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夏のホラー参加作品

「見つけてくれー!」


『も〜い〜かい?』


『まあ〜だだよ』


「あ! 人の声が聞こえる」


『も〜い〜かい!』


「何処だ? 何処にいるんだ?」


『『『『『『も〜い〜よ』』』』』』


俺は部屋から飛び出て声の主たち、子供たちの姿を探す。


「オーイ! 何処だぁー!」


『チーちゃん見っけ』


『アハハハハ見つかっちゃたー』


声はすれども姿が見えない。


幻聴なのか?


否、幻聴ならスマホに録音できない。


3年前、今住み暮らしている総合病院の前にある交差点の横断歩道上で、俺はボーっと総合病院を見上げていた。


横断歩道上に突っ立っている事に気がつき慌てて横断歩道から歩道に走り周りを見渡す。


横断歩道に突っ立っていたのにクラクションが鳴らされない訳だ、車が1台も走って無い、それどころか人っ子一人いない。


街一番の繁華街に隣接している場所なのに、おかしいだろ。


俺はそのあと人の姿を求めて街の中を走り回り電話を掛けまくった。


徒労に終わる。


誰も居らず、電話の発信音が途切れる事も無かった。


人がいないだけじゃ無い、犬も猫もカラスやスズメの姿さえ見えない。


それに虫も見当たらなかった。


横断歩道のド真ん中で気がつくまで何があったんだ?


新型肺炎のワクチン接種のため朝家を出て、友人で病院の院長の息子が働いている総合病院前の交差点を渡り始めたところまで覚えている。


その後だ、その後、気がつくまで何があったんだ。


3年経つのに未だ思い出せない…………。


途方に暮れた俺は住んでいたアパートから総合病院の特別室に引っ越した。


何で病院なんかに引っ越したのかって言うと、友人が教えてくれたんだがこの総合病院、広い敷地の中に太陽光発電や風力発電のシステムが備わっていて、地震等の災害で停電になっても大丈夫らしいから。


それから総合病院で1人暮らしている。


それが、半年程前から複数の子供たちが走り回り游んでいる声が聞こえるようになったんだ。


『見つけたぞー! 隆史、お前で最後だー』






「コラー! ここで遊んでは駄目だって言ったでしょう!」


「やべー! 看護師長ババアに見つかったー、みんな逃げろー」


「誰がババアだって? コラ! 待ちなさい」


「ほら、チーちゃんも病室に戻りましょう」


「ウン、ねー看護師おねえちゃん


「ん? なあに」


廊下と大きなガラス張りの窓で隔てられている無菌室の中に寝かされている男性を指差しながら質問する。


「あの男の人、私たちがここで遊び始めてから一度も起きてこないけど、生きてるの?」


「生きているわよ。


あの方はね、3年前病院の前の交差点で信号無視で突っ込んで来たトラックに撥ねられたの、そのせいで脳を損傷して3年間一度も意識が戻らないの」


「フーンそうなんだ、可哀想だね」


『俺はここにいるぞー、誰か! 誰か! 俺を見つけてくれー!』


「さ、病室に戻りましょう」


「ウン」











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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです! いつか、お世話してくれる人の手をガシッと掴みそうで怖いです……。
[一言] まさかの事実!! 背筋が震えました( ̄▽ ̄;) 面白かったです!!
[良い点] なんともゾッとするかくれんぼに、思わず鳥肌が立ちました(>_<) 事故でそんな孤独なかくれんぼをしなければならないなんて(しかも自分のせいじゃない事故で……(>_<) しかもそれが誰にでも…
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