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覆面の苦労人 ~遂行者代理の生き様~  作者: バガボンド
第1部 遂行者と警護者と
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第2話 奴隷のダークエルフ1 ラフェイドの街へ(キャラ名版)

 翌朝、蓄えてあった素材で朝食を作る。昨日狩猟した魔物の素材だ。魔物の肉は食べる事ができるのかと思ったが、下手をしたら地球での動植物よりも美味かも知れない。それだけ超越する旨味があった。


 ただこれは、簡易的に調理した状態ではある。それでもこの旨味なのだから、凄腕の料理人が手掛けた場合は恐ろしい逸品に化けるだろう。魔物の肉という存在を、改めて再認識させられるしかない。


 食事時は、その美味を共に味わうべく、俺の身体に舞い降りるティルネア。創生者としての威厳は何処に行ったのだと思わされるが、彼女が望むのなら拒む必要はない。それに、起床してからの彼女は、より一層人としての自我が芽生えだしていると思われる。



ティルネア(食事というものは、実に素晴らしいものですね。)

ミスターT「はぁ・・・そうですか・・・。」


 キャンプを片付け、出発準備を整える。その際に、何時になく表情を輝かせて語る彼女。俺と同期しての食事を体験し、この上なく嬉しそうにしていた。初見時の彼女とは思えない様相である。


 ふと、何処かで記憶が囁いた。これと同じ光景を目にした事がある。だが、それが何時何処であったかは思い出せない。しかし、確実に経験している事である事は分かった。


 神的な創生者の役割を担う彼女の事だ。本来の生命体であれば出来たであろう、女性らしい行動ができずにいる。それは人間や魔物といった種族の場合である必要があるが、根本的な部分は何ら変わらない。


 俺との共闘で女性らしさを体感できるのなら、俺の存在も無駄ではないだろうな。




 出発準備を終えた後、再び平原を進みだした。キャンプの時は、魔力の渦によるバリアとシールドの恩恵により、魔物達は寄って来なかった。しかし、それが切れれば元通りだった。直ぐに各種の魔物と遭遇し、一戦を交える事になる。


 今後の活動資金を稼ぐ事もあり、襲来した魔物達を片っ端から撃退していく。彼らから得る事ができる素材群は、本当に大助かりそのものだ。



 ティルネアから伺ったのだが、ベイヌディートの通貨は硬貨を用いているとの事。材質は銅・銀・金・白銀らしい。ファンタジー世界観的な感じで、ある意味感動してしまう。また、4桁で繰り上がる計算を取り入れているらしい。


 銅貨1000枚で銀貨1枚、銀貨1000枚で金貨1枚、金貨1000枚で白銀貨1枚と。銅貨1枚は日本円の1円相当と推測できるので、銀貨1枚は1000円程度だろう。白銀貨1枚は10億円相当となる。宝くじを連想してしまう感じだ。


 一応、銅貨50枚で大銅貨1枚となり、大銅貨20枚で銀貨1枚ともなる。50を20で掛けた場合で1000となるため、硬貨の数を減らす場合は大硬貨を用いるのも良いらしい。


 まあ、銅貨・銀貨・金貨・白銀貨の単体はそれほど重くないので、大硬貨を用いる事は希と言われている。ただし、硬貨の所持数を減らす意味合いなら、用いるべきだろう。


 今は発明されていないが、紙幣が登場すれば更に楽になるだろうな。ただこの機構は、俺やティルネアの管轄外となる。今は気にする必要はないだろう。



 ちなみに、白銀の材質は獲物にも使われるほど硬質なものらしい。特に魔力伝達率が凄いらしく、魔法使いや聖職者の触媒に用いられているとも。魔法を使う戦士や剣士ならば、獲物に魔力や魔法を付与する事も可能と思われる。


 この他にも硬貨には用いられていないが、黒銀という材質があるとの事。非常に扱いが困難とされる鉱物らしいが、それを用いた獲物は天下一品に化けると言われている。


 これ、もしこの獲物群と遭遇したら、是非とも携帯方天戟と携帯十字戟に打ち合わせたいと思う。警護者の手前、獲物の強度に関しては非常に敏感である。


 今は重火器の世界となっているが、近接戦闘に関しては刃物系の獲物の独壇場だ。特に俺も使う携帯シリーズの獲物は、今後の警護者界で旋風を巻き起こすかも知れない。使われる材質に関しても、異世界へ到来した事は良い経験になるだろう。


 まあ恐らくだが、ベイヌディートの技術力は地球のそれとは雲泥の差だろう。チタニウムやタングステンなどの鉱物から成される獲物には、間違いなく勝ち目はない。唯一の利点は、異世界仕様たる魔力や魔法による増強法か。


 となれば、俺が持つ携帯獲物に魔力を纏わせれば、異世界最強の鉱物たる黒銀を遥かに凌ぐ強度を誇るかも知れない。うーむ・・・実に楽しみだわ・・・。



ミスターT「そう言えば、お前さんは戦う事はできるのか?」

ティルネア(一時的に顕現化させれば、それなりに戦う事はできます。)


 良く遭遇するスピードハウンド達を蹴散らしつつ、俺の背中に張り付いている彼女に問う。創生者たる存在なのは承知済みだが、その気質からして戦闘力は相当なものだと確信できた。


 すると、精神体から実際に存在する姿に顕現化すれば、こちらと同じく戦う事ができるとの事である。生命体ではあるが肉体を持たない彼女としては、それなりに負担が掛かると思う。


ミスターT「食事の時のアレと同じく、筐体に同期すれば戦う事は可能なのか?」

ティルネア(同期・・・でしたか、それが合えば可能だと思います。)

ミスターT「なるほど。食事の時は旨味を共感するだけだったしな。」


 味覚の共有という部分だけなら、ただ同期するだけで済むだろう。しかし、身体を動かす行動となれば話は異なると思われる。特に彼女が挙げた通り、筐体との同期は非常に重要だ。


 もし筐体との同期が可能であれば、彼女は実際に行動が可能となる。ここにも変な興味に惹かれてしまう。こう言っては何だが、常に探究心を持つ事は大切だしな。




 倒した魔物を解体しつつ、それぞれを空間倉庫に格納していく。キャンプから出発して、かなりの魔物達を倒してきた。成長の度合いを測る事はできないが、今の俺自身の戦闘力が通用する事は理解できた。


 これ、身内が語る各作品の“ステータスウインドウ”などは、今の所全く出ない。それらが出現するなら、己の総合戦闘力を把握できるのだが、流石に非現実過ぎて無理な話か・・・。


 これに関して彼女に伺ってみたが、その様な超常的な力は存在しないと断言されてしまう。むしろ、その様な力があるなら、彼女の方も欲しいと豪語しているぐらいだ。地球での各作品で表現されるステータスウインドウは、特質的な力だと言わざろう得ない。


 流石の創生者たるティルネアも、ステータスウインドウの開発はできないらしい。この点は現実的な感じに思えてならない。まあ、これらの力があれば、今以上に動けるようにはなる。


 ともあれ、今は手持ちの各力で何とかしていくしかない。それに、創生者ティルネアより与った力があれば、どんな難局であろうが乗り越えられる。今はそう信じ切るしかない。



 解体作業と格納作業を終えて、再び行動を開始する。既に目的となる街が近くなっており、そろそろ魔物達との戦闘は行わなくて良いと思われる。


 こちらが何も構えていなければ、彼らの方から近寄ってくる。ところが、予め魔力を強めておけば、不思議な事に近寄ってくる事がない。先日、ティルネアが魔力の渦を用いて、焚き木を守っていてくれた事がそれである。


 それに、資金に換金するための魔物の素材は、かなりの数を獲得できた。今の量があれば、問題ないと思われる。後はぶっつけ本番で挑むしかない。



 ちなみにティルネアが言うには、目指す街の名はラフェイドとの事。規模的には地球は地元の街並みクラスらしい。内部の施設までは詳しく知らないとの事なので、実際にこの目で確認してみるしかない。


 とにかく、今は戦力が欲しい。戦闘に関してもそうだが、情報不足が否めない。創生者たるティルネアが加勢してくれているが、現地の細かい情報は持ち合わせていないと言っている。


 警護者の世界でもそうだが、戦闘力の大半は情報量に掛かっている。こちらが出揃うかで戦略の幅は多く異なってくるのだから。


 異世界に到来しても、動く事は地球でも何ら変わらない、か。実に皮肉な話である。




 魔物達を倒し、最後の素材獲得をしてから数時間後。“恒星”の位置が真上にある事から、恐らく正午であると推測できる。何故“恒星”と挙げたのは、ここが地球ではないからだ。


 仮にベイヌディートが、広大な宇宙に位置する星雲、その中の惑星の1つだったとする。それだとしても、太陽系ではないため中心の恒星は太陽ではない。そもそも、太陽と言う名は地球人が付けた名前であり、地球外の知的生命体からすれば別の呼び名かも知れない。


 となれば、真上に燦々と輝く恒星は、普通に恒星と言うべきだろう。変な屁理屈になるとは思うが、この世界の価値観が読めない以上、素直に輝く恒星だと言うべきである。


 話を戻すが、漸くラフェイドと言う街に辿り着いた。彼女が挙げた通り、かなり賑わった街である。色々な商品を扱った商店が各所に点在しており、どちらかと言うと街よりはバザーに近いだろう。


 ただ、治安の方はお世辞に良いとは言えず、人気が無い方からは不穏な雰囲気が出ていた。地球の各都市でも同じ様な闇の側面があるため、何時の世も変わらないマイナス面である。



ミスターT(最初から、“念話”を通して会話をすれば良かったわ。)

ティルネア(アハハッ、まあそう仰らずに。)


 異世界の初めての街とあり、色々と物色して見て回る。ただし、手持ちの資金は一切ない。本当に見て回るだけだ。そんな中、ティルネアが使っている対話法を知る。“念話”である。


 心中会話とも言えるそれは、言葉を発しなくても脳内の思いを伝える事ができた。見事な手法だわ。ただ、これと同じ手法を以前何処かで経験した事があるのだが・・・。


ミスターT(とりあえず、先ずは素材関連の売却だな。)

ティルネア(売却先ですが、冒険者ギルドが良いと思います。)

ミスターT(なるほど、了解した。)


 彼女が指し示す先を見つつ、小さく頷いた。そこには、地球での地区センタークラスの建物がある。周辺には色々な闘士が屯している事から、冒険者ギルドであると一目で分かった。


 そう言えば、身内が挙げてきたネタでは、カウンター事変と称する出来事があるという。新参者にちょっかいを行う阿呆の事だ。流石にそれはないとは思うが、一応警戒はしておいた方が良いだろう。


 ちなみに、俺の背丈は198cmある。大男と極まりない出で立ちだ。だが、身内の中には俺よりも背丈が高い人物もいる。端から見れば“レスラー”に見えなくもないが・・・。


 それでも、警護者の世界では身体が資本だ。継戦能力を維持できる体躯には、何度となく助けて貰っている。特に近接戦闘では、無類の力を発揮してくれるのが有難い限りだ。




 冒険者ギルドとなる建物に入店する。扉は木製の観音開きで、完全に封鎖するタイプの巨大さである。ティルネアが言うには、地方の小店舗だとウェスタン風の木製扉もあるらしい。俺が住む日本の今の建築技術からすれば、明治時代に近い感じだろうか。


 内部は非常に賑やかな様相だ。正面向かって左側は掲示板と思われる木盤か。その前には多くの冒険者が物色している。多分、ここに各依頼を貼り付けるのだろう。各作品の仕様と全く変わらない。


 逆に右側は酒場風になっており、依頼を終えた冒険者がテーブルで談笑していた。荒くれ者達もいるようで、昼間から酒を飲んでいたりする。雰囲気で分かるが、実力がある人物ほどゆったりしているのを感じ取れた。


 その中の4人組、体躯が良さそうな冒険者と目が合う。ニヤリと笑みを浮かべてくるが、その目線に強者の雰囲気を感じ取る。挑発的というものではなく、それが挨拶代わりである事が読めた。その4人に対して、小さく右手を挙げて返した。


 この4人組が、後々の盟友的存在になる事を、この時の俺は知る由もない。


    第2話・2へ続く。

 余裕があったので、第2話の6分の1をアップですm(_ _)m 今現在、第7話に到達しているので、こうした連続投稿(指定日数に達する前にアップ)ができますね><; 流石に毎日投稿は厳しいので、ご了承下さいm(_ _)m


 ともあれ、漸く街へと到着した2人。ここから徐々に物語が進んでいきます@@b ただ、徐々に詳細描写が少なくなってきますが><;(対して、キャラの会話が増えるため) 先は長いですわ(-∞-)

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