0003話「星神降臨!!」
いやぁ・・・投稿するまで長かった・・・
幻人達「ブラックファンタジー」はスマホウプレイヤーの中では有名なチームだ。
実は今日の対戦の後に「週刊 スマホウライフ」の取材が施設内の一室で受ける事になっていた。
「いつもお世話になります。先日もご連絡いたしましたが、今日は対戦の後にお時間を頂きたく・・・」
コロッセウムに入った所で、誰にでも丁寧に対応してくれる事で有名な矢渕 優記者が、幻人達に頭を下げる。
もちろん、彼女もスマホウのプレイヤーで、中級レベルの実力を持っている。
彼女は形から入る事が大事と考えている人なので、今は仕事着として愛用しているビジネスパンツスタイルだ。
ただ、残念な事に起伏に乏しい体型であるので、パッと見た際には男性に間違えられる事が多い。
しかも、男性的な名前でもあるので、なおさら彼女を女性として見るプレイヤーは少ない。
さらにさらに、紙面では自分の写真は載らず、名前だけなのでなおさら女性として認識される事はなかった。
そんな女性としては悲しい現状ではあったが、彼女はそんな事には気にも留めず、日々スマホウ三昧の毎日を送っていた。
そして今日は憧れのチーム「ブラックファンタジー」の取材である。今日はかなり気合を入れてメイクもばっちりだ。
「いえ。こちらこそいつもお世話になっております。僕達は今から対戦の登録などの手続きがありますので、試合のタイミングがまだわかりません。すいませんが、対戦自体はアナウンスがあると思いますので、そちらでご確認ください。あと、取材はいつもの部屋でよろしいのでしょうか?」
マネージャー的存在の智が、さわかやな微笑みを浮かべつつ、そつなく対応する。
こういう所は法子では対応が固くなるので、法子も黙って智に全てを任せる。
「はい!いつもの場所です。あと、いつものように試合の撮影もさせていただきたいのですが・・・。もちろん、施設には既に許可は頂いています」
「そうなんですね、僕達は撮影は問題ありませんので、あとは対戦相手の許可をもらって下さい」
施設内では取材での撮影は許可を取らなければならない。
写真撮影については、施設内の全員がスマホを持っているため取り締まりが出来ないが、商用で写真を使用する際には制限をかけている。
いくつものスマホウ専門雑誌が現れては、このルールを破り撮影禁止や出入り禁止に追い込まれて消えていった。
そんな中、「週刊 スマホウライフ」は優良な記者を抱え、施設とも友好的な関係を続けており、今もこうしてほぼ顔パスの状態で施設に入場してきているのだ。
「はい。では、後ほど・・・」
何度も頭を下げながら、幻人達から離れていく矢渕記者。
「別に悪い人って話やないねんけど・・・気がついたら色々喋ってしまってるのよねぇ、あの人には・・・」
ぼそっと独り言のように法子が言う。
それは全員の思う所でもあったから、誰もそれにツッコミを入れなかった。
そして、そのゲームが終了し、今はその取材を受ける部屋の中だ。
いつものように、向かって右から智、鏡子、幻人、茜、法子の順。
今日はインタビューだけではなく、5人を写真に撮るとの事だったのでカメラマンも居る。
なお、インタビューなので、各セリフの前に名前が入る。
(幻):天黒 幻人
(茜):本城 茜
(鏡):本庄 鏡子
(法):佐摩 法子
(智):室井 智
(優):矢渕 優
(優)「本日はインタビューを受けて頂き、ありがとうございます。では自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか」
(幻)「あ、はい。では僕から。天黒 幻人です。プレイヤー名は『黒々猫』。クラスはウィザードです。一応チームのリーダーです」
(茜)「私は本城 茜。プレイヤー名は『マダーレッド』。クラスはプリースト。なので、チームの中では回復担当ですね」
(法)「私は佐摩 法子。『ジャスティス』という名でプレイをしている。クラスはウィザード。チームの参謀だ」
(智)「僕は室井 智。プレイヤー名『ファランクス』。クラスはエレメンタラー。僕はマネージャー的な立ち位置ですかね」
(鏡)「アタシは本庄 鏡子。プレイヤー名『ミラー・エンジェル』。クラスはエレメンタラー。茜は私の姉で、私はチームのマスコットです!」
(茜)「『自称』なんやけどね」
(鏡)「なによ!」
(幻)「はいはい。インタビュー中やから喧嘩は後でね」
(優)「あはは。お二人はご姉妹ですからいつも仲がいいですよね。羨ましいです」
(法)「あぁ〜・・・そう言えば矢渕さんは確か一人っ子やったよね。私も一人っ子やけど、この二人のやり取りは私には微笑ましいって印象だな」
(優)「まぁ、確かにそういうのも感じますね。そういう意味では確かに鏡子ちゃんはチームの『マスコット』なんでしょうね。茜さんも含めてですが。って言うか、なんで私の個人情報まで!?」
(法)「矢渕さんの記事は結構好きなんで、週間スマホウは全部読んでますよ。確か、その情報は4ヶ月前の・・・」
(優)「わ〜!!ちょっと!今は皆さんのインタビューなので、進めてもらっていますね!えっと・・・以前はどのようにしてスマホウに出会ったかをお聞きしましたが、今日はズバリ!呪文について色々お伺いしたいです」
(幻)「いきなりそこを突いてくるんですね・・・」
(智)「まぁ、確かに『スマホウ』はそれが全てやからね」
(優)「特に今日のゲームを見させてもらいましたが、まずは圧倒的な防御力ですよね。あの『シールド』はどういうものなんでしょうか?」
(智)「それは僕が答えましょう。って言っても、たまたま実験が成功したってだけなんですよね」
(優)「実験ですか?」
(智)「そう。実験ですね。たまぁ〜に今日のような現象が起こっているのは皆さんも知っていると思うんですよ。発現した魔法が混ざってしまって、全く違う魔法になったり、今日の僕らのように魔法が融合してしまって、さらに強固なものになったり」
(法)「そうやな。あれは偶発的に発生するもので、隠れステータスの幸運が関連するというのが一般的な通説だったが?」
(智)「確かにそう言われてんねんけど、僕はそれに疑問を感じていて、なんか違うなぁ・・・と。で、SNSやYoutubeとかにアップされていた、この『融合現象』?を色々見て、一つの仮説を立てたんや」
(優)「仮説ですか?」
(智)「そう。ある程度の高さのレベルで同じレベルの魔法、同じレベルの魔力消費、同じタイミング、同じようなレベル帯の術者、そして属性の異なる事が条件なのではないか・・・とね」
(法)「なるほどな。先の試合で『カラー属性で9秒レベルのシールドを貼って』というのはそういう意味だったのか」
(優)「9秒レベルですか?あとカラー属性っていうのは?」
(茜)「これは私達の間で使われる呪文レベルを表していて、9秒で呪文が発動するようにという意味です。あと、カラー属性は守護神のカラーの事を指しています」
(鏡)「私達が選べる守護神にはカラーが設定されているのは知ってるよね。そのカラーを呪文に組み込むようにっていう指示っていう事」
(優)「それだけでメンバーに伝わるんですか?」
(法)「まぁ、我々の場合は色々と実験する事が多いのと、いきなり予定を変更する事があるので、ある程度チーム内で分かる単語が出来上がったのだ」
(幻)「特に法子が試合中に予定を変えたりするもんやから、短い単語で伝わるようにしないとやってけないんやもんね」
(茜)「しかも、それが正解だったりするんやから、すごいんよねぇ〜」
(鏡)「あと、智ちゃんがしっかりフォローしてくれるもんやから、アタシ達は結構言われるままに呪文を唱えるだけやったりしてね」
(優)「はぁ〜なるほど。でも、そもそも先程の指示・・・えっと『カラー属性で9秒レベルのシールド』でしたっけ?それだけで通じて、実際に出来るもんなんですか?」
(法)「それはチームにもよるんやないかな。我々はチームとしては結構長く組んでるから、ある程度は雰囲気とかでも分かるもんもあるしな」
(智)「今回の案は僕が出したんやけど、間違いなく通じるとは思ってたかなぁ。おもろい事に僕らの守護神はバラバラやからね」
(幻)「ちなみに僕は『星神「マジック」』」
(茜)「私は『白の女神「エルアーデ」』」
(鏡)「アタシは『赤の女神「レスアーデ」』」
(智)「僕は『魔神「ラトスリオン」』」
(法)「私は『黒の女神「スピアーデ」』だ」
(優)「見事にバラバラですね。それって何か話し合いとかがあったとか?」
(幻)「いや、それは無かった・・・ような?」
(法)「いや。ただ『守護神どうする?』って話はあったな」
(鏡)「そうそう!で、みんなでその時に決めて・・・それから変わってないよね?」
(茜)「そうやね。まぁ、今から守護神変えるのも面倒やしね」
(智)「あの時に決めたのが、結構自分達に合ってたって感じやもんね」
(優)「なるほど。で、ちょっと質問が戻る感じになるんですが、あの『融合』ってどう思われます?」
(智)「あぁ・・・あれは何やろうね?ゲームシステムのバグかな?って思ってたりするねんけど?」
(幻)「それはちょっとどうやろうね。さっき智が言ってた発現の条件って、結構厳しいもんやんか。意外とそういうもんなんかもね」
(法)「意図的な仕様って事か?」
(幻)「意図的かどうかはわからんけど、そもそもスマホウの呪文もそうやし、設定も色々謎が多いやん?あと、守護神って色々居てるけど、最終目的の敵も人神「メルバルン」ってどうも神の一人のようやし。でもそこに向かう為のルートって結局わかんないやん」
(茜)「どういう事?」
(幻)「最初に俺がこのゲームに食いついたのは・・・」
(鏡)「あ・・・『俺』になった・・・」
(幻)「うるさいな!っと、このスマホウってゲームがファンタジーっぽいのと、呪文を唱えるっていう今までにない操作が面白そうやったからやけど・・・」
(法)「既存のゲームの設定とはかけ離れている事が多い」
(幻)「そう。そもそもゲームの世界の『異世界「アリアーディ」』って、プレイヤー以外は誰も居ないやん。魔物だけの世界って普通はないやんか。ごく少数でも人類が、もしくは人類の代わりの住人が必ず居るはずやのに、誰一人居ない世界。ちょっとどころやない、異様な世界やねんな」
(智)「まぁ、それはスマホウの情報誌でも色々書かれてるし、ネットでも色んな話があがってるけどね」
(茜)「一番有力なのは、コロッセウムでの試合をメインとする為、ゲームクリアに関するものは付け足しやという話やけど?」
(法)「企業の収入を考えたら、コロッセウムでの試合で1ゲーム500円というのはかなりの収入になるだろうな」
(優)「えっと・・・『魔法の融合』の話からかなり逸れていますが・・・」
(幻)「あぁ!ごめんなさい!要は、『魔法の融合』も含めて謎は多いゲームやけど、謎なだけで全てはちゃんとした法則というか、理由というか、決まったことがあって、バグとかっていうのは無いんやろうと・・・僕はそう思うんねん」
(鏡)「『僕』に戻った・・・」
(幻)「うるさい!」
(鏡)「え〜ん!怒られたぁ〜!!」
(茜)「あぁ、よしよし。後で敵はとっちゃるさかいに・・・」
(優)「あの〜・・・毎回思いますけど、なかなか進みませんよね・・・インタビュー・・・」
(智)「申し訳ないと思いますけど、ぶっちゃけ矢渕さんがインタビューアーだとねぇ・・・」
(茜)「安心してしまって・・・ごめんなさいね」
(優)「いやぁ・・・まぁ私は構わないんですけどね」
(幻)「そういう意味では、基本的には矢渕さん以外のインタビューはあまり受ける気が無いんですよね・・・」
(優)「そう言ってもらえるのは嬉しいですね。スマホウの1ファンとして、皆さんと楽しくおしゃべりできるのはちょっと誇らしいですからね」
(幻)「と、それでは仕事にならないと思いますけど?」
(優)「まぁ、そうなんですよね。と、インタビューに戻りますけど、女性が三人もいるのもめずらしいですよね。大体一人で、多くても二人。もしくは女性だけのチームっていうのがほぼほぼですけど」
(智)「そうですね。で、三人共幻人が好きですからね」
(優)「え!?そうなんですか?てっきり法子さんは智さんとと・・・」
(法)「まぁ、私はあまり積極的な事はしていないからな」
(茜)「私は幼馴染やから、産まれた時から彼女やし!」
(鏡)「それは嘘やろ!そもそもアタシ達が住んでる所に幻人が引っ越し・・・むぐぁ!!ちょっと!!口を塞がないでよ!!」
(智)「引越し先が分からず、何故か迷子になっていた当時7歳の幻人の手を引いて、家に案内したのは当時4歳の鏡子ちゃんでしたってね。そして、実は僕も幻人が好きだったりとか・・・」
(優)「えぇ!!!!!?」
(幻)「その話はストップ!!」
(茜)「学校では結構有名やから、そんなに驚く事でもないんやけどね」
(鏡)「智ちゃんの『幻人が好き』ってのは、結構純粋な『好き』やからね。学校でも有名っていうか知らない人はいないのよ。逆に矢渕さんが知らないのがちょっと驚き・・・」
(法)「我がチームは幻人のハーレムなのだ」
(幻)「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!だから、みんなが勘違いするから止めて!!」
(智)「えぇ〜・・・僕の事は遊びやったんか?」
(幻)「遊びも何も!!智とは全く何にもあらへんねんから!!」
(茜)「高校の入学式の時に、再会した瞬間に熱い抱擁をしたって有名やん!!」
(幻)「おぉぉぉ〜〜〜〜い!!茜もその場におったよな!?状況知ってるよな!?」
(法)「私も見ていたぞ。しっかりと抱き合っていたのを今でも覚えている」
(幻)「お前もおったんかい!!」
(法)「お前だなんて・・・夫婦みたいだな・・・(ぽっ♥)」
(幻)「ぽっ♥ぢゃねぇぇぇぇぇえぇぇ!!!!!」
(優)「えぇっと・・・・もう収集つかない感じなので、また来週ぅぅぅ〜〜〜!!(泣)」
有耶無耶の内にインタビューが終了し、雑誌に乗る際には連絡と、インタビューが掲載された雑誌が家に届く旨が伝えられ、その後も少しだけ試合を観戦していた。
試合で魔法が融合したのを見ていた者達は、早速試していたようで、同じように呪文を唱えていたようだが結局誰も再現しなかったようだ。
何人かには「どうやったら良いのか?」と聞かれたが、「週間 スマホウライフのインタビューで答えてるよ」と宣伝も兼ねて言っておいた。
きっといつもの倍ぐらいには売上が伸びるだろうな、と顔をほころばせながら矢渕は、雑誌の宣伝をしてくれた智に両手で激しい握手をして喜んでいた。
そして、そのコロッセウムからの帰り道。
「あぁ・・・今日は本当に散々やったわ・・・」
幻人が首に手を当てつつ、コキコキと首を鳴らす。
それに対して鏡子は、満面の笑顔で若干下から覗き込むように見上げる。
「アタシはめっちゃ楽しかったけど?」
「本当やね。幻人が慌てるのを久しぶりに堪能したぞ」
「幻人もちゃんとツッコんでくれるもんやから、会話が進むんよなぁ〜。」
「あはは!全部拾うんやもんね!」
法子、智、茜の順にこれまた嬉しそうに幻人を追い詰めていく。
「結局、お前らも俺の敵なんかよ・・・」
本当に疲れたように幻人がつぶやく。だがまあ、いつもの事だ。疲れたというのは事実だが、幻人の口元は笑っており、友人達との会話を楽しんでいるのだ。
と、目の前にいつのまにか人が立っているのに気が付き、思わず立ち止まる。
他の四人も幻人が立ち止まったのに気が付き立ち止まり、目の前の人物に目を移す。
そこには、紺色のビジネススーツに身を包んだ、20代前半から半ばと思われる長身の女性が腰に手を当てつつ立っていた。
ゆるくウェーブのかかった淡い茶色の髪は腰に届くほどに長く、その胸は法子ほどではないが、かなり自己主張をしている。
なによりも、切れ長の目が幻人達を・・・いや、幻人を射抜くように鋭く見つめている。
その顔立ちは十分に美人と言えるものだ。
立ち止まった幻人にニヤリと笑いかけ、唐突に話しかける。
「あなた達とても強いのね。アタシと勝負してくれない?」
スマホウに熱狂する者たちが沢山おり、ここ吹田市江坂はスマホウの聖地でもある。
そして、今回と似たような事に何度も遭遇し、何度もやり過ごしてきた幻人達。
いつもであれば軽く会話をしてお引取り願う事にしている。
「どうしても」としつこいようであれば、コロッセウムに行こうと持ちかけ(ここで決して「試合をする」とは言わないのだ)、コロッセウムの受付で試合を強要されたと告げて、相手を引き渡すのだ。
ちなみに、引き渡された者はアカウントを剥奪され、スマホウのアプリ料の300円は返却される。
再度アプリをダウンロードしてゲームをする事は可能だが、使用していた情報は永久凍結され、二度と戻ってくることはない。
過去のスマホウ上位者の中には、このようなケースで姿を消したものも少なくない。
どちらにしても、幻人達はこういう経験は豊富であったので、この相手がどのように言ってきても、どうとでも対応できる自信もあり、割と落ちつてこの女性に返事をする。
「僕達はもう試合を堪能してきたので今日はもう勝負はしないつもりなんですが」
智が少し剣呑な感じで返答する。
顔が綺麗なだけに、かなりの威圧感が出る。
これで引き下がってもらえるなら、簡単で良いのだ。
「あ、今日は無理なんだ。じゃあまた今度でも良いからさぁ、勝負してくんない?」
しかし、女性はそれを見ても動じる事なく、少し残念そうな顔になり、さらに交渉を進めてくる。
「その前に、貴女はどなたですか?」
智が全く雰囲気を変えずに、女性に問いかける。
まずは相手の素性を知ることが大事なのである。スマホウを楽しんでいる為、顔を知らなくても知っている可能性があるのだ。
大抵は全く知らない初心者や中級レベルの者なのだが、時々噂に聞く上位者もいる。もっとも、だからといって対応を変えることはほぼ無い。基本的には自分たちの都合が優先なのだ。
しかし、今回は相手が悪かった。
「アタシ?あぁごめんね。アタシはD.Y.B.I.M.の役員の一人、山神 愛。スマホウのテストプレイヤーにして本番のプレイヤーNo.00000000。プレイヤー名は『星神「マジック」』」
「・・・え・・・あの幻の・・・?」
先程まで冷たい雰囲気を出していた智でさえ、思わず態度を豹変させてしまうほどの相手であった。
曰く、「遭遇率0.01%の最強プレイヤー」。
曰く、「チームに対して個人で負け無し」。
その名も『星神「マジック」』と・・・。
「幻かどうかは良くわかんないけど、アタシは噂になってるのは知っているわよ。ゲーム内で時々遭遇するという『神の如き最強プレイヤー』ってね。まぁ、そもそもアタシのクラスが『神』だから『神の如き』は当たり前ね。なんにせよ、アタシはスマホウプレイヤーの中では最強の存在よ」
星神「マジック」はゲーム内の架空世界「アリアーディ」に存在する神の一柱。ゲームを始めた時の最初の街・・・というか廃墟にて、プレイヤーに最初に声をかけてくるのだ。
『この世界を・・・浄化してほしい・・・』
『跋扈する魔物を狩り、全ての元凶である人神「メルバルン」を滅してほしい・・・』
『この・・・人が滅んだ・・・魔物しか存在しないこの世界を・・・助けてほしいのだ・・・』
ゲームの開始直後、男性でもない、女性でもない、憂いに満ちた声がプレイヤーに語りかけてくる、その存在。
グラフィックも無いので、本当に男性か女性かも不明なのだが・・・。
「どう?勝負しない?」
興味が湧いたであろう、5人の顔を見渡し、改めて勝負を求めてきたのだった。




