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楽しいお茶会 中編


「そういえば、パーティーメンバーの紹介がまだだったわね。

 今ティーセットを用意してくれたのが、私の専属侍女のエマよ。彼女はギフトにアイテムボックスがあるの。だから、ポーターとしても活躍してくれるパーティーの要ね。彼女がいなければ、私たちも未だに銀級止まりだったわ」


「どうりでいつのまにか、こんな大層な用意がされてたわけだ。御立派な日除けと机に椅子ねぇ……相当容量は大きいと見た」


「そうね。生まれ持った魔力の大きさもそうだけど、ギフトの鍛練も怠っていないもの。彼女は優秀で努力家よ?」


「お褒めの言葉、ありがたく存じます!!」



 生まれながらの魔力、ねぇ……この世界の住民は皆、魔力というのが体内にあるそうで。ギフトと呼ばれるスキルの一部を通して、その魔力を扱えるようになるそうだ。つまり、魔力だけ持ってても猫に小判ってことだな。まぁ、魔力という電池だけあってもしゃあないもんなぁ。

 んで、貴族の血統因子にはギフトで魔法系のスキルが必ず発現されるようになる情報でも入ってるんだろう。


 はぁ……膨大な魔力だけあっても、肝心の魔法系のスキルがなけりゃ宝の持ち腐れだぜ。せっかく魔法のある異世界に来たんだから、俺だって火の玉ドカーンッとか雷ズドーンッとかやってみたいのによ。水のないところでこのレベルの水魔法を?!……とかもやりたかったぜ、うん。



「ん、まぁ、うちのリオとも仲良くしてやってくれ」


「承知しました。お嬢様の幸せのためならば、如何様な命令にも答える所存でございますっ!」


「……エマはちょっとだけ私一筋なところがあるのよ。ほ、ほら、心根は一途で良い子だから……リオ君も仲良くしてほしいかなぁ~?……」


「は、はい!せ、精一杯仲良くしたいと思いますっ」



 どこがちょっとだよ!思いっきりアリー信者じゃねーか。当人のアリーですら顔がちょっと引き攣ってるしよ。おいおい、そっちのパーティーメンバーの護衛さんらまでも苦笑いしてるぜ?まっ、リオは緊張してて、周囲の様子に気づいていないようだが。


 しっかし、体型も近くて顔の造形も近い……髪色もアリーよりは少しくすんでいるとはいえ、綺麗なブロンドか。さすがに目の色までは変えられなくとも、金眼に近い茶色ね……徹底してるな。



「最後はこっちの二人ね!槍を持ってる彼女がルーナで大盾を背負ってるのがレイラよ!」


「「よろしくお願いします」」


「ああ、ご丁寧にどうも。銅級冒険者のレオンだ」


「リ、リオですっ。よろしくお願いします!」



 こっちは両方ともホワイトブロンドか。両者ともに目の色も同じ黄色強めのヘーゼル。顔のパーツや雰囲気も互いに似ている……声質もほぼ変わらんし、こりゃ髪の長さでしか判別できんぞ、俺。こいつら双子か何かなのか?

 まぁ、ひとまずはミディアムヘアのルーナとちょっと長めのボブっ子レイラって覚えとくか。



「なんだか、ルーナさんとレイラさんって似てますよね。もしかして、双子でしょうか?」


「そうだよー!ただまあ双子ではあるんだけど、順番的にはルーナがボクのお姉ちゃんになるのかなっ」


「そうねぇ。わたしの方が早かったしね~。それに、性格がかなり違うのよ~、わたしたち」



 あー、うん。口開けば簡単に見分けつくわ、これ。というか、話し始めたとたんに、レイラ?の雰囲気バカほど変わったしな。ははっ、名前の真反対を行くような性格してらぁ!



「んー、まあ……なんだ。豊穣の灯りのメンツってそこそこキャラ濃いのな」


「アハハ………私がリーダーなのって、立場だけが理由じゃなかったりするのよね……」


「それは……お疲れ様としか言えんな…」


「能力的には充分すぎるほど優秀ではあるのよ、優秀では……貴族の側付きとしては性格に難ありなだけでね?

――狂信者に自由奔放末っ子気質と天然おっとりお姉さん……私ってば変わった人に好かれやすいのかしらね?」


「……きっと並外れたカリスマがお前さんにあるんだろ。まぁ、リオは常識人に育ったはずだ……たぶん」


「ほっ、それなら安心ね

――さて、どうやらもうリオ君とレイラ達が打ち解けているみたいだし…このまま私たちも親交を深めていきましょうか。ん、どうぞ座って座って」


「んじゃ、お言葉に甘えて……よっこいしょっ――と」


「ふふっ、まだそんな歳でもないでしょうに」


「バカ言え、俺だってもうすぐ30だ。立派なおっさんの仲間入りも近いんだよ」


「そうかしら。全然そんな風には見えないわね。まだまだ若々しくてカッコ良くてよ?それでも気になると言うのなら、今日はルイボス茶にしましょ。エマ、お願い」


「かしこまりました!」



 あーあー、狂信者エマがお茶のお願い一つで舞い上がってら。


 ってか、リオはあんなところで何やってんだ?ルーナ&レイラと一緒に花冠つくってんのか?

 いやまぁ、出会ってすぐに打ち解けられたのは喜ばしいことだがな?楽しそうな笑い声がここまで届いて来るのも嬉しいんだがな?


――その花冠の材料、魔喰草なんだよなぁ……いいのか?死体を苗床にして咲いてたやつだぜ。いくら、魔力だけで咲いているとはいえだな?

 あー、うん。そうだね、真っ赤で綺麗だね。あ、リオってば俺のために作ってくれてるのか。わーい、ウレシイナー……。




魔喰草の花言葉:[無情][誘惑][死の祝福][不変の愛情の証明]


Tips.魔喰草はその性質上、魔力を与え続けることで枯れずに花を咲かせ続ける。

 とある愛情深い貴族の夫妻がいた。妻が事故にて亡くなった際、遺体のそばに魔喰草が咲いていたという。一人遺された夫が死ぬその時まで、花壇に植えられた魔喰草は枯れていなかったそうだ。

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