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覆面の苦労人 ~遂行者代理の生き様~  作者: バガボンド
第1部 遂行者と警護者と
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第4話 追放の獣人3 昇格試験(キャラ名版)

 トーラの準備が整ったので、俺達は昇格試験の対象となる魔物の討伐に向かった。


 テネットより提示された今回の対象だが、前回と同じパワーベアーらしい。しかし、俺とリドネイとトーラが加入した事により、討伐対象数が通常の4倍にまで膨れ上がった。


 本来なら非常に厄介な戦いになるのだが、7人ものパーティーとなったので全く問題ない。しかも、トーラの戦闘スタイルは、何と俺と同じ防御スタイルになった。


 彼女が選んだ武器は、下見時に目撃した、あの身丈以上の特大剣だ。材質は鋼鉄製である。盾も鋼鉄の大盾を選んでおり、攻守共に凄まじい様相である。逆に、防具はリドネイと同じ軽装備という、非常にアンバランスな感じだが。


 先にも挙げたが、実際にこれが通用するかは確かめる以外にない。ただ、トーラの種族を考えれば、俺達が選んだ武器防具は問題ないと思われる。やはり、ぶっつけ本番以外に有効な手段はない。


 戦闘に関しての戦術はこうだ。俺とトーラが防御を担当し、支援はウェイスとサイジアが行う。攻撃はナディト・エルフィ・リドネイの3人となる。


 と言うか、4人から何故かリーダーをやってくれと言われたのが、非常に納得がいかない。俺は補佐役の方が合うのだが・・・。




トーラ「お・・抑えました!」

ナディト「おうよっ!」


 目的の場所に向かう際、襲来してくる魔物達。スピードハウンド・ゴブリン・コボルドの群れである。問答無用で襲い掛かってくる相手を、鋼鉄の大盾で防ぎつつ攻撃を受け止めるトーラ。そこに猛攻を加えるナディトとエルフィ。


 トーラは無論、他の2人の戦いを初めて窺った。ナディトは巨大な槍を振り回し、相手の防御面を有無を言わさず薙ぎ払う。重量級の獲物でしかできない戦術だ。


 逆にエルフィは長剣の二刀流を駆使し、機動力で相手を翻弄する。ナディトの補佐に入る場合もあり、お互いに隙が全く発生しない。これは獲物こそ異なれど、ウェイスとサイジアも同じ戦い方を行っている。


 俺は白銀の大盾を駆使し、携帯方天戟で相手の機動力を殺いでいく。足元を傷付ければ、自ずと動きを制御できる。いや、できたと言うのが正しいか。


 先の資金稼ぎ時は、攻撃を中心とした相手を即死させる手法で動いていた。しかし今は、周りを支援するために動いている。相手を即死させるのではなく、動きを封じる事を念頭に入れているからだ。


 まあ、動きを封じられた魔物達は、太刀型日本刀を振り回すリドネイに一蹴されていく。華奢な美丈夫に見えたが、実際の腕力は相当なものだと確信できた。



リドネイ「・・・太刀型日本刀の切れ味は凄いですね。」

ミスターT「本当にそう思うわ。」


 右手に太刀型日本刀、左手に通常日本刀を持つ彼女。俺が攻撃を防いだ相手に、勇猛果敢に突撃していく。異世界の獲物を十二分に扱う姿には、ただただ驚くしかない。


 攻撃手の盾に関してだが、左腕に装着していた。普通は左手を使い、構えるタイプになる。それを左腕で構えるため、扱いは若干難しくなる。だが、左手が使えるようになるため、獲物を両手で構えられるのが利点だ。


 ナディト・エルフィ・リドネイはこのスタイルを取るため、防御面には若干の不安はある。攻撃手と挙げた理由は、正にここに由来するだろう。


 また、刃毀れなどが心配になるが、武器屋の店主から研磨セットも別途購入した。トーラの武器を入手する際の出来事である。ただこれ、獲物が磨耗していないように見えるのだが。


ミスターT(ティルネア、地球仕込みの獲物に関してなんだが・・・。)

ティルネア(恐らく・・・何らかの強化が成されていると思われます・・・。)


 念話で彼女に訊ねてみた。ティルネア自身も、異世界へと持ち運んだ武具が強化されている事に驚いているようだ。特に日本刀群は刃毀れをし易く、彼女もそれを見抜いている。


 今も猛攻を加える、リドネイの二対の日本刀。スピードハウンドやゴブリン達を斬り付けているが、刃毀れをしていなさそうに見えるた。


リドネイ(刃毀れをしない武器なんて・・・異常の何ものでもないですよ・・・。)

ミスターT(そうは言うがな・・・。)

ティルネア(地球の技術力に、転移時の超強化の施し、恐ろしいですね・・・。)


 三者同時に溜め息を付く。すっかり異世界仕様に順応している2人は、オーバースペックとなる獲物群に呆れ気味だ。かく言う俺もそうなのだが、何処か割り振れている感も否めない。何はともあれ、これなら十二分に活躍ができる。


 俺の立ち位置は、あくまで遂行者であり、警護者としての生き様だ。それらを用いて、周りを支えてこそ真価を発揮する。俺だけが活躍するのは愚の骨頂だわ。




 並み居る雑魚魔物を蹴散らしつつ、目的の場所へと到着する。そこは、パワーベアーが群生する巣窟で、目の前にはかなりの数の彼らがいた。こちらを察知し、凄まじい殺気を放ってきている。


 しかし、こちらの力を把握しているのか、殺気こそ放つが襲っては来ない。ウェイス達は既に交戦経験があるため、盾を構えつつ慎重に様子を窺っている。


 その彼らを補佐するリドネイとトーラ。俺は不測の事態に備えて、彼らの背後から周囲を窺い続けた。懸念材料は、ブラックハウンド群とカス共である。


ミスターT「俺達の加勢で討伐数が増えちまうが、可能な限りの支援はし続ける。」

ウェイス「ああ、有難い。ミスターは“不測の事態”に備えてくれ。」

ミスターT「委細承知。」


 今回の目玉は、4人の昇格試験。よって、主役は彼らである。俺達は彼らの補佐であり、主役ではない。むしろ、不測の事態に備える役割だ。


 ただ、目の前のパワーベアーの数が尋常じゃないので、4人をフォローしつつ、場合により加勢する形を取る事にした。リドネイとトーラが補佐役を担ってくれる。


 しかし、初見装備で十二分に動けるトーラには、とにかく驚かされる。狼人族であるとか、そう言った次元ではない。戦闘経験が非常に豊富だったのだ。初対面時の怖じた雰囲気を、一切感じさせない振る舞いも驚きである。


 それに、身丈以上の鋼鉄の特大剣を振り回す姿には、ある意味興味を惹かれる。見た目に反した言動をする存在は、身内の言葉を借りれば“萌え”そのものだ。


 ・・・推測の域だが、トーラも何らかの一念を抱えているのかも知れない。リドネイと同じ様に、だ。



 対峙する事、数分後。痺れを切らしたパワーベアー達が、一斉に襲い掛かってきた。正面から捉えるなら、それだけで恐怖の対象でしかない。


ミスターT(我が魔力よ、鼓舞の力となりて、俺達に活力を与えてくれ。パワーアップ、シールドアップ、スピードアップ。)


 脳内で簡単な言葉を並べ、支援魔法を放ってみた。内容は、攻撃・防御・速度の支援だ。とは言うものの、今回初めて使うため、その効果は未知数ではある。回復魔法だけは、先日リドネイを癒した時に実証済みなので問題はない。


 身体から淡い光を細かく出現し、俺を含む他の6人へと降り注いでいく。それらを目にし、驚きながらも迎撃に集中しだした。こちらを振り向く余裕はなさそうだ。


 魔法の名前は至ってシンプルだ。パワーアップ・シールドアップ・スピードアップといった感じだ。他にもマジックアップ・マインドアップ・ラックアップ・ムーブアップなどもある。


 この支援魔法群は、まるで各作品での能力アップアイテム的な感じに思える。まあ下手に長い名前だと、魔法を使う際の詠唱に支障を来たす恐れが出る。こういったシンプルな名前の方が良いだろう。


 逆に、パワーダウンなどの能力低下の魔法もある。こちらは敵側に用いる魔法なので、今は必要ないだろう。肝心なのは、味方を支援する事なのだから。



 鋭い爪を持った一撃が、前面のウェイス・サイジア・トーラに襲い掛かる。それぞれが持つ盾で攻撃を防ぎ、その隙にナディト・エルフィ・リドネイが反撃に出る。手に持つ獲物で相手を斬り付けていった。


 支援効果が乗っているからか、その一撃で相手を瀕死にまで追い込んでいる。そこに防御に徹していた守り組が反撃に出る。彼らの攻撃で瀕死の魔物達は絶命していった。


 攻守を入れ替わりつつ、相手の数を減らしていく。幸いなのが、パワーベアー達が前面から襲い掛かって来てくれている事だろう。これが側面や背後からも現れたら、かなり厄介な流れになったに違いない。


 それらを警戒して、俺だけ攻撃に参加せずにいる。端から見ればチキンに見えなくないが、例の不測の事態には十分警戒し続けた方がいい。


    第4話・4へ続く。

 トーラ嬢を加入して、昇格試験へ突入。この後、“恒例的な流れ”になります。お楽しみに(-∞-)


 余談ですが、苦労人の劇中でも、ミスターT君は素で魔法が使えません。現状使えるのは、ティルネア嬢による力の賜りによるもの。これは探索者でも同じく、魔法に見えている力は宇宙種族のペンダント効果ですので。


 あくまで、リアリティ(?)を出すために、地球種族の面々は魔法を使えない仕様にしています。まあ、その分だけ単体戦闘能力では最強クラスになっていますがm(_ _)m

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