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ST.1 国を救えと言われましても。

「起きろ、三島 梓とやら」


乱暴に身体を揺さぶらないでよ。起きろと言われても私は

もう死んでるんだし、無理な話だよ。


あれ? 体が普通に動かせる。何で? それに足も

在る。私、死んだんじゃ無かったっけ。私は事故に遭った

はず。どうして普通に生きてるの?


「驚いているようだな。まあ簡単に説明してやろう。

 お前さんは一度死んでいる。しかし、今は生きている。

 それはなぜか。お前さんはこの世界に転生したんだ」


転生って、小説とかによくあるやつかな。何だか現実味が

無いんだよね。だってあれは空想の話だし、実際に在ったら

人間幾らでも死んで構わない事になるし。


「ああ、そうそう。1つ謝っておかなければならない事が

 あったな。あの事故は仕組んだものだったんだ。

 すまないな」


えぇ、私は目の前に居るよく分からない奴に殺されたって事?

何だか嫌な死に方しちゃったな。人に仕組まれて死ぬって、

私恨まれてるみたいに思えるし。目の前に居る人との面識は

皆無だからそれはきっと無いんだろうけど。


「事故を仕組んでお前さんをこの世界に転生させた理由は

 ただ1つ。この国を救ってほしい、それだけだ」


この国を救う? 私が? いやいや、頼む相手間違えて

ませんか? 私はただのポンコツ教師ですよ?! 

ポンコツに国なんて救えるわけないじゃないですか。


「私には無理ですよ!!」


これでもかというほどの大声で言う。でもそうなるでしょ。

だっていきなり死んで、いきなり転生して、いきなり国を

救うなんて、現実味がなさすぎる。まるで白昼夢みたい。

第一、この世界には勇者とか居ないの? 転生って事は

ここは異世界だし、居てもおかしくないよね。


「そう言わず頼まれてくれないか。この国は今、

 未曽有の事態に陥っているんだ」


目の前に居る人は知ってるのかな。私がとんでもない

ポンコツだってこと。だってさ、持ってくるテスト用紙の

教科を間違えるんだよ。かなりのポンコツじゃない?

事故を仕組んだりなんてするぐらいしてたら、私の

ポンコツぶりも分かってるんだろうけどな。


「そんなの余計無理ですよ! 第一、私はポンコツですよ!

 ポンコツにそんな重大な頼み事したらダメでしょ!」


思いの丈を全部ぶつけて、私がポンコツであると知れば、

国を救ってくれなんて無茶な頼み事は取り下げてくれる

だろう。てか取り下げて欲しい。私は国を救うなんて

大層な事、任されて良い人間じゃないもの。


「ポンコツ? 勿論知ってるが、それは前世の話だろう?

 今のお前さんはLv730の敏腕教師の称号を持った、

 とんでもない手腕を持った教師だ」


Lv730がどれぐらい凄いか分からないのでそう言われても

どう判断すればいいか分からないよ。敏腕教師っていう

称号が在るってことは、ある程度のレベルなんだろうけど

それでも判断はつけにくい。まずLvの基準も知らないし。


「そうだな、確かめてみないと信じられないだろうし、

 ちょっと試させてみるか」


試させてみる? 何をどう試すんだろうか。

モンスター連れて来たりでもするのかな。異世界みたいだし

居てもおかしくは無いよね。


「ほら、こいつに指導というものをしてみてくれ。

 こいつは教師を襲撃した小さなグループの

 トップなんだ」


中学生くらいの子供が連れて来られたけど、何で?

指導をしてと言われても、そんなに大した事は出来ない。

でも私がここで結果を出さなかったらこの人は

私に国を救わせることを諦めてくれるかも。仕方ないし

やってみよう。


「貴方、教師を襲ったの? 人に迷惑をかける様な事は

 しちゃダメでしょ」


漫画とかでよく出てくるセリフ。こういうセリフって

創作物の中では、生徒に対して効果抜群だけど、

実際は何の効果も無いからね。逆に、漫画の見過ぎとか

生徒に笑われるタイプだね。


「すいません。生徒たちで教師を攻撃しました。

 俺はそれを指示していました」


あれ? 効果てきめんなの? こんなくっさいセリフが

効く子もいるんだね。変なの。


「分かっただろう。これがお前さんの今の力量だ。

 更生、説得のステータスが非常に高いから、

 これぐらいの奴なら一言で改心させられる」


一言で改心させられる、か。こんな凄い力が前世でも

在ったら、校則違反ばっかする子達も更生させれたのかな。

転生してからってのが何か嫌だな。前世とは別だから

凄いってことなのかもだし。


「この国で最強に近い存在であるお前さんに、国を

 救って貰わないと、この国の未来は暗い」


そう言われても、国を救うって何をすればいいの?

この国では未曽有の事態が起きてるとは聞いたけど

具体的にどんなことが起こってるか分からないから

どんなことをすれば国を救えるか分からない。


「というか、一体何が起こってるんですか‥‥‥」


「む、それはだな。今この国では教師と生徒の間での

 校内戦争が各地で勃発していてな。

 それを止めて欲しいんだ」


なるほど。教師と生徒が戦争か。何というか、

考えたくない状態だね。私は生徒と仲良くしたいから

こんな状態は嫌だな。


「ということで頼んだからな。三嶋 梓」


「聞いてなかったけど貴方って何者なんですか?」


「この国を統治する者だ。そんなことは良いから

 さっさと国を救いに行ってくれ!」


この人中々勝手だな。統治者がこんなに勝手だから

国も荒れるんじゃないの。まあそんなこと言っても

この国の校内戦争が無くなる訳じゃ無いしね。

私は私なりの理由で校内戦争を鎮めていこうかな。


「頼んだからな」


分かってますよ。国を救うつもりは無いけど、

校内戦争は鎮めるから。じゃあ、行こうかな。

目的地は無いけど、近くにある学校で

校内戦争が起きてたら止める、みたいな感じで

大丈夫だと思うし。


教師と生徒が分裂して争ってるって、嫌だな。

教師と生徒で険悪になる事はあっても

争い合う事なんて無かったしね。

この争いを少しでも鎮めたいな。

1人の教師として、この状況は悲しいしさ。

読んでくれてありがとうございます!

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