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覆面の苦労人 ~遂行者代理の生き様~  作者: バガボンド
第2部 種族間の交流
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第1話 謁見と恩賞9 束の間の小休止(通常版)

 夜の帷が降りだした頃、総意は全体の作業の半分以上を攻略してしまった・・・。超劇的な結果である。特に、ラフェイド・グループが住まう地域は、完全に完成してしまった。


 作業を終えた彼らは、城下町に散開し、帝国の住人達の加勢に走り捲くっている。それらの結果により、全体の作業の半分以上を終えたという異業を成し遂げたのである・・・。


 明日も今日と同じ作業工程を踏めば、帝国本土の改修作業は全て終わる。そう、終わる。下手をしたら、夜までに終わってしまう可能性も高い。そして、それを心から望んでいる総意である・・・。


 こうなれば、最後まで付き合わせて貰うしかない。と言うか、言い出しっぺは俺自身だ。最後まで付き合わなければ失礼極まりない。



「魔法の効果は凄まじいのぉ~!」


 夜食を食い漁るミュテに、トーラにルデ・シスターズの5人。彼女達は大食漢のようで、手当たり次第に食い漁っていた。


 今は、城下町の食事所にいる。今朝方、アリベアと食事を共にした場所だ。作業に従事した面々の大多数が、所狭しと食卓に付いている。そして、5人のじゃじゃ馬娘の様に、夜食を食い漁っていた。


「なるほど、動いた分の食事摂取は必要のようですね。」


 元貴族故に、丁寧な作法で食すセアレス。ミューテやアリベア達も同様だ。だが、その食う量自体は、他の作業に従事した面々と全く変わらない。


 そんなセアレスが、現状を分析してくれた。動けば動くほど、当然エネルギー消費量は必ず出て来る。それを、スタミナアップと回復魔法で強引に抑え込んでいたため、ここに来て貪欲なまでに欲しだしたのだろう。


 これだけ大量に食して、胃の方が大丈夫かと心配になってくる・・・。だが、既に食事を終えた面々は、何食わぬ顔で雑談などに酔い痴れていた。


 これも魔法効果によるものかは不明だが、摂取した食事を即座に血肉に変えている様子だ。今までの理路整然と解釈できない物事にも驚かされたが、今のこの食事を即座に血肉に変える様相は、超絶的に驚かされた。


「・・・身体を壊さないか心配だわ・・・。」

「そこは、回復魔法と治癒魔法が何とかすると思われます・・・。」


 総意の暴飲暴食状態を目の当たりにし、心の底から驚かされ続けている。それは俺だけではなく、創生者たるティルネアも同様のようだ。彼女が持つ業物が、ここまで化けた事に驚愕し続けているようである。まあ、それはそうかも知れない。


 今の今まで、こうして総意に大規模支援魔法を放った事は皆無だっただろう。創生者故に、下界に干渉するのは控えているのもあったからだ。それが、遂行者の俺が接した事により、未知の領域に干渉しだしていると言えた。


 彼女としては、何気なく創生した魔法群であろう。ところが、実際には全ての概念を覆す可能性がある効果を持っていた。これだけの力があれば、ありとあらゆる争いに完全勝利が可能である。



 その後も、暴飲暴食の如く、食事の大量摂取を行う面々を見守り続けた。俺とティルネア、ミオルディア達だけが普通の食事の摂取法である。何と言うか、見事そのものだわ・・・。


 まあ、これも検証実験の追加状態だろう。ここは大変申し訳ないが、総意の今の状況を観察させて頂くしかない。身体に負担が掛からないのなら、今後も導入してもいい事になる。


 魔法の力は、万物を根底から覆す万能戦闘戦術そのものだ。異世界より平凡な地球、そこの出身の俺からすれば、最早人知を超えた最強の力としか言い様がない・・・。




 食事の摂取だけを行う面々は、食べ終わった後は帰路に着いていく。あれだけ賑やかだったレストランは、閑散とした様相に戻っていた。


 深夜の営業も行っているとの事なので、俺は終了ギリギリまで居座らせて貰う事にした。無論、親しい女性陣の代表的な面々は、俺と共に残っている。紅茶やコーヒーを啜りつつ、束の間の休息を満喫していた。


 とは言うものの、時刻は既に深夜を回っている。実の所、明日の行動に支障を来たさないかと、心配し続けているのだが・・・。



「・・・・・。」


 物凄い居辛い感じだ・・・。周りの女性陣は、ただ黙って物思いに耽っている。何かを話す事もなく、本当に黙った状態が続いていた。


 そう言えば、地球の身内達に言われた事がある。こうして黙り込んでいる女性に、不用意に触れる事はしない方がいい、と。危険であるとかではない。だが、触れる事すら躊躇わせる感じなのだ。


 まあ、ただ黙っている瞬間は、時には必要でもある。しかし、その瞬間が今でなくてもと思うのは、俺だけの考えなのだろうか・・・。


「・・・ダウドでもやるか?」


 余りもの沈黙度に耐え切れず、暇潰しの娯楽を提示してみる。すると、その言葉を待っていたかの如く、瞳を輝かせ出す女性陣だった。特に、ダウドを知っている面々の輝き度は、恐怖心を抱かずにはいられないぐらいである。


 ちなみに、ダウドを心底気に入った女性陣は、ほぼ全員がトランプ一式を持参していた。その中の代表として、テネットとリドネイとミオルディアがトランプを展開していく。メンツとしては、2つのグループに分けた方が良さそうだ。


 と言うか、魔獣神ミオルディアがダウドにハマっていたとは・・・。トランプ一式を持参しているぐらいだ。その意気込みは相当なものだと直感できる。


 ダウドを知らない女性陣は、2人が切るトランプを興味津々に見つめている。そもそも、トランプ自体を知らない面々もいた。特に帝国在住の女性達は、こうした娯楽とは無縁な感じのようだ。



 これはある意味、帝国にとって良い刺激になると思われる。ここまで規律に選れた国家に、娯楽機構が現れれば更に安定化して行くだろう。


 元から治安は完璧な程良いので、娯楽施設の創設後は自警団の強化をすれば問題はない。むしろ、娯楽施設の創設は住人達は無論、各兵士達にも喜ばれると思われる。


 そう言えば、王国の城下町には娯楽施設がなかった。あそこまで栄えている国家なら、民の為にも手を尽くすべきである。それが、あの状況では疎かにされているようだった。


 これに関して、現地に在住していたセアレス達に伺ってみた。案の定、娯楽施設は全く存在しなかったようだ。それを憂いてか、実際に彼女達も何れ、娯楽施設の創設を考えていたようである。


 王国の一介の貴族が、娯楽施設の創設とは烏滸がましいかも知れない。だが、貴族の本質は民の為に尽くす事だ。男爵家だったセアレス達の考えは、実に理に適ったものである。


 それに本来ならば、これは王国の上層部がしっかり行うべき事だ。セアレス達が提言するのは良いだろうが、それでは全く意味がない。本当に、自分達の事しか考えられない愚物共である。



 テネット・リドネイ・ミオルディアが展開したダウドの布陣。俺はテネットの組に合流し、配られたカードを手に持つ。ルールを全く知らない面々には、その流れを掻い摘んで説明していった。


 幸いなのか、直ぐにルールを把握し、その奥深さにのめり込んで行く面々。最初は真面目に挑むのだが、やはり終盤は恒例のダウドコールの連発である・・・。先程までの黙りは、一体何処へ行ったのやら・・・。


 これは、帝国でも大流行しそうな娯楽となりそうだ。トランプ自体は売られているので、後はその遊び方であろう。ポーカーなどは既にある所を見ると、娯楽自体は存在している様子である。


 それにしても、娯楽の世界では、やはり地球の業物達が群を抜いている感じである。向こうの様相は、ありとあらゆるものが出揃っている。あの規模の娯楽が異世界であれば、収拾が付かなくなりそうで怖いが・・・。


 何にせよ、帝国本土にも新たな娯楽の旋風を巻き起こせそうである。




 翌日も、帝国の城下町の改修作業を行った。ラフェイド・グループの区画は完成しており、恩返しと言わんばかりに、城下町の方に従事していくラフェイドの街の面々。


 俺は恒例の支援魔法を駆使し、彼らをバックアップし続けた。その手腕には、帝国の魔術士ギルドが見学に訪れる程にまで至っていた。俺としては、彼らの方がスペシャリストだと思うのだが・・・。それに、回復と治癒の魔法の効果もあり、聖職者ギルドからも見学に訪れている。


 何気ない行動なのだが、それが創生者ティルネア仕込みとあってか、是非とも観たいと言うのが本音らしい。この場合、彼女の力の方が凄いとしか言い様がないのだがな・・・。


 ちなみに、帝国は医療技術もそれなりに進歩しているようだ。ただ、本当に厳しい場合は、魔術士ギルドや聖職者ギルドから応援を呼ぶらしい。流石の医療技術も、回復や治癒の魔法の力には及ばないと言う。


 まあでも、少しでも医療技術が進歩すれば、魔法効果も相まって絶大な威力を発揮していくだろう。今はまだまだ無理だが、何れ病魔自体を怖いものだと言わなくなりそうである。


 もし、地球に魔法の概念があったとしたら、人間や動物群の生存率は激増しそうだわな。まあその場合だと、寿命以外での死去が皆無になりそうなので、生命の存続自体が危ぶまれる可能性も出て来そうではあるが・・・。



 ところで、シュネリアからの恩賞の件は、結局こちらの総合支援がそれになった。つまり、彼女からは何も賜っていない。これには、彼女の方から痛烈なまでのボヤきが入っている。


 だが、実際の所は、こちらは無償で動いている様なものだ。特に欲しいものもないので、気にするなとは伝えてある。だが、俺の姿勢が彼女達の恩賞魂に火を着けたらしい。


 今は身を引くとは言っているが、何れ大恩賞を行うと豪語している。非常に困りものだが、彼女達がしたいようにするしかないだろう・・・。


 頼むから、嫉妬を助長させる様な恩賞だけは、心の底から勘弁願いたいものだが・・・。



 ともあれ、遂行者としての生き様は、まだまだ道半ばである。それでも、今は目の前の課題を1つずつ攻略して行くしかない。不測の事態は、可能な限り排除して行く決意である。


 今も大いに、己が使命を全うする面々を見つめつつ、心中で静かに呟いた。頑張らねばな。


    第2話へ続く。

 今回は、逆のエラい中途半端になりかねなかったので多めになりました><; 4000字は多めです><; あと、殆ど詳細描写ばかりで会話は僅かという@@; そして最後はダウドと(=∞=)


 次の視点会話後に第2話へと進みますが、第2話はまだ未完成です><; ええ、苦労人側もストックが枯渇寸前の状態と@@; このままでは本当に危うい状態になりそうです><; 何とかせんきゃ・・・(>∞<)

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