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ユキコとシンスケ4

それから3カ月が過ぎた。

私はまだ同じ会社にいた。

父が心配して何度も辞めてもいいと言ってくれた。


でも私はやめなかった。

仕事をしてみようと思った。


私も武田くんのように、上杉さんのように真剣に仕事をしてみようと思った。

そしたら何かが見えてくるかもしれない


そう思って仕事を続けていた。


久々に駅の近くの桜並木まで来た。

緑はすっかり濃い緑色になっていた。


そしてベンチ座る男の人を見た。


その人は私を見ると微笑んだ。


「松山さん?」

「お久しぶり!」

松山さんは元気な声でそう言った。

「今日も仕事で?」

私はぎこちなく微笑んでそう聞くと松山さんは少し照れたように笑った。その胸には見覚えのあるネクタイがしてあった。

「う~ん、仕事もあるけど。お礼がいいたくて」

その言葉に私はなんだか胸がドキドキするのがわかった。

「ここにくれば宮園さんがくるかなと思って。宮園さんが来るのが見えてびっくりしたよ。よくここに来るの?」

松山さんはそう言って笑った。

「ネクタイ。ありがとう。ずっとお礼がいいたかったんだ。会社に行くものあれだし、住所も書いてなかったから」

「そ、それだけのために?」

私が少し乾いた声で言うと松山さんは慌てた様子を見せた。

「違うよ。取引先の近くだし。商談が終わって時間があったから待ってみたんだ。会えてよかった」

そう言って松山さんは椅子から腰を上げた。

「じゃ。ネクタイ。本当にありがとう」

松山さんは微笑むと私に背を向けた。

「松山さん!」

私は気がつくとそう名前を呼んでいた。

「今日、暇ですか?ご飯一緒に食べませんか?」

「うん。喜んで」

松山さんは振り向くと笑ってそう答えた。その笑顔が眩しく、なぜだが涙が出そうになった。



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