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やどりぎのたね改


 よし。今日のノルマは達成したし、この辺で切り上げるとするか。


 ギルドが出している常設依頼の内容は素材の買い取りが主だ。そのため一定数の納品のような上限設定はない。なので、1日で採りすぎると後が続かない。また、素材の状態や鮮度によっても買取価格が変わる。

 つまり、常設依頼だけで安定して食っていくにはそれなりの腕が必要になるってことだ。


 特に採集関連は腕のよさが顕著に現れる。というのも、有用な植物の形や特徴を覚えること。どの季節にどの場所で良く採れるかどうか。効能を持つ部分はどこにあって適切な採集方法が行えるか等々。知識に裏付けされた経験がかなり重要となるからな。

 


 さて、と。帰りのついでで巣窟となっていた場所に来てみたはいいが……ゴブリンどもの死体が多くて鼻がひん曲がりそうだ…。


 こいつらはどの部位も素材にならないからなぁ……森の中じゃ燃やして処分も難しい。地面に埋めるのもこんだけ多いんなら、まぁ手間だわ。放置して自然の浄化作用に任せるのが結論だな。



「って、なんだこりゃ…?死体に花が咲いてら」


 まだ腐敗にまで至っていないゴブリンどもの死体から真っ赤な花が咲いていた。

 茎や根の部分が確認できず、傷口や眼球などから直接赤い花弁が開いている。

 こんな植物は今まで見たことも聞いたことも無いんだが……。



「なるほど……魔喰い草、ね。魔力を糧に成長する植物。こいつが放つ魔力によって周囲の魔物が種別お構いなしに誘引され、魔物の縄張り争いを引き起こす。そんでもって、できた死体や傷口に侵入、寄生して育つ……植物なのにおっそろしい生態だな、おい」



 リアルやどりぎのたねじゃねえか、魔喰い草!適した土壌を自ら作り出す点で、もっと凶悪な仕様といえる。



「しかも、これの元々の植生はこっち側じゃあない……はぁ、今年はずいぶんとたちの悪いいたずらだよ、まったく。

 意図的に魔物の飽和を狙うとは……あーあ、ギルドになんて報告したものか」




 ――んー、口封じにでてこない……と。今年はあくまでも、実験と観察が目的って感じなのかね。それか、実働部隊じゃないとか、か……。

 ま、仕掛けてこないなら放置でいいわな。


 ったく、俺の平穏無事な生活を脅かさないでくれよー。

 

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