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覆面の苦労人 ~遂行者代理の生き様~  作者: バガボンド
第1部 遂行者と警護者と
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第1話 創生者の願い事3 遂行者(キャラ名版)

ティルネア「あの・・・魔法ですが、攻撃魔法は良いのですか?」

ミスターT「うーむ・・・そこまで持つと、賢者とか言われかねないしな。」

ティルネア「そうですか・・・。」

ミスターT「それに俺の存在は、あくまで支援的な存在だ。表立っての行動は良くない。」

ティルネア「まあ確かに・・・。」


 現状でほぼ十分なのに、全ての力を渡そうとする雰囲気の彼女。半ば呆れ返るしかない。俺の身を案じてのものと思われるが、そこまで無力な存在ではないしな。


 伊達に数十年、警護者の生き様を貫いてはいない。身内や恩師が挙げるには、俺の戦闘力は警護者界でも最強クラスだと言われている。流石にそれはないとは思うが・・・。


ミスターT「それに・・・攻撃魔法自体は、多分・・・。」


 そう言いつつ、初級の回復魔法を右手に込めだす。その状態から、球体を構成するようなイメージを膨らませると、右手にバスケットボール大の淡い光が出来上がった。


 それを魔力を駆使して前面に放出してみた。言わばヒールボールであろうか。ただし、この力は対不死属性モンスターに対しては特効と思われる。それにこのヒールボールは、恐らく連射する事も可能だろう。


 戦艦の主砲に近い力が超連射されるとするなら、不死族系の魔物には超絶的な特効薬になると思われる。対不死族系への対策は磐石だろう。


ミスターT「ふむ・・・これなら、ゾンビやスケルトンだったか、それらには効果がありそうだ。」

ティルネア「す・・凄いですね・・・。」

ミスターT「あー・・・これに関しては、身内のネタよ。彼らの知識があったればこそだわ。」


 そう言うしかない・・・。過去に身内が、各作品の魔法を繰り出したりするネタを披露してくれていた。その応用となるのだが、まさか実際にできるとは思いもしなかったが・・・。


 不死属系モンスターたるアンデットには、生命体を回復させる回復魔法は超絶的な特効薬になる。回復魔法の威力によっては、怖ろしいダメージを与えるとも言われている。


 治癒魔法は生命体には治療となるが、アンデットに対しては逆に状態異常を引き起こすと言われている。どちらも空想の産物でしかないため、実際にどうなるかは不明だ。


 これらの情報は、身内の各作品から挙げられるネタである。だが、今はそれが皮肉なまでに有益な情報と言えてくる。今はそれを参考にするしかない。



ミスターT「対アンデット群に関しては問題ない。それに、多分だが魔力の渦や球体を相手に放つのも有効だろうし。」

ティルネア「なるほど、言わば無属性の攻撃魔法になりますね。」


 感心した表情を浮かべる彼女。これも身内のネタによるものだが、魔力自体は無属性の力と言えるようだ。そこに各属性を付与する事により、火魔法や風魔法などに化けるらしい。


 俺も各作品を窺う限り、属性魔法自体は独立した存在で顕現されていた。実際には、魔力に属性を付与する事で化けるのだと言う。万物に混在する、各種の根源的な属性だろう。それを増幅して放つのが属性魔法のようだ。


 ティルネアが挙げるには、初歩的な攻撃魔法は誰でも使えるとの事なので、今は得なくても大丈夫だろう。あくまで俺の立ち位置は、完全な支援キャラである。


ティルネア「それと・・・地球と異世界とで、かなりの力の差が生じてしまいます。」

ミスターT「ん? 特に問題はないと思うが? 弱体化しなければ問題はないと思う。」

ティルネア「いえ・・・その真逆です・・・。」


 申し訳なさそうに語る彼女に、非常に嫌な予感が脳裏を過ぎった。これも身内が挙げた、各作品に描写される超常的な戦闘力の加算だ。


 ティルネア自身、地球と異世界との力量差は分からないらしい。彼女が異世界に介入する事は非常に希であり、しかも直接降り立つ事もなかったとの事だ。


 今回は異例中の異例との事もあるため、彼女を含めた俺の戦闘力は相当なものだと挙げている。これはもう、超チート性能になりかねないだろうな・・・。


 これもそうだが、創生者ティルネアより与った魔力にも加算され、とてつもない力に化けてしまっていた。当然、今の俺がそれを知る由もないのだが・・・。




ティルネア「ミスターT様、この3つの力だけでよろしいのですか?」

ミスターT「“力を持ち過ぎる者は全てを壊す”恐れがあるしな。このぐらいで良いと思う。ただ、一応の“監視役”が追随してくれると有難いが・・・。」


 ダメ元で挙げてみた。ここまで至れり尽せりの様相を踏まえれば、与えられた力の監視役が欲しい。つまり、創生者ティルネアに同伴を願い出るものだ。


 ちなみに彼女自身、確かに生命体ではあるが、精神体に属する存在となるとの事だ。肉体を持たないため、姿を消したりできるらしい。同伴してくれる場合は、非常に心強いが・・・。


 それに、彼女が少々“抜けている”部分を踏まえると、俺の方が監視役にならねばならないかも知れない。彼女には悪いが、今後の異世界事情を踏まえると重要だろう・・・。


ティルネア「・・・分かりました。本来ならば、貴方だけで挑んで欲しいのですが・・・、かなりの無理難題を提示してしまいましたからね・・・。」

ミスターT「すまない。無論、常に姿を消して貰っていて構わない。さり気無く監視をしてくれればいい。」

ティルネア「監視と仰いますが・・・貴方には必要ないと思われますが・・・。」


 僅か短期間で、こちらの内情を察知してくれたのだろう。疑いの余地がないといった雰囲気を醸し出している。出逢い頭に誠実な対応をした効果が発揮されたと思う。


 無論、それらを期待してのものではない。何度も挙げるが、警護者自体、初対面の相手には誠実な対応が必須である。依頼を確実に遂行するためである。


ミスターT「何処までやれるかは分からないが、請け負ったからには最後まで貫き通す。創生者たる貴方の顔に泥を塗る真似は絶対にしないよ。」

ティルネア「あ・・ありがとうございます・・・感謝します・・・。」


 何度となく深々と頭を下げる彼女。その彼女の頭を無意識に撫でてしまった。俺が良く行う行動であり、流石に創生者に対しては失礼だったかも知れない・・・。


 だが、一瞬呆然とするも、その意図を察知してくれたのか笑顔を浮かべてくれた。年代的に相当な年齢差があると思われるが、そう言った概念は必要ない。


 烏滸がましい限りだが、目の前の人物に対する、対等とも言える生命体同士のやり取りだ。人間だろうが創生者だろうが関係ないわな。




ミスターT「あ、悪い。1つ訊き忘れたのだが、飛ばされた時から時間の経過は発生するのか?」

ティルネア「いえ、完全に分離した形になります。また、貴方の寿命と言える時間の経過自体も、停止させて頂きました。」

ミスターT「おー、超心強いわー。」


 棒読みで皮肉を込めて言うと、小さく笑う彼女である。恐らく、こちらの内情を読んでいると思われるが、地球との時間差がなければ実に幸いだ。つまり、異世界での警護者任務に全力投球する事ができる。


 と言うか、時間停止とか異常としか言い様がないが、ここは無粋な考えだろうな。彼女が望むのは、自身が持ち得ない力に対しての遂行者である。それが俺であったという事だ。


 ならば、警護者としての生き様を通し、彼女の遂行者として行動するのみである。



 ちなみに現地言語に関しては、“自動翻訳能力”を追加してくれた。更に、相手や物品に関する情報を得るための“任意鑑定能力”もだ。


 これだけでも相当な力になるのだが、異世界からすれば俺の方が異世界人である。ここは、この力の恩恵に与るしかない。向こうに赴くも、肝心のコミュニケーションが取れなければ本末転倒だ。


 3つだけの能力追加と挙げたが、実際には5つの能力追加となってしまった。更には個人に発現されるスキルを合わせれば、実に6つの能力である。ティルネアの寛大な処置には、ただ脱帽である。



 その後も、時間が許す限り打ち合わせを行った。ティルネアからすれば、直ぐにでも遂行者として活動して欲しいと思う所だろう。しかし、準備を整えない状態での到来は、非常に危険となる。


 幸いにも、先にも挙がった通り、時間は十分ある。召喚される先の異世界の情報を、創生者たる彼女から何度も伺い続けた。彼女の方も、俺自身が納得するまで付き合ってくれている。


 しかしまあ・・・異世界への転移召喚か・・・。普通に考えれば、この白い空間に到来した時に大混乱しただろう。それが落ち着いていられたのは、やはり身内の各ネタ話が免疫力となったのだろうな。


 当時は突拍子もなく放たれるネタに、ただ呆れて聞いていた。だが、今はそれらが超絶的に役立ってくれているのだから、実に皮肉な話である。



 ティルネアから挙げられた、遂行者を担って欲しいという願い事。理路整然と解釈する事はできない様相だが、今は信じ切るしかない。


 彼女が持つ力は本物だ。それに実際に与った事により、確信的だと思い至った。ここに来てまで疑いを持つのは、彼女に対して実に失礼である。


 それに、彼女の儚げな姿は、過去に同じ出来事を彷彿とさせてくる。それが何なのかは不明なのだが、彼女を助けるべきであると本能的に訴えてくる。


 我ながら思うが、俺は苦労のしっ放しだわ。それでも、目の前の存在を守り切れるのなら、俺の存在は無駄ではない。


 ともあれ、今は臨時の創生者という遂行者を担うのみである。


    第1話・4へ続く。

 話数のストックに余裕ができたので、連続更新と参ります@@b まあ、今も創生者フィールドでの対話中なのですがね(-∞-) その場の時間が停止しているなら、こうして現地に向かう前に念入りな作戦会議を行うべきです(何@@;


 まあ、そういった作戦会議を行わず、ぶっつけ本番で挑む方が良い場合もありますがね@@; 今回の自分のパターンだと、こうした事前打ち合わせをする流れにしています><; これが欠落した状態でスタートが、探索者側でしょうか。いきなり現地に放り込まれましたし@@;


 ともあれ、第1話までは、このまま連続更新を行いたいと思いますm(_ _)m 追記創生も頑張らねばU≧∞≦U

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