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お洒落なおっさん


 はい。風呂場で考え事してたらガッツリ逆上せて、熱を振り返しそうになったレオンっす……レイラからはめちゃくちゃに怒られたわ、うん。これは、俺が百悪いんで……はい、すんません。


 案の定、昨日はベッドの上から動かせてもらえなかったもんで、プレゼント作りは何も進んでいない。が、一応いくつかの案はあるのよ。

 というのも、インベントリの中が見事に草花だらけだったんでね。押し花を用いた栞や手帳、香り袋にポプリってのが良さそうだな、と。

 どれも、製作にかかる時間を考えなければ手軽に作れる物ではあるからな。


 ただ、なぁ……押し花は加熱がネックになってくるし、サシャやポプリなんかは乾燥・熟成にかかる時間がちと長いんだわ。

 それこそ時間とかは、コマンドのタイムセットでなんとかなるかと思ったが……この世界の時間も進めちまったら大惨事どころの騒ぎじゃなくなるからな……。


 べつに手軽に作れるってんなら、ピッカピカに磨いた石を使ってのアクセサリーとかも選択肢にはあるんだが……女性にアクセサリーはちょっと、なぁ。身に付けるものをプレゼントするってのは色々怖くて、したくないんよ。リオなら男だしそういうのは気にならんのだが……いまだにあの簪を着けてるしな。

 かといって、石を使った手作りできる小物って言われてもよ……俺の頭じゃアクセサリー系統しか出てこんのだわ。



「……うだうだ考えてても仕方ない、か……よし!とりあえず材料が簡単に揃うポプリから作ってみますかね」



 俺はあんまり使ったことがないが、一応この家にも香油なるものがいくつか置いてあるらしい。マッサージとか髪のケアとかで使うっぽいんだが……んなもん、知らん。アリーとかリオの髪が艶々なのもそのせいか?いい匂いもするしな、あれ。

 とまぁ、そんなことはどうでもいいとして……この香油をベースに作るのもありだし、オイルは無しに塩だけで作ることもできたはず…だよな?



「うーむ……この香油の香りはちょっと甘い感じなのか。なんの植物ベースだ?これ……バラっぽくもあるが、この世界に咲いてるのかね?」



 鑑定しても香油としか出てこないしなぁ……後どんな香りかの説明。

 このオイルをベースに作っていくなら、似たような匂いのする花でまとめた方がよさそうだな。



「となると、だ……魔喰草とアッポーの花あたりが近いのか?……うん、そうだな。この二つでいくかぁ…」



 ガラス瓶なら魔喰草の花は真っ赤で遠目でもよく映えるし、アッポーの花は白なんで、赤い花のアクセントにちょうどいいのよ。

 

 さて、取り出したはいいが……真面目に乾燥をどうすっかな……対象をこの花に指定したら、世界全土で咲いている同種の時間までもが経過する可能性が高いんだわ…。

 これが俺の武器とか道具なら、セルフウェポンって入力すれば指定できるんだが……設定できる対象が俺か、俺の装備か、固有名詞…しかないんだよな。



「…困ったな……やっぱりポプリ系のものは諦めるか?………あ、いや。インベントリを指定して時間経過させたらどうなるんだろ?できる…よな?」



 普段はインベントリの中の時間は止まっているんだが、コマンドの対象に設定したらこれも進められるんじゃねぇか?


―――やってみるか……。



「一旦仕舞い直してっと……【コマンド入力/time,s 10080】対象をレオンのスキル、インベントリに設定――」



 さぁ……どうだ?どうなった……?



「――おおっ?!すごっ!、ちゃんと経過してらぁ!……これなら乾燥、熟成の時間は気にしなくて済むなっ」



 いやぁ、良かった良か………待てよ?……たしかに、インベントリの中の時間は経過したな………俺、インベントリに仕舞ってるの……花だけじゃなくねぇか…?



「……ああぁぁっ!……やっちまった………食糧関係は……そりゃダメになってるよなぁ………植物類も軒並み乾燥してるか……あぁ、あんなに集めたカスクスピーナの棘が……」



 …まぁ、薬草の類いは乾燥させてから使うのがほとんどだし…いいんだけどよ………今度山に行って埋めてこねぇとなぁ……食べ物がほとんど腐っちまったのはショックだわ……特に肉と魚…。

 まだ、調味料と乾物系は大丈夫そうで、致命傷一歩手前って感じではあるんだが……今のうちに無事な物は一通り出しておくか…。



「くっそぉ……こうなったら、乾燥した花使っていろんなポプリを作ってやる……ポプリだらけにしてやるからなぁっ!」


『―――おっさんっ?なにか叫んでたけど大丈夫~っ?』


「しまった。レイラも家にいるんだった………――大丈夫だぞーっ!水を落としそうになっただけだー!」


『りょーかいっ!…そうだ!ちょっとボク、買い出し行こうと思ってるんだーっ!何か欲しいものとかある~っ?』


「いんや、特にないぜっ!」


『うぃーっす!んじゃ、行ってくるね~っ!』



 ……ふぅ、危ない危ない…。

 いま部屋に入られたら、明らかお前それどっから持ってきたんだよ……ってなるからな。

 ちょうど買い物に行ってくれてるみたいだし、その間で作業を終わらせないと、か。



「ひとまず、他の草花も取り出して――おおっと、乾燥しててもサリメル草はかなり匂いが強いんだな。樟脳みたくスースーとした……個人的には好みの香りだわ、これ」



 全部ドライフラワーにしちまったんで、香油を使う方しか作れないと思ってたが……乾いても、サリメル草みたく香りの強いものなら塩を用いたやり方でもいけそうだな。


 まっ、とりあえずは当初の予定通り、魔喰草のポプリから始めていきますかね…。






 

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