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その名はミーニャ




 アンディさんちの猫は、ミーニャと呼ばれていました。ミーニャ

はその界隈の人気者になっていました。近所の山田さんちのタマリ

ンより可愛いのです。タマリンは飼い主の奥さんが呼んでも素通り

して誰にも懐いていませんでした。おかっぱのような模様でぶさか

わの猫でした。



 山田さんちの8才の正樹くんが、うちのタマリンよりミーニャの

ほうが可愛いね。と言ったことがタマリンをこよなく愛する山田さ

んの奥さんにとっては不愉快だったようで機嫌が悪くなりました。

僕は正樹くんに同感でしたが、どんな性格の猫でも愛せる山田さん

の奥さんには敬意が湧いたものです。



 桜井さんの旦那さんは、猫嫌いで有名でした。強面の桜井さんは

ミーニャを見るなり、ゴラァと追いかけ最後には水までかける始末

でした。僕がミーニャなら桜井さんのお宅には寄りつかないと思い

ますが、なぜかミーニャは桜井さんのお宅に行き、旦那さんの足下

でスリスリする愛くるしさを発揮したのです。水をかけられる、ま

た行く、また水をかけられる、またスリスリするの攻防戦はミーニ

ャの勝利でした。根負けした桜井さんの態度が変わりました。



 ミーニャよく来たね、今日はチョコパンがあるから待っときな、

という桜井さんの変化です。


 正直、猫は腎臓が弱いらしいので、どうなのかと思いましたが、

 それ以来、桜井さんはミーニャのためにあれこれ買ってきている

ようでした。たまに洗面器の水に油が浮いていたのは、たぶんハム

カツをゴチになったからだと思います。桜井さんの好物はハムカツ

でした。



アンディさんは大らかな性格らしく、ミーニャがどこで何をゴチに

なろうがかまわないようでした。



 こんなミーニャでしたが、ひとつだけ欠点がありました。人に可愛

がられたせいか自分のことを人間だと思い込んでいたようでした。

 人には懐きましたが、塀の上で出くわす猫、道で会う猫を追いかけ

回して、ネコの癖になんだ、はぁ?と言わんばかりの喧嘩をするので

す。



 僕はミーニャに好かれているようでした。外に出ると、遠くからで

も走ってきて、足にスリスリするのです。まるで僕のファンのようで

した。猫嫌いの桜井さんも、これにヤラれてしまったのでしょう。

 わたしのものぉ~スリスリです。



 ミーニャは日に数回、急勾配の階段を転がりそうになりながら会い

に来てくれました。初めは風呂場の下の水をペロペロしているようで

したが、それは汚いんだよ?新品の洗面器に水を入れ出しておきまし

た。しばらくは、それをペロペロしていたようですが、ミーニャと出

くわした時には、折角なので新鮮な水をあげようと蛇口をひねったら

直接流れる水を飲むようになりました。ミーニャは、こちらをチラリ

と見たあと、どこかへ行ってしまいました。


(あの舌で水を飲むのは、大変そうだ)


(しかし~僕とミーニャはよく見つめ合うな、前世のフレンドか)


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