孤児院のお風呂
前回宣言した通り今回から、日常回の始まりです。
日常会がなかなか浮かばず遅くなってしまいましたが楽しんでもらえると幸いです。
コルニルさんが居なくなって2ヶ月が過ぎたある日、悲劇は起きた。
いつものように平和に1日が終わると思っていた。
リンからあのことを聞かされるまでは。
「ルーちゃんルーちゃん、大変お風呂が....。」
「お風呂がどうかしたの?」
「お風呂が壊れちゃった。」
「ええええええええ!?本当に、本当に壊れたの?」
「ルーちゃん落ち着いて、そんなゆすらないで、痛い。」
「ごめんなさい。取り乱してしまいました。」
「ルーちゃんお風呂好きだもんね。」
そう、私はとてもお風呂が好きなのです。
孤児院の生活は大変だけど、最後のお風呂のために頑張っていると言っても過言ではありません。
「リン、壊れたって言っていたけどどんな風に壊れたの?。」
「お湯が出なくなっちゃった。」
「致命的ではないですか。」
「今日のお風呂どうしよう。」
「まずは、ネリウスさんに相談しましょう。」
私たちは、ネリウスさんに会いに孤児院長室へと向かった。
「ネリウスさん、今大丈夫ですか?」
「今かい?大丈夫だけど、どうかしたのかい?」
「実はお風呂が壊れてしまいまして。」
「あのお風呂が?そっかちょっと待って。」
そう言って、ネリウスさんは出かけて行った。
それから数時間後。
「ただいま〜、ふっふっふ」
コルニルさんが帰ってきた。
「コルニルさん!?」
「なんで帰って来たって顔でこっちを見るな。」
「だって、全然帰ってこなかったじゃないですか。」
「しょうがないだろ、帰れないほど忙しかったんだから。」
そんなやりとりをしながら、コルニルさんが帰って来た理由を聞いた。
「ところで、なぜ急に戻って来たのですか?」
「孤児院の風呂が壊れったって聞いたら、戻ってくるに決まってるだろ。」
「え、お風呂のためですか?」
「駄目なのか?じゃあ風呂は当分お預けだな。」
「駄目じゃないです、でもどうするんですか?」
「いい機会だからお風呂を改装してしまおうって思っただけさ
「本当ですか!?」
「私が嘘をつくような人間に見えるか?」
「・・・見えないです。」
「なんだ今の間は!」
「なんでもないです。」
「まあそう言うわけで、戻って来たわけだ。」
コルニルさんが眩しく見えます。
「じゃあすぐ始めるか。」
「始めると言われましても、何をするんですか?」
「まずは、簡単な設計図を作る。この辺は私がやるから、どんなものがいいのかみんなで話し合ってくれ。少々大きくてもその辺はどうにかなるから気にしないでいい。自分達の理想の風呂を考えるといい。」
「自分達の理想のお風呂.....。」
それから私たちは話し合いを始めた。
「リンは、どんなお風呂がいいと思う?」
「うーん、とりあえずおっきなお風呂がいいと思うな〜」
「おっきなお風呂か、ヘルサナは、どんなのがいい?」
「可愛いのがいい....それとみんなで体洗いっこがしたい。」
「可愛いのと、洗いっこね。うんわかった。」
それから他の子にも話を聞いてコルニルさんに話に孤児院長室に向かった。
「コルニルさん、入りますね。」
「ああ、ルーテシアか、どんなのにするか決まったかい?。」
「はい、浴槽は、大きく、みんなで体洗いっこが出来るくらいの広さで、可愛い装飾が欲しいです。それといい匂いのシャンプーが欲しいそうです。」
「そうか、わかった。あとはこっちたまやっておくから楽しみにしておいてくれ。」
「お風呂はどのくらいでできるんですか?」
「今日の夜までにはできるからそんな心配そうな顔をするな。」
「わかりました!!」
「嬉しそうですね。」
「あの子は、多分この孤児院の中で1番の風呂好きだろうからね。」
「そうだったんですね、かれこれ2ヶ月観て来たつもりだったんですけどね、まだあの子たちのことを知らないものですね。」
「ネリウスはよくやってると思うよ。」
「あなたにそんなことを言われると思いませんでしたよ、コルニル。」
そんなやりとりがあった後、ルーテシアはウキウキだった。
「ルーちゃん、コルニルさんなんて言ってた?」
「今日の夜までにはできるって。」
「そっか、よかった今日はお風呂なしとかじゃなくて。」
「本当に、よかったよ。お風呂入らない日とか考えられないよ。」
「ルーちゃん....今日お風呂洗いっこしても、いい?「
「いいですよ、ヘルサナ。」
そして夜になった。
「本当にお風呂ができてる。」
「だから行っただろう、夜までにはできるって。
「コルニルさんありがとうございます。」
「いいって、これまで戻らなかったお詫びだと思ってくれれば。」
「今日はコルニルさんとネリウスさんも一緒に入りませんか?」
「私はいいよ、ネリウスもいいだろう?」
「ええ、賑やかなお風呂というのもいいものですからね。」
みんなで入ることになったお風呂は、いつもより賑やかだった。
「ルーちゃんの肌すべすべ〜。」
「やめなさいリン。」
「本当だ〜、すべすべしてる〜。」
「コ、コラ、ヘルサナまで、もぅくすぐったいでしょ。」
「そういえば、リンは髪伸ばさないの?」
「伸ばしたい気持ちはあるんだけどね、お手入れが少し面倒で。それに比べてルーちゃんは長いよね、お手入れとか大変じゃないの?」
「なかなか乾かないし、枝毛とかの手入れも大変だけど私はこの髪が好きだから伸ばしてるの。」
「それよりも、ネリウスさん大きいよね、アレ。」
「羨ましいな、アレ。」
「なんだ、みんなこっち見て。」
「お前のそれが羨ましいんだよ。」
そう言ってコルニルさんは、ネリウスさんの胸を指差した。
「なんだ、こんなのただ重いだけだぞ。私にしてみれば無い方がいい。」
「ある人はみんなそう言います。」
「ネリウス今のは、私も少しイラッとしたぞ。」
「ネリウスさん、覚悟!!」
「うわあああああ。」
楽しく入っていた私たちは、見事にのぼせてしまった。
「はしゃぎすぎだお前たち。」
『ごめんなさい。』
「もうお嫁に行けない。」
「そこ!いつまでもくよくよしない。」
こんなに楽しいお風呂は初めてでした。
これからも、こんな風に過ごせるといいな。
ここまで読んでいただいた方本当にありがとうございます。
毎回読んでくださる方には頭が上がりません。
次回は、もう少しルーテシアたちを勉強させる予定です。
また次回も読んでいただけるとモチベーションが上がります感想、アドバイス等あれば書いてもらえると嬉しいです。