暖かな季節(夢のなかの会話)
”あのときのリョウくんと話がしてみたい”
大人の姿になった沙織は再び教室へ戻り、姿を消してリョウの様子を伺った。
「リョウくん、春から小学校だから、もうおもらししちゃだめだよ。うしろ向いて」
リョウは先生から言葉をかけられながら、向きを変え、おしりと太ももを丁寧に拭いてもらっていた。
リョウの可愛らしい局部が、沙織の目に飛びこんだ。上半身はセーターを着ているのに下半身だけ丸出しのリョウの姿は、前から見ても後ろから見ても、沙織にはとても素敵で可愛らしく見えた。
「うん、すっかりきれいになった。よかったね、リョウくん」
先生は再びリョウを前向きに立たせると、さっきサオリが持ってきた、水色の毛糸でできたパンツの裾を広げ、片足ずつ入れさせて、慣れた手つきでするするとパンツを上げた。
それは、少しブルマーのような斜めのカットが入っている、暖かそうで、人に見られたら少し恥ずかしいパンツ・・・。でも、沙織には、それを穿かせてもらうことが羨ましかった。
最後にパンツの後ろをきゅっと持ち上げると、先生は両手でリョウのおしりを包み込んだ。
「いい? こんどは、おしっこしたくなったら、ちゃんと早めに先生に言ってね、分かった?」
リョウは、ちょっとだけ微笑みながら、”うん”と頷いた。
”そうなんだよね、早めに言わなくちゃいけないのに・・・”
沙織は、今の自分のピンチも、まさにそれが原因だったと反省した。調子に乗ってあれこれ飲み食いして、しかも薄着で冷房の利いたバスに乗って身体を冷やしてしまったことも・・・
沙織は、リョウが教室から出てくるのを待って、彼を誘って教室の隣の小部屋に入った。
沙織が部屋の絨毯の上に座ると、リョウの身体もいつの間にかすっかり大人になっていた。
沙織の目の前に脚をくずして座った彼は、毛糸のパンツを穿いたままで、ちょっと恥ずかしそうにしながら、まるでブルマー姿の女子のように綺麗な太腿を露わにしていた。
沙織が聞いた。
「リョウくん、おしっこ、漏らしちゃったね」
「うん、我慢できると思ってたんだけど、歌を歌いだしたら急にしたくなっちゃって・・・」
「どうして我慢できなかったの?」
「この歌が終わればトイレに行ける、って思っちゃったからかな? でもまだ我慢できると思ってたんだよ。ちょっと身体をくねらせただけ・・・。そしたら先生に見られちゃって・・・」
「大きな声で”だいじょうぶ? がまんできないの?”って言われてた」
「それでびっくりしちゃったのもあるんだけど、先生に”気づいてあげればよかったのにね、ごめんね”って言われたときに、なんか身体が変になったんだ」
「変・・・って、どんなふうに?」
沙織が興味深そうに訊いた。
「ほら、先生すごくやさしいでしょ? そうやって言われたときに、なんか、僕・・・、先生に守ってもらえるような気がしたんだと思う。たぶん・・・」
「守ってもらいたくなった・・・?」
「ひょっとしたら、そんな気持ちもあったかも・・・。このまま本当に漏らしちゃって、先生にパンツを脱がされてみたいなんて気持ち・・・。そしたら、急に我慢が利かなくなっちゃって・・・」
”そうなの・・・そうだったんだ・・・”沙織は心のなかでうなずいた。
「リョウくん、おもらししちゃうとき、切なそうな目をして私を見てた・・・」
「沙織と目が合って、急に恥ずかしさがこみ上げてきたんだ・・・。でももう遅くて・・・おしっこを止められなかった。それに、沙織ずるいよ。僕がパンツ脱がされているところ、しっかり見るんだもん。」
「ごめんね、でも、私・・・」
「沙織に見られちゃったせいかな? 大人になってから沙織と再会して、なんか、沙織には特別な気持ちを持ったんだ。ふつうの恋じゃない気持ち。先生と同じように、やっぱりすごく恥ずかしいところを見られているから・・・」
沙織はずっと知りたかったことを、ドキドキしながらリョウに訊ねた。
「漏らしちゃって、脱がされちゃって・・・、先生や私に、見られてたときの気持ちって、どうだった?」
「すっごく恥ずかしかった・・・。女の人の前でおしっこしちゃって、パンツを濡らすっていうだけでも恥ずかしいのに、それを脱がされて、下半身も見られちゃうんだから・・・沙織にも・・・。でもね・・・」
「何?」
リョウは、沙織のわだかまりを解き明かしてあげるかのように、優しい口調で話し続けた。
「おしっこしたくてどうしようもなくなったそのときに、すっと力が抜けて、パンツの中に温かい水があふれるように流れていって・・・」
「おもらしっていう、すごく恥ずかしいことをしちゃって、異性の人のなすがまま、パンツを脱がされて、下半身を見られながら、拭いてもらった・・・これって恥ずかしいはずなのに、あとから思い出すと、すごく気持ちよかったんだ・・・」
「先生はやさしくしかってくれたし、沙織の持ってきてくれた新しいパンツを穿かせてもらったとき、僕のおしりを包んでくれた先生の手のひらが、すごく暖かかった・・・」
「それに、教室には先生と、そして沙織だけしかいなくて、なんだか陽だまりに包み込まれるような、やさしい気持ちを感じたんだ・・・」
「この水色の毛糸のパンツを穿いたまま、それを他のみんなに見られながら帰りのバスに乗ったときは、ちょっと恥ずかしかったけど・・・、でも、特別な経験をした証しだから、自分のパンツに目をやるとなんだか誇らしい気もしたんだ・・・。もしいつものように、サオリが隣にいれば、きっと見せてあげたかったし、いろいろ話してあげたかった・・・」
涼の話をじっと息を凝らして聞いていた沙織に、涼が問いかけた。
「でも、おもらしした僕を見て、沙織が僕のことをどう感じて、今もどう思っているのか、分からないから、ずっと沙織に甘えることもできなくて、いつも踏み込めなかったんだ。遠慮しちゃってたっていうか・・・。ひょっとして、僕のことを情けない男って、思ってない?」
沙織はずっと抑えられていたものが弾けるように、話しはじめた。
「そんなことない・・・そんなことないの。私・・・本当はリョウくんにドキドキしちゃってた・・・。あのあともリョウくんのお世話をしたかったし、リョウくんのそばにいてあげたかった。本当は私もリョウくんの前で、おもらしできれば良かったんだよね。リョウくんのためにも、・・・そして私のためにも・・・。でも、あれからすぐ卒園しちゃったし」
「沙織も、おもらし、したかったの・・・?」
沙織は、思い切って話した。
「リョウくんのことを見て、頭から離れなかったんだから・・・。あれから先生にどうしてもらったのか、とか、どういう気持ちだったのかって、いろいろ想像して・・・」
「そうだったの・・・」
「リョウくん、おもらししてかわいそうなようで、でもリョウくんのことが、すごく輝いて見えたの。考えれば考えるほど・・・恥ずかしいはずなのに、すごく羨ましくって・・・」
「沙織・・・」
「リョウくんが経験したことを、私もしてみたい・・・、でも、できない」
リョウはやさしく沙織の言葉をさえぎるように彼女の両肩を抱くと、静かに沙織を見つめ、そして彼女を包み込むように優しく言った。
「大丈夫だよ、沙織がその気持ちなら、今だってできるよ、きっと」
「リョウくんと、おんなじふうに・・・?」
「そしたら沙織のこと、僕がしっかり守ってあげる、だから・・・」
「うん・・・」
沙織は少し目を潤ませて、うなずいた。
沙織のまわりから、幼稚園の小部屋の情景が消えはじめ、元のコテージのフローリングの風景に戻りはじめた。
同時に、沙織の尿意も元どおりに、猛烈な勢いで高まりはじめた。