デイ・オフの過ごし方
ここ最近の冷え込み具合がエグく、ベッドから出られなくなり二度寝をかましてしまったレオンだ。今日は休みだからいいんだけどな。
窓を見る限り、本日はまだ雪が降っていないようだが……ワーデルス街近辺は雪が積もるんだよなぁ。酷いときは腰丈くらいまでになる。
なもんで、ワーデルス街では雪で動けなくなった商隊や馬車を救援する依頼が、この時期にドカンと増える。
冬はなぁ……ろくに採取できるような植物はないし、魔物や動物も活動をあまりしないのよ。だから、冒険者が仕事に飢える季節として嫌われてるんだわ。
とはいえ、冬は嫌いでも雪は好きという冒険者は多かったりする。子供のような純粋に好きなら良かったんだけどな……まぁ、雪が積もれば依頼が増えますんで、ええ。
屋根の雪を降ろす依頼に、街中の雪かきをする依頼、立ち往生してしまった所への救援依頼に、ワーデルスに繋がる道の雪かき………パッと思い出せたものだけでも、これだけ依頼がある。しかも、街中や外の範囲からして、人数が必要になるんだわ。浮いてた冒険者たちが総出でスコップ片手に出掛けていくわけだな。
このスコップもなぁ、なかなか手強いのよ。ギルドが貸し出してくれるスコップは、持ち手の木の棒の先端に四角い木の板が取り付けられたような物でね。気を付けないと簡単に壊れるし、雪をどかすのにもコツがいるしで効率が悪いんだよ。
べつに壊しても弁償とかはないが……依頼の初回はタダで貸してくれても、二回目以降は金が掛かる仕組みなんだよなぁ。
その結果、冒険者たちが各々マイスコップのようなものを持参する場合が多い。ってか、効率よく雪かきの依頼をこなして金を稼ぐために、スコップを自作する奴らが多いな。
必然的に、冒険者の間であいつのスコップは凄かった的な話になり、またスコップが改良され……冬になるとよく分からんスコップ限定の技術革新が始まるんだわ。魔物素材で作る人もいれば、金属を用いる人も当然のように居て……一昨年なんかは元の世界でよく見た、横に広い雪かきスコップを作ってる奴がいたな……魔鉱素材のために重すぎて、使いづらかったみたいだが。
ちなみに、俺はギルド貸し出しのスコップを使っている。カイリュウのブレスを弾いたときみたいに、こっそりチートで耐久力を上げれば、まず壊れる心配がないんでね。
しかも、木製だから軽いしな。取り回しもしやすくて便利だぞ?
「って、いかんいかん……このままボケーッとして一日を終えるのはさすがにもったいない」
でも、寝起きってあんまり動きたくないよな……この虚無の時間を皆はどのように過ごしてるんだろうか……。
「……うっし!ひとまず体を起こすためにも、軽くトレーニングでもしますか」
体幹に筋トレ。あー、雪が降ってない内にこの屋敷周りを走るのもアリだな。んで、汗かいた後は朝シャワー浴びて……時間的にはおそらく昼だが、気にするな。ポカポカな状態でちょっと昼寝したり、オルフェンスで買ってきた本を読むのもいい。
そんなこんなで日が落ちれば晩飯を頂いて、腹が落ち着いたら風呂に入るか。酒は……明日があるし、今日はやめとくかね。上がってからは、明日の活動に向けて簡単にインベントリの整理をして……就寝、だな。
「よし!じゃあ、動きますかっ」
まずはランニングからだ!とカーテンの隙間から再び空を見上げると、分厚い灰色の雲がドンッと存在しているだけだった。ただ、その視界を遮るかのようにして黒い線がいくつも映る。
「あー……そろそろ髪も切らなきゃだな。そういや、前に切った時から一ヶ月以上は経ってんのか……後で、ここの人にお願いしますか…」
自分でやると後ろ髪がどうしてもな……面倒くさくなって、一時期は適当に伸ばして後ろで一括りにしてたっけな。それなりにかっこいい髪型ではあったが……洗うときと乾かすときがネックで今はやめている。
そう考えると、リオとかアリー達みたいに長い髪でも綺麗に保ててるのは凄いよな。
今度また、るろ剣の主人公っぽい髪型にしてみますかね………やっぱ手入れに苦労しそうだし、いいや…。




