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うさぎの禰豆子(ねずこ)

作者: 遥(はるか)奏汰(かなた)
掲載日:2026/09/03

名前という小さなしるしと、その裏に込められた切ないほどの大きな愛についての物語です。

見た目や名前の印象だけで決めつけられ、傷ついてしまう理不尽さ。それでも、大切な人から授かった言葉を胸に、自分らしくあろうとする小さなうさぎ「ねずこ」の姿を描きました。

誰かの偏見に負けず、胸を張って生きようとする彼女の跳躍を、どうか最後まで温かく見守っていただけたら幸いです。

禰豆子ねずこはうさぎだった。でも名前は『ねずこ』だった。

 そのせいで、昔から「変わった名前だね」と嘲笑われた。

ネズミと誤解ごかいされ、ホウキの毛のぶぶんで叩き落とされた。

白いうさぎの耳をなびかせ、彼女は今日も草むらを跳ねる。

「おい、ネズミ!」と誰かが呼ぶたび、ぴんと立てた耳が悲しく垂れ下がった。ホウキで打たれた背中の痛みは消えても、誤解される胸の痛む感覚は、いつまでも消えてはくれない。

けれど、あの日のおばあちゃんの言葉だけが、ねずこの心を支えていた。

「『ねず』はね、根を張り、すくすくと育つ強い生命のことだよ。お前がどんなに小さくても、世界に負けないように付けた名前なんだ」

だから彼女は、名前を捨てなかった。

嘲笑われても、追い払われても、堂々と「わたしは『ねずこ』」と胸を張る。

夕暮れ時、草の匂いが満ちる原っぱで、ねずこは月を見上げた。

月に浮かぶ影は、自分と同じうさぎの姿。

「いつかみんなが、本当のわたしを見てくれますように」

小さなうさぎは、一筋の影となって、夜の優しさの中へ大きく跳び出していった。

誤解や偏見に晒されながらも、大切な想いを胸に自分らしく歩もうとする「ねずこ」の物語、いかがでしたでしょうか。

名前の由来を知ったときの彼女の決意と、夜空へ踏み出す最後のひと跳びが、皆様の心にも小さく温かな光を灯せていれば幸いです。

最後までご視聴(お読み)いただき、本当にありがとうございました!応援やご感想をいただけると、大変励みになります。

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