。っか!どうやって入った!?鍵全部閉めたはずだけど…?」

「ふふん~。私の魔法道具何だったか忘れたの?」

「あぁ…。ん?でも、あれって…物の構造を調べて、物質を変化させれるやつだろ?」

「そう!そうだよ!だから、鍵を一瞬だけ、鉄から、柔らかいゴムにかえたんだ~。その一瞬で鍵をぬいて…」

「ハァ」


 思わずため息が漏れる。 飛び出してきた少女の名は、フレナ。年は自分より、一つか2つ下である。一年前の武術遠征先でカリアが助けた身よりのない少女である。今は、村長の家で住まわせてもらっている。しかし、暇さえあれば自分の家に押しかけてくるため、来られる側としては、結構大変である。


「ねぇ~遊ぼうよ~。ねぇ~。」


自分も同じ孤児で あるせいか、フレナの気持ちも分からないでもない。


「なんだよ。したいことあんのか?」

「遊びたい!」

「違う!何して遊びたいんだって聞いてんの」


 そんなやり取りしながら、ふと彼女の腰にさしてあるステッキ状の魔法道具[ラハーク・リアス]に目がとまる。ラハーク・リアス…原子の神とも呼ばれることから、もともとは、原子操作が目的で作られたのだろう銀のステッキは、まだ12歳の少女の腰に収まっている。正直カリアは、フレナが少し怖かった。怖いと言っても、人としてでは無く、その力が怖いのだった。そもそも、魔法道具や魔法武器は、使用する本人の中にある魔力とリンクすることで能力を発動するため、その道具の魔力同等の魔力を体内に持っておく必要がある。魔力はレベルで表され、1から100まである。本来人間は、年を重ねるごとに魔力レベルがあがる。しかし、目の前の少女は、例外である。特に測定したわけではないが、彼女が扱うラハーク・リアスのレベルは、45であるということ。それは、少女がレベル 45に達していることをしめしている。12歳でレベル45などありえない。このことは、村長とカリアだけの極秘事項となっている。もちろんフレナ本人すら知らない。


   45の力を持つ少女…


 ぶんぶんと頭をふり忘れようとする。


「カリア?どしたの? 遊ぼうよ~?」

 

 まぁ、気にすることなんかない。フレナは、フレナだ。そう自分に言い聞かせフレナの顔を見る。

「悪いけど、今日は疲れてるからやすましてほしいな~?」 「え~ え~ え~ ……じゃあ明日遊ぼうね!じゃ!バイバーイ!」


 家を出て行く少女の背を少しやさしい顔で見送り、カリアは部屋に入って言った。

 そして、ある疑問にいきつく。


「そういえば、この剣のレベルって…いくつだ?」









  グシャリ



 鈍い音たて、血まみれの男は、崩れ落ちた。

 それをさもつまらなそうな目で見下ろす者達がいた。  全身黒ずくめで片手には、男を殺めただろう魔法大剣がにぎられている。


「お前では…なかったな。」


 そう言い残し立ち去ろうとする一人に対し、


「ヘッドぉぉ。こいつゼボリアの奴じゃないすかぁ~!殺す前にある程度情報絞っても良かったんじゃなかったんすかぁ~?」

「死者に聞きたい事があるか?」

「またぁ~。なんでヘッドは、そうも堅いんすかぁ~?」

 その二人の後ろにさらに二人。

 その姿は生ける鬼神にも、飢えたハイエナの群にも見える。

 全員がそれぞれに死を纏う。

 人は、彼らを死神と呼ぶ。


 そして真の名を殺人鬼集団[ウィービンド・ハウル]と言う。





 


 一話がづうしても短い・・。

 でも、がんばるのでよろしくおねがいします。

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