第1話 謁見と恩賞4 恩賞は相手を思う事(通常版)
ブックマーク登録、ありがとうございますm(_ _)m 超励みになります><; 今後も頑張らねば(>∞<)
「お待たせ致した。」
全ての雑務を終えて、身形を整えたシュネリア。皇帝の威厳に満ちた衣服だが、何処か不服のようである。どうやら彼女、こうした形式ばった姿は嫌いのようである。
その彼女と、タキシードに身を包んだラシェスとリェセナが傍らにいる。凛々しき姿だが、笑顔を絶やさない美丈夫だ。まあでも、多岐多様の行動が出来る事を踏まえると、ワイルドウーマンと言うべきだろうか。
玉座へと座りつつ、こちらの方を向いてくる。その彼女達に向かって、俺達は片膝を付き跪いた。非常に慣れない事この上ない・・・。
「今回は、帝城へとお招き頂き・・・。」
「ああ、構わぬよ。堅苦しいのは、我も大嫌いだからな。」
そう言いつつ、ウインクをしてくる。シュネリアの言う通り、堅苦しい事を何より嫌うのが彼女である。皇帝としては、あるまじき行為ではあるが、型にハマらない皇帝も良いだろう。
それに、その様な一種のだらしない格好は、息抜きの一環だ。それ以外での言動や行動で、結果を“出し尽くしている”のだから、決して文句は言えるものではない。
「それに、お主には感謝申し上げる。先程は、我とこの2人に支援魔法を掛けてくれた。まさか短時間で終わるとはな・・・。」
今も驚きの雰囲気を放っている。傍らの2人も同様だ。数日は掛かると踏んでいた雑務が、たった数時間で終わってしまったのだから。
まあ、魔法の効果もあるとは思うが、3人の基礎戦闘力が凄まじいとも思われる。魔法は、対象が強ければ強いほど、総合的に底上げされて強化されていく。つまり、3人の実力は、相当なものだと判明したも当然である。
「此度の多々なる働きに、こちらから恩賞を与えたいと思っている。何が良いか?」
突然の言葉に驚いてしまう。俺としては、見返りを求めて動いていた訳ではない。しかし、彼女の方から恩賞を与えたいと述べてきた。
大局的に見れば、諸々の行動は帝国にとって理に適ったものなのだろう。ラフェイドの街の総合力を吸収できた事で、今まで以上の国家として活躍して行くと思われる。その移住計画に際して行わなければならなかった雑務を、たった数時間で終わらせられた事。
国家的な経済力と、時間短縮による雑務の早期終了。全てがプラスの力に傾いたと言えた。ティルネアが悲願とする、正にその概念である。
ただ、この場合は俺に淵源があったとしても、俺自身は何も望んではいない。唯一、望むとすれば、更なる安穏を目指す事だろう。
「・・・それでは1つだけ。旧ラフェイドの街には、雑務に有能な人物が数多くいます。その面々の、帝城への入城を了承頂きたい。」
「ふむ・・・その真意は何なのだ?」
俺の発言に、こちらの意図を探るように見入ってくる。旧ラフェイドの街の面々には、雑務に有能な人物がゴロゴロといる。その彼らが居れば、帝城の公務はより一層捗るだろう。
だが、その内容とは別の、帝城をどうするのかと怪訝そうにする彼女達。どうやら、俺の本当の部分を察していないようだ。直接言うしかないか・・・。
「・・・まあ何だ、お前さんに対してもっと自由が欲しい、が本音だ。」
後付けで本音を語ると、驚いているシュネリアである。先程の雑務の厳しさを踏まえれば、もう少し彼女に自由があっても良いと思う。それを実現させるための、有能な人物の登用だ。それに対しての打診である。
皇帝という役職からか、何でも全部自分で背負い込もうとしている。それを少しでも改善できるなら、総じてプラスの力に転じられるだろう。傍らにいる顕現化状態のティルネアも、念話を通して太鼓判を押してくれた。
「はぁ・・・陛下、ここは素直に折れるべきかと。」
実にフランク的に、言葉を発しだすアリベア。彼女の場合は、シュネリアの前では自身を曝け出す感じである。それに、今までの言動を見る限り、皇帝に強く物申す事ができる唯一の人物だ。
そんな彼女が、シュネリアに折れろと直訴してきた。先刻の朝食の時に、アリベア自身もシュネリアの激務に関して頭を悩ませているとボヤいていた。このままでは、過労で倒れる可能性もあるとか。
危惧する状態になりそうな時に、こちらの追加人員の提言は渡りに船である。心強い感じに思えるだろうな。
「むう・・・お主自身に恩賞を与えたいのだが・・・。」
「俺の事は気にしなさんな。元から無償で動いているしの。」
そう言いつつ、傍らのティルネアをチラ見する。俺の言動に苦笑いを浮かべる彼女である。遂行者の役割は、何かを求めて行っている訳ではない。彼女の悲願に、心から同調した事によるものだ。
それに俺としては、既に恩賞は頂いている。地球との帰還の確約と、現地の時間の停止だ。これが無ければ、心置きなく活動など出来はしない。それに、俺自身の時間の停滞もある。他にも、多岐に渡る業物を与ってもいる。
各作品のチート仕様とは異なるが、これだけでも十分に贅沢過ぎるものだ。これ以上、何を望めというのか教えて欲しいわ。
「・・・貴方は、何か望まれる事はあるのですか?」
そんな中、黙り込んでいたヴィエライトが口を開く。俺が望む事は何なのだと挙げて来た。俺が望むのは、総意の安全確保が大前提である。そのためには、個々人の戦闘力を強めねばならない。
「・・・お前さんの力は、巫女を介して劇的に強さを発揮できたよな?」
「はい。私の場合は、神獣の巫女となります。ティエメドラは、既にお2人の巫女を得ていますね。」
「ほむ。となると、妾も更に魔獣の巫女を選ばねばならぬな。」
俺の返し問いに答えてくれるヴィエライト。既にティエメドラという実演がある。巫女の存在を介して、相手を強くする事ができる。これは、ミオルディアにも当てはまるだろう。既にリドネイを魔獣の巫女に選んだが、更に選ぶ事もできるのだから。
それに、リーダー格の存在を、堅固にする事ができれば安泰だろう。その人物が、周りを守れる事に繋がっていく。となれば・・・行うべき事は、これしかない。
「ヴィエライトさんかミオルディアさんに、お願いがあるんだが。」
「大凡の推測はできました。シュネリア様に、神獣の巫女になって頂く事ですね。」
「なるほどの。この場合は、お主の方が適任じゃろう。」
端的な話から、全てを察してくれたヴィエライト。ミオルディアも同様に察してくれたが、ここはヴィエライトに譲るようである。彼女の場合なら、シュネリアが相応しい巫女となる。逆にミオルディアの場合は、リドネイの様な闇属性に近い人物が合うのかも知れない。
巫女に適任される人物は、高貴なる存在が相応しいだろう。リドネイとナーシャは、共にダークエルフ族とエルフ族の女王だ。十分過ぎる程の逸材である。それに、先にも挙げたが、既にリドネイは魔獣の巫女に抜擢されている。
それに思ったのだが、何も巫女は2人だけではなさそうだ。多ければ多いほど、その能力を強化させると推測できる。無論、巫女に相応しい存在が必須条件となるがな。
第1話・5へ続く。
無欲のミスターT君。警護者の生き様は、ほぼ無欲で貫かねば到れないという感じでしょう。むしろ、苦労人という概念の方が性に合いますし@@;
しかし、思うように執筆が進みません><; 先日まではスムーズに進んでいたのですが、再び停滞してしまっている様相で@@; それでも何とか先に進まねばと思う今日この頃です(>∞<)




