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覆面の苦労人 ~遂行者代理の生き様~  作者: バガボンド
第1部 遂行者と警護者と
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第1話 創生者の願い事2 能力とスキル(通常版)

「うーむ・・・最低で3つまでが候補となるか・・・。」

「・・・なるほど、これらの力ですか・・・。」


 彼女が提示してくれた力の内容に、時間を掛けて吟味し続けた。こちらの内情を察知する術を持っているからか、思った事を直ぐに窺ってくれているようだ。


 この力などは、表示と言う形での具現化はできず、脳内にそれらの様相が現れる。実際に記述などができないため、何度も思い返して吟味を繰り返した。下手に選べば、大変な事になりかねないと直感ができた。


 もし、各作品でも有名な“ステータス画面”があるのなら、そこから色々と吟味する事が可能だろう。だが、あまりにも非現実だと言わざろう得ない。


「・・・これでいいだろう。」

「了解しました。身体超再生能力、全状態異常無力化、全回復治癒支援魔法習得、と。」

「俗に言う超チート性能だが、今は無難な所だろう。不死属性が無い分だけ、普通の人間に見られるしな。」


 改めて思うと、恐ろしいまでの追加能力である。だが、現状はこの3つがあれば、如何なる事態にも対応は可能だと思われる。



 “身体超再生能力”。頭と心臓が“完全”に潰されない限り、永遠に再生を繰り返す能力。両腕両脚の欠損は、数十秒ほど時間が掛かるが生え変わる。切り傷などは、ものの数秒で治癒してしまうらしい。そうなれば、継戦能力は各段に向上してくる。


 不死者に見えなくはないが、それでも不死者ではない。生命体故に、死ぬ時は死ぬのだ。それでも、この能力があれば、余程の事がない限りは耐えられるだろう。



 “全状態異常無力化”。毒や麻痺などといった、自身に不利となる状態異常を無力化する能力。先の超再生能力と合わされば、継戦能力は更に段違いになる。赴く先がファンタジー世界であれば、状態異常に関しては盤石でありたい。


 特に混乱などが顕著だ。警護者界でもそうだったが、凄腕の人物が混乱を引き起こした時ほど、驚異的な事はなかった。最強の存在ほど、敵になった時が脅威そのものだしな。



 “全回復治癒支援魔法習得”。全ての回復魔法と治癒魔法と支援魔法を得る。これも継戦能力を維持するには必須的な力だ。それにこれは、俺自身に用いるものではない。確かに自分自身にも用いれるが、あくまで重要なのは護衛対象に対して用いて守る事だ。


 ティルネアが語った、不幸に苛まれる存在を助けて回る。相手を確実に救うのであれば、如何なる手段を用いてでも守る必要がある。警護者での生き様も同じ様なものだ。それに、俺の気質からして誰かを守る方が性分に合うからな。



 ちなみに彼女が言うには、地球人の俺に魔力や魔法の概念は合わないらしい。それでも、魔力や魔法を使うようにするために一計を案じてくれた。そうである、創生者ティルネアの力をお借りする事にしたのだ。


 これは、どう考えてもとてつもない事になるのだが、この時の俺は知る由もない。むしろ知っていたとしても、俺自身の力ではないため気に止めなかっただろう。あくまで、俺自身の戦闘力に加算されるだけだ。


 俺自身がこれらの力に決して溺れず、正しく使うという事が求められる。もし、警護者の生き様がなかったのなら、間違いなく超絶的な力に溺れていただろうな・・・。




 与えられた力が機能するかどうか、その場で実際に試してみた。手持ちの武器で、自身を傷付けてみる。切り傷程度は、数秒で治癒を終えてしまった。


 部位の切り落としの実験は、怖ろしい事この上ない。しかし、この場でその力を知る事も重要だ。左腕の袖を捲くり、手持ちの“武器”で切り落とした。当然ながら、超絶的に痛みがあるのは言うまでもない・・・。


 だが、その痛みを凌駕する安堵感が現れた。切り落とされ失った左腕が、数秒足らずで再生を開始しだしたのだ。これには驚愕せざろう得ない。


 そんな俺を見て、自慢気に胸を張る彼女が実に腹立たしかったが・・・。



 状態異常の確認に関しては、手持ちの毒セットを用いた。物々しいものだが、警護者は全ての行動を考慮して動くのが定石だ。毒により相手を無力化させるのは常套手段である。


 ただ、毒を自身に投与してみたが、何も感じる事はなかった。と言うか、この毒自体を経験した事がないため、どの様なものかは全く以て不明である。まあ一安心と言う感じだろう。


 それに、毒を服用しても即座に中和され無効化される。試しに行った実験ではあったが、全く以て効果を発揮しなかった。虚しいにも程がある・・・。



 回復魔法と治癒魔法と支援魔法に関しては、ティルネアを実験台とさせて貰った。ただし、全ての回復と治癒と支援の確認ではなく、魔法が使えるかどうかの確認だけである。


 これらの効果は全く以て不明だが、相手の部位の欠損すらも完全回復させる万能回復魔法も習得しているらしい。既に身体の部位を失っている人物を、元の姿に戻す事だ。正に奇跡としか言い様がない・・・。


 流石に蘇生魔法だけは存在しないが、心臓停止後から長時間を立たなければ、回復は可能との事だ。所謂、死亡という判断に見なされず、身体から魂が離れなければ問題ない、と言う感じらしい。地球でこれが実現されたら、恐ろしい事になるが・・・。


 ただ、できればそう言った場面には極力遭遇したくはない。だが、仮に遭遇した場合の対策は重要でもある。万般に渡って行動ができるのが、警護者たる所以だしな。



「はぁ・・・地球人としては、この3つの力は異常過ぎるわ・・・。」

「ま・・まあ確かに・・・。」


 粗方の検証実験を終えて、ただただ溜め息を付くしかなかった。そんな俺を見て、苦笑いを浮かべる彼女。それでも、自身が持つ力が役立つ事を知って、実に嬉しそうな雰囲気である。


 この3つの力があれば、完全なる支援者として行動が可能と思われる。非現実の力だが、今は認めざろう得ない。




「それと、スキルをお持ち下さい。」

「ん? 先程与った力以外にか?」

「はい。これは私も含め、個人が固有で所有する技となります。」


 そう言いつつ、俺の前に右手を掲げる。すると、その手が淡く輝き出した。その光が俺の身体へと吸い込まれていくではないか。変な違和感を感じつつも、不思議と脳内に浮かんだ言葉が口から紡がれた。


「・・・“金剛不壊”?」

「それが貴方のスキルとなるのですね。」

「ふむ・・・お前さんでも、俺が何を取得するか分からない訳か。」

「ええ、私もそうでしたので。」


 口にしたスキル名“金剛不壊”。効果の方も脳内に自然と湧き上がってくる。どうやら、このスキルは瀕死の状態でも“絶対に倒れない”という代物らしい。


 これも実際に効果を試してみたいが、もし俺の予測が正しいなら怖くて試す事ができない。ゲームでの体力に当てはめるとするなら、恐らく“体力1で踏み留まる”という効果だろう。絶対に壊れない生命、と言う感じである。


「・・・身体超再生能力だけでも恐ろしいのに、絶対に倒れないとなると・・・。」

「・・・正に化け物ですね・・・。」


 俺が取得したスキルに関しては、流石の創生者ティルネアでも呆れ返っていた。これは先に挙げたが、スキルの取得に関しては任意に決められないらしい。創生者たる彼女ですら無理と言うのだから、最早どうする事もできない。


 ちなみに、彼女の固有スキルは“創生力”との事だ。それにより、身体超再生能力などの能力を編み出したりしたそうだ。つまり、彼女は創生者になるべくして生まれた人物という事である。



「それと、スキルの受け渡しはできません。」

「そりゃあまあ・・・渡せたら大変な事になるしな・・・。」

「ええ、実際に試してみましたので・・・。」


 ボソッと恐ろしい事を言い出した・・・。スキルの受け渡しができない事を、実際に彼女は試したという。つまり、過去に召喚した人物がスキルを取得した際、受け渡しが可能かどうかを試したようだ・・・。


 もし可能だったと仮定すると、彼女特有の創生力のスキルを、一介の個人に渡す事になる。その場合、邪な一念を持つ存在だったらどうなるのか、考えただけでゾッとした・・・。


「・・・お前さん、創生者に向いてないんじゃないか?」

「・・・貴方に是非とも代わって頂きたいものですけど?」


 俺の皮肉を込めた言い回しに、半分正論だと言いつつも、もう半分はエラい怒り気味に語るティルネアである・・・。怒る部分は分からなくもないが、彼女は創生者という己の立場を理解して欲しいものだ・・・。


 下手をしたら、異世界自体を破滅させてしまう恐れが出る。天然なのか何なのか・・・。となると彼女には悪いが、これは少々考えねばならないかも知れない・・・。



「そう言えば、現地人の面々はスキルを持っているのか?」

「はい。年齢が5歳に達した方から、自然と発現するように施されています。」

「発現するように、か・・・。」


 ゲーム仕様そのものだわ・・・。彼女が挙げるには、生まれてから5歳に達した時、自然と固有スキルが発現されるとの事だ。各作品では10歳や15歳などが多いが、この異世界では低年齢から発現されるらしい。


 となると、スキルによっては有益かどうかが直ぐに分かる感じか。つまり、低年齢から優者であるか劣者であるかが決まってしまうのだ。これは創生者ティルネアも“操作”ができない力らしく、それらを踏まえて助け船を望んでいると言っていた。


 個々人が内在する能力でも優劣が決まりそうだが、そこに拍車を掛けるのがスキルだろう。異世界ベイヌディートは、相当な優劣社会であると確信できた。


「はぁ・・・。」

「色々とすみません・・・。」


 色々な意味を込めて、深い溜め息を付いた。そんな俺を見て、再び深々と頭を下げる彼女。創生者ティルネアですら、厄介だと思わざろう得ない仕様だ。ただただ詫びるしかないのが実状なのだろうな・・・。


 ともあれ、追加で恐ろしい個人スキルを取得する事ができた。ただ、この金剛不壊のスキルが活躍する場面には、本当に遭遇したくないものだが・・・。


    第1話・3へ続く。

 異世界転移前の、念入りの下準備などなど(何@@; いや、自分としては、異世界作品で神様的な存在と対峙した際、現地の様相とか念入りに討論をすべきだと思うのですが@@; ただ、現地で自由に過ごせ、などの場合はこの限りではありません。主人公の生き様が現地での目的となりますので。


 逆に、苦労人の劇中の様な、明確な目標がある場合は、異世界転生や異世界転移をしてくれる人物と、十分な対話をすべきだと思います@@; まあ、今回の苦労人の流れは、間違いなく現実的な感じになってますが@@;


 しかし、詳細描写があると、背景などが上手く表現できますね><; 逆に、キャラの会話がエラい少ないのが何ともですが@@;

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