第3話 昇格試験への加勢4 武器の物色(キャラ名版)
この後、俺達は街の武器屋へと足を運んだ。目的は防御面の強化である。4人に伺った所、盾などは武器の扱いとなるらしい。
彼らの方は、全員が盾を所持していなかったので、この際持って貰う事にした。それなりの獲物を持たねば意味がないため、ここは借金をしてでも買い求める必要がある。
とにもかくにも、生命重視なのは言うまでもない。それに、例え借金を背負ったとしても、無事勝ち進めれば返却も可能だ。先行投資と思っておけば問題ない。
武器屋に関しては、冒険者ギルドの裏手に存在した。防具屋に道具屋も並んでいる。初心者の冒険者に対して、物品を一括して購入できる事を踏まえた配置らしい。
冒険者ギルドを出てから数分後、目的地の武器屋へと辿り着いた。
武器屋へと入店すると、所狭しと飾られている武器が目に飛び込んでくる。剣・大剣・槍・斧・弓矢・杖などなど。鈍器や特大剣などもあり、冒険者の特性に合った獲物が選べるようである。
と言うか、特大剣の大きさには度肝を抜かされた。俺の背丈以上の獲物だ。両手で持つ事は必須とされ、とても盾を持つ事はできなさそうだ。
まあ恐らく、超幅広の刃が盾と同じ扱いに振る舞えると思われる。流石に圧し折れる事はないとは思うが、油断は禁物だろうな。
武器屋店主「いらっしゃい、入り用で?」
ミスターT「お初にお目に掛かる。盾を探していてな、良いのはあるか?」
俺達が入店した後、カウンターに座る厳つい格好の男性が語り掛けてきた。正にオヤジ的な風格である。顔に無数の傷がある事から、彼も戦場で戦った経験があるのだろう。
入店目的を店主に話すと、そちらの方へと案内してくれた。ぶっきらぼうに見えるも、実は切実な応対を心懸けてくれた。本当に感謝に堪えない。
盾が置かれたスペースに辿り着くと、その種類の多さに驚かされた。小型の盾から普通の盾が主流で、俺の身丈に近い大型の盾まである。先の特大剣に近い様相だ。
流石は防御に重点を置いた獲物である。特に大盾は防御面では最強クラスだろう。問題は、やはり持ち上げられるかどうかだが・・・。
リドネイ「マスター、どれを選べばよろしいでしょうか?」
ミスターT「んー・・・お前さんが問題なく扱えるのが無難だが・・・。」
悩ましそうに盾を見入る。リドネイの体格からすれば、大盾より小さく、普通の盾よりも大きい盾でも問題なさそうだ。しかしここは、彼女の機動力を活かせる普通の盾が無難か。
先程の日本刀を振り回す姿からして、機動力を発揮する戦闘を得意としている事が窺えた。確かに扱えるのなら、防御面で優れている大盾の方が有利だ。だが、彼女には聊か不利になるのは言うまでもない。
逆に俺の場合なら、ドッカリと腰を据えて待ち構える戦い方が得意な方だ。ティルネア直伝たる回復治癒支援魔法、これを使える場を作れるなら大盾が遥かに有用である。
武器屋店主「嬢ちゃんの身丈を踏まえれば・・・これが良いだろうな。」
リドネイ「ふむふむ・・・。」
近場の普通の盾を持ち、それをリドネイの左腕に合わせる店主。彼女の左腕全体を覆う程の大きさだ。試しに持たせて貰ったが、何と重さの方は日本刀と同じぐらいだった。見事に予想を覆されてしまう。
何でもこの盾は、集中防御型を取る形式らしく、盾の中心が非常に分厚い。その他の周りは薄くする事により、重量を抑えているのだとか。
そもそも、盾の淵で致死性を孕んだ一撃を受け止めるのは、自殺行為にも程がある。盾は中心の装甲が厚い箇所で受け止めてこそ、真価を発揮するのだから。
それを度外視した作りをしているのが、俺が持とうとしている大盾である。
普通の盾を店主に戻し、俺は大盾が置かれた場所へと向かう。盾のスペースの一番端に、その場所はある。とにかくデカい盾が多い。しかし、ここでも期待を裏切られる事になった。
ミスターT「・・・マジか・・・。」
一番手前にあった大盾を持ってみる。すると、すんなり持ち上げる事ができたのだ。これ程の重量級な盾を持ち上げられた事に、ただただ驚愕するしかない。
しかし、流石に片手でブンブン振り回すには重過ぎた。携帯十字戟ほどの重量ではないが、振り回すのは間違いなく不利である。だからこそ、ドッカリ構えて使うのだろうな。
ウェイス「・・・ミスター、それを持ち上げられるのか・・・。」
サイジア「・・・見事ですね・・・。」
一部始終を伺っていたウェイスとサイジアが、驚愕と感嘆の声を挙げている。この体躯が良い2人が持つ盾でも、先程リドネイに進められた普通の盾である。それを踏まえれば、俺が持とうとしている大盾は規格外に等しい。
同時に、それだけ防御面では有用である証拠となる。5人の盾となる存在なら、彼らの補佐は十全に活躍できるだろうな。
ミスターT「店主、これらの大盾で一番防御面が優れているのは?」
武器屋店主「そうだな・・・一番右端のだな。」
そう指し示す先にあるのは、試しに持った大盾よりも巨大な大盾だった。それを見た時は、流石に怯んでしまう。確実に2mは超えている、超重量の大盾だ。
ここでも試しに持ってみる。すると・・・先程以上に期待を裏切ってくれた・・・。何と先の試し持ちした大盾よりも軽いのだ。拍子抜けするとは、正にこの事を言うしかない。
ミスターT「これ・・・さっきのより軽いんだが・・・。」
武器屋店主「白銀を使っているからな。物理攻撃は無論、魔法攻撃も問題なく防ぐぞ。」
これが白銀の金属か・・・初めて見た。白銀貨の硬貨は、ティルネアより存在すると伺っている。実際にお目に掛かる事は希だろうが、それだけ希少金属であるのは言うまでもない。
推測だが、位置付け的にはファンタジー世界で有名なミスリル金属か。身内が言うには、各作品で上位に位置する軽量金属との事だ。
前にも挙げたが、白銀の材質は非常に硬質であり、特に魔力伝達率がズバ抜けて優れているという。魔法使いや聖職者が触媒として使う事も多く、別名は神秘的な金属と言う名も付いている。
当然、付与魔法との相性も抜群らしく、魔力や魔法を付与すれば魔法武器に化けるという。魔法を使う戦士や剣士との相性も良いだろう。
これも以前に挙げたが、黒銀の金属も存在している。白銀を超える硬度を誇るが、非常に扱い難いとされる超希少の材質だ。これの獲物となると、相当な逸品になるだろう。実際にこの目で拝見してみたいものである。
他にも、鉄や鋼鉄もあるが、白銀や黒銀には遠く及ばない。しかし、量産品としては秀逸な金属で、数多く出回っているため安価だ。冒険者ご用達とも言ってもよいらしい。
ミスターT「・・・店主、これの価格は?」
武器屋店主「それか? 銀貨100枚だな。」
ミスターT「本当か?! 安過ぎじゃないか?」
武器屋店主「構わんさ。試作品で作ったものだしな。」
聞かされた価格に素で驚愕した。この手の逸品なら、間違いなく金貨100枚はするのだと身構えていたからだ。この異世界の金銭事情には、どうも感覚を狂わされる・・・。
店主は試作品だと言っているが、それでも白銀は相当な価値がある金属だ。硬貨でも一番高価な位の額を任されている。まあ硬貨と武器防具に使われる素材は、恐らく純度などの問題で異なるとは思うが・・・。
ミスターT「・・・リドネイに見繕ってくれた盾は?」
武器屋店主「向こうは銀貨10枚だな。」
ミスターT「ふむ・・・。」
リドネイに勧められた盾の価格は、白銀の大盾と7倍差となる。差的に考えれば、案外彼女の盾の方が高級感が感じられる。それだけ信頼に富む逸品なのだろうな。
手持ちの銀貨は201枚ある。白銀の大盾が銀貨100枚、リドネイの盾が銀貨10枚、合計で銀貨110枚の出費となる形だ。残りは銀貨91枚だが、これだけあれば他の物品は購入可能だと思われる。
生命を預ける獲物ならば、出し惜しみは厳禁だ。トコトン追求すべきである。それに、4人が遭遇したブラックハウンドの様相が掴めない以上、過剰なまでの防御面を考えた方がいい。
ミスターT「リドネイは、それで大丈夫そうか?」
リドネイ「はい。問題なく扱えそうです。」
そう言いつつ、左手に盾を構えて見せた。店主の見立て通りの性能を有しているようだ。これなら問題なく扱えそうである。
機動力を削がれるかと危惧していたが、彼女の体躯からして問題はなさそうだ。やはり、闘士の資本は体躯であると痛感せざろう得ない。
ミスターT「了解した。店主、この2つを頼む。」
武器屋店主「分かった。カウンターまで運ぼう。」
白銀の大盾を両手で持ちつつ、そのままカウンターへと戻る店主。流石にリドネイが持つ盾は持てなさそうで、彼女に頼んで持って来て貰う形になった。
ここに来て、銀貨110枚の出費か。なかなかの買い出しだろう。それでも、必要であるから購入する、ここに間違いはない。
俺とリドネイの盾は済んだが、ナディトとエルフィの盾選びが終わっていなかった。4人のうち盾を持っていないのは、この2人だけである。
先にも挙げたが、ウェイスとサイジアは、リドネイと同じ様な盾を所持している。戦術としては、2人が防御面を担当し、ナディトとエルフィが攻撃面を担当するとの事だ。
実際に見てはいないが、リドネイ自身も攻撃面を担当する事になると思われる。と言うか、俺が白銀の大盾を購入したからには、防御面に徹する以外にない。俗に言う、タンクと言う感じだろう。これも出所は身内である。
4人が一括して持つ資金は結構あるとの事。そこでこの際、盾所持者のウェイスとサイジアに買い替えを勧めてみた。防御面の強化は出し惜しみをしない方がいい。鎧などの防具は、この後見繕う事で良いだろう。
しかしまあ、異世界に到来したと思わざろう得ない。改めて武器屋を見渡すが、そこにある数多くの武器は非常に輝かしい。警護者という役職に就いているからか、武器関連に関しては非常に興味を惹かれる。
特に剣や盾など、ザ・ファンタジーそのものだ。地球で同物を購入するとなると、レプリカなどの劣化版しかない。日本では模造刀が良い例である。いや、刃なしの日本刀にも劣る。
その手の店に赴けば、西洋の騎士剣などは手に入る。しかしそれらは所詮、調度品程度の意味合いでしかない。現実で振り回せば、下手をしたら銃刀法違反で捕まる恐れもある。
まあ、うちら警護者に属する面々は、そういった法規を無視できる状態だ。でなければ、街中を武装状態で出歩く事など不可能である。それに警護者の武装は、警察庁長官殿からのお墨付きもあるしな。
無論、あくまでも警護者という位置付けでの使用になる。闇雲に振り回すのは無粋過ぎだ。
色々と武器を見て回っていると、4人の方も新たに盾の新調を終えた。彼らもカウンターに向かったので、俺も駆け付ける事にした。
既に俺とリドネイの盾の価格は分かっているので、空間倉庫より銀貨110枚を取り出す。それをカウンターのトレイへと乗せていった。案の定、俺が空間倉庫能力を持つ事に驚きを示す彼ら。店長すらも目を見張っていた。
一応、この異世界では空間倉庫の魔法やスキルはあるらしい。だが、俺が用いたのは能力扱いだとティルネアは語る。つまり、滅多に見られない能力との事だ。
そんな優れ物の能力を惜しみなく投じた彼女には、脱帽すると同時に心底呆れるしかない。まあ役に立ってはいるので、ここは素直に感謝するしかないが・・・。
これで、武器面の準備は万端となった。次は防具面である。
第3話・5へ続く。
武器屋でショッピング。特大剣や大盾はロマンです(何 デモソウやダクソウの影響が強いです><; アレらは筋力がないと持てませんし><; ただし、対人戦だけは超苦手ですが><;
やはり、詳細描写があると、その会話の前後を盛り立てるのに一役買いますね@@; 何故今まで、これらの描写を疎かにしていたのやら・・・。探索者に警護者、風来坊もデコレーションすれば、更に奥が深くなるのに><; これは今後の課題でしょうね(-∞-)




