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時間旅行(時間旅行)

《翔くん、しちゃった・・・》


彩夏は、翔の震えが治まったことで、翔が失禁したことを悟った。彼の強い不安のせいで身体からあふれ出しているということも分かっていた。


そして、それはすぐに彩夏のショーツや太腿の下まで広がってきて、身体が熱くなっていった。彩夏にとってもそれは懐かしい感覚だった。


「彩夏・・・ぼく・・・」


言いかけた翔の口元を、彩夏は指でそっとふさいだ。彩夏はもちろん布団を剥いだり、翔の濡れた服やシーツを確認しようともしなかった。そのままにしておく限り、ふたりのまわりは温かいまま、翔は恥ずかしくないし、翔を不安から解き放てると思ったからだった。


《大丈夫、私も、もうすぐ・・・しちゃうのかも》


彩夏は翔に寄り添い、そしてまどろんでいった。いま彼のやわらかな局部が熱く濡れたショーツで包まれている様子を想像し、同じように自分がなったらどんな感覚だろうと思いながら・・・それは彩夏にとって、なぜか幸せな気持ちだった。




時間の先に、翔がいた。


翔のジーンズは下腹部とおしりの部分が丸くぐっしょりと濡れていた。それを見て彩夏が翔に問いかけた。


「翔くん、おしっこ、漏らしちゃったんでしょ?」


「うん」


不安がすっかり消え去った子のように、翔は笑って爽やかに答えた。



一方の彩夏は激しい尿意を感じて、全身が震えていた。自分はおしっこを我慢しながら、翔の不安を解いてあげようとずっと見守ってきたが、その翔が失禁してしまった今、気力で尿意を押さえ込むことができなくなっていた。


その激しい尿意がさらに、彩夏の心を不安にした。まどろみの中で、彩夏はさっき翔に言えなかったことを口にした。



「私・・・ほんとにちゃんとやっていけるかな?」


「彩夏なら、きっと大丈夫だよ、がんばり屋さんだから」



ベッドの上で不安をすっかり流しだした翔は、さっきまでとは違う力強い声で彩夏を励ました。だが、それが逆に今の彩夏の不安を高めた。



「ほんとはね、社会に出て自分の気持ち、変わらないかっていえば、自信がないの。自分の気持ちが変わってしまって、翔くんを傷つけることが怖い・・・」



哀しそうにそうつぶやく彩夏に、翔は言った。


「きっと、彩夏は社会で羽ばたくから、彩夏の気持ちは変わっていくかもしれないって、思う」


「翔・・・」


「でも、時はいつでも戻すことはできるよ」


「どうするの?」


「僕のほうに来て・・・」



翔は、不安でいっぱいの彩夏の身体を抱き寄せると、


「彩夏、緊張しないで」


と言って、彩夏の背中をさすった。



彩夏は、さっき吐いたときのように、身体に暖かさを感じた。きっとすぐ楽になる・・・翔がそう言っているように思えた。



まどろみのベッドの上で、彩夏はまるで吐くものがこみ上げてくるように、下腹部が自然に押し広げられていくのを感じた。彩夏の心に安心感とともに、翔に甘える気持ちが芽生え、彼女はただ自分の身体が気持ちいいように、自分の身体が望むように、その状態に身を任せた。



「もし心が変わりそうになったら・・・今日のこの時のことを思い出そうよ。きっと僕たちの心に焼きついているから」


「うん・・・」



翔との絆を確かなものにしようとする、この瞬間が、彩夏にはかけがえのないものに感じられた。彩夏は、少しも恥ずかしくなかった。


翔がいっそう彩夏の背中をさすった。



「翔くん、わたし・・・また吐いちゃいそう・・・」

「いいよ・・・吐いて、彩夏」

「あ、あっ・・・」


どうすることもできない絶頂に似た感覚ののち、彩夏は解き放たれた。不安だった気持ちがたくさんの温かい水となって勢いよくショーツの中にあふれ、彩夏の下腹部を熱くした。


「翔くん、私、吐いちゃった」

「彩夏の不安な気持ちが、いまあふれていったんだね・・・」


それは、彩夏のスカートやブラウス、翔のジーンズも濡らしながら、ベッドの上のふたりを温かく包んだ。それは灯火のように熱くなり、悩みなどなかった幼い頃への時間旅行に、ふたりを運んでいった。



ふたりはしばらくの間、幸せな眠りについた。




窓からは雨上がりの眩しい夕日が差し込み、ふたりの顔を照らし出した。



眠りから覚めたふたりは、そっと布団を剥いで、ふたりで支えあうようにして起き上がった。ぐっしょりと濡れた下腹部はさっきまで布団の熱で温かかったが、急に冷たくなった。



彩夏と翔はベッドの上で、脚を崩したまま寄り添いながら、おしりの下の大きな世界地図と自分たちの濡れた服を見て、顔を見合わせた。



「結局、時は止められないんだね・・・」


「でも小さい頃に戻ることは、できたかも」


「悩みなど、なかった頃に・・・」


「また、戻ってみたいね・・・」


「うん・・・」



さっきまでの楽しい時間旅行の余韻が、まだ彩夏の心から離れなかった。それはきっと翔も同じに違いなかった。


「・・・」


「・・・」


「ねえ・・・翔くん」


「しちゃう?」


「うん・・・」


そう言うと、彩夏はもうためらわなかった。子どもが甘えるように全身の力を抜くと、再びショーツの中が熱くなった。自分のスカートの裾からかすかな水があふれ出したとき、翔のジーンズの局部も濡れ光りだし、おしりの下のくぼみに透明な水が溜まっていった。冷たかった下腹部やおしりが、ふたたび温かくなった。



「温かい・・・」


「うん、すごく温かい・・・」


「不思議な感じ・・・、ずっと、こうしていたい」


「また・・・彩夏が仕事に疲れたら、また・・・戻ってみようよ。」


「うん」


「約束だよ・・・」



ふたりは微笑みあうと、濡れた服のままキスをして、抱き合った。

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