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月の影と紅に染まる太陽


 昨日はレイラと一緒に街の住民へ聞き込みを行って一日を過ごした。あいつは一昨日の夜から、飲みへ出掛けた際にいろいろと狩猟祭について訊ねてたそうだけどな。


 分かったことはたくさんある。例えば、防衛線の構築で使っている岩は魚系統の魔物の上陸を防ぐためだそうだ。

 つまり、ブラッドムーンの環境下においては魚系の魔物も陸で活動できるってことだよな……どういう仕組みだよ…。

 ちなみに、普段から陸で活動するような魔物は、上陸しても砂に足をとられて動きが鈍重になりがちらしい。身動きがとれないところを袋叩きにするのが基本らしいぞ。


 後は、冒険者は空や陸棲の魔物を主に担当し、街で暮らす漁師たちは魚系統の魔物を討伐するという暗黙の役割分担があったりする。なんなら、自慢の船で海に向かい、上陸を待たずして魔物を倒しにいく漁師達もいるそうな…。

 他にも、大きな魔物が出てきたときは領主さまの魔法が炸裂するだとか……倒した魔物を後方で漁師の奥さん達が捌いて、皆にご飯を振る舞ってくれるだとか……ほんとにいろんな情報が得られたぜ。どうやら海のオークって呼ばれる魔物が美味いらしいな。



 一日中街を訊ね回ってたのもあって、宿に帰ってからはすぐに就寝した。

 そのせいか、今日は陽が昇るよりも早い時刻に起きてしまったんだよな……せっかくなので、大浴場にて朝風呂を楽しんでいる。



「……ふぅ…朝は朝でイイな……おっ?そうか!ここからだと朝日が昇る姿も拝めるのか!いやぁ、綺麗だねぇ…」


 

 この世界でも太陽は東から昇るし、西に沈んでいく。ブラッドムーンももちろん太陽と同じ動きをするんで、もしかすると魔物たちはそれを追っかけてこっちの大陸まで来るのかもな。紅くなった月が妙な魔力を放っているのは事実だしよ。



「アリーの予想では明日に日蝕……狩猟祭が始まるんだよな?聞き込みだと、こっちが思ってたよりも死傷者は出ていないそうだが……ありえん数の魔物が襲来してくるんだよなぁ……不安だ」

 


 まぁ、チートがあるんで死ぬことはないんだが……どこまで素の自分が通用するかが心配だわ。銅級なんで、砂に嵌まった魔物をフルボッコにする係りに終始できればいいんだが…。

 とはいえ、魔大陸の魔物の素材とか飯は楽しみなんだよなぁ……まっ、頑張りますか。



「海のオーク、ね……どんな味なんだろうな?レイラに冷凍してもらえばワーデルスまで持って帰れっかねぇ……あー、海の幸なんて滅多に食う機会ないからなぁ…持って帰れたらいいなぁ」



 たとえ土産にできなくても、この大浴場で海産物を摘まみながら朝日を眺めれたら……そりゃもう、最高だろうな。



「さて、そろそろ上がりますか。太陽も海から顔を出し終え―――あ?端っこが欠けて……」



―――カランッカランッ――カランッカランッ――



「朝の鐘……じゃあ、ないな。まだ鳴り続けてるってことは緊急事態……今日が狩猟祭の始まりかよ…」



 アリーたちは既に起きてたから、こりゃ急いで支度しないとか。さすがに、今の音でリオも起きただろうしな……起きた、よな?





「――揃ったわね。既に陽は紅く染まってるわ。色づいてからまだそんなに時間は経ってないけれど……急ぐわよ」


「了解よ~」

「…うぃーっす……」

「あいよっ」

「………ふぁい……」


「はぁ……こんなので、大丈夫かしらね?」


「まぁ、魔物の姿を確認したら嫌でもシャキッ!ってするだろ……知らんけどよ」


「…そうね。それじゃあ、行きましょうか」



 俺が風呂から出た後でもレイラとリオは寝ていたらしく……ルーナがレイラを、俺がリオをたたき起こしに行く羽目になったんだわ。頬をペチペチしても寝ぼけまなこは覚めなかったんだがな。

 まぁ、服を用意したり、顔を洗いに行かせたりするのは久々だったんで、ちょっと懐かしさも含めて楽しかったけどよ……朝が弱いのは相変わらずだなぁ。

 


 というか、ブラッドムーンじゃなくて太陽が紅く染まるって表現をするのか……月じゃないんだな………ポロッと口を滑らせないよう気を付けねぇと…。

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