0000話「序章」
夜勤明けの仕事帰りに突然降りてきてしまいまして・・・とりあえずは半分は見切り発車で投稿を開始した次第です。
時代設定は直近の未来で、舞台は大阪・・・というか近畿地方を設定しております。
また、主人公たちの生活の場はリアルな北摂の吹田市にしております。
場所の設定にはかなり細かい描写が入るかも知れませんが、そこら辺は「あ!知ってる!!」とかで楽しんでいただければ幸いです。
そうそう。個人情報は出てこないので、そういう所は大丈夫にしております。
メールが届いた。
普段からスマホをバイブ設定にしており、着信が振動でしか気づくことが出来ないの為、メールや電話に気が付かない事が多い。
しかし、今はたまたまスマホで時間を確認しようとしていた所だったので、着信と同時にメールを確認する事ができた。
「えぇタイミングでメールが来たな・・・」
大阪弁でひとりごとをいいながらスマホを操作し、メールを確認する男の子が一人。
天黒 幻人は16歳。高校1年生。
大阪は吹田市在住。高校は大阪市内にあるので電車に乗って通学している。
今日からテスト期間に入ったので、ちょっと早めに学校が終わり、同じ高校に通う幼なじみの本城 茜と一緒に家に向かって歩いていた所だ。
「なんのメール?おばさんから?」
幻人の隣を歩きながら、ちょっとつまらなさそうに声をかける。
ついさっきまで幻人とこれからの予定について話あっており、もう少しで幻人の部屋に遊びに行ける段取りが出来上がりそうだったのだ。
昔・・・中学生ぐらいまでは普通にお互いの家に遊びに行き、それぞれの家が自分の家のように勝手に上がり込んで、お互いの部屋にも問答無用で出入りしていたのだが、付き合い始めてからはそういうのが一切なくなってしまったのだ。
だから、まずは幻人の部屋に自由に出入りできるようにならなければと考え、毎日幻人に部屋に入れろと催促していたのだ。
今日もテスト前という事もあり、幻人の部屋で試験勉強をするという名目で、やっと了承を得れそうだったところだったのに・・・。
そんな茜の胸中には気が付かず、幻人は届いたメールにざっと目を通していた。
「いや・・・オカンとはちゃうな・・・これは・・・ゲームの案内やなぁ・・・これ」
「ゲームの案内?なんのゲーム?」
ゲーム好きな茜が急に食いついたように迫ってくる。
当然の如く、スマホを持つ幻人の左腕に豊かな胸を押し付けつつ、スマホを覗きこもうとする。
「そんなにくっつくなって!暑いやろ?」
少し頬を赤くしながら茜の柔らかい攻撃から身を離す。
幻人は茜の事は正直好きだ。だが、茜のように積極的になれず、昔のように遊ぶことが出来なくなっていた。
実際、高校受験を控えた中学3年の秋ごろに茜から告白され、自分も茜が好きだとは告白し、お互いが「付き合っている」という認識でいるのだが、幻人の場合はその告白以降から急に女の子として茜を意識してしまい、何気にはずかしくて微妙な距離感のまま今まで来ているのだ。
さて、改めてメールの内容を確認すると、どうやら新しいゲームの案内らしい。
「・・・と、なんや、新しいゲームみたいやな。茜にも来てる?」
「ちょっと待ってや・・・いや、そんなん来てへんな」
慌てて自分のスマホを確認する茜。
幻人異常にゲーム関係のメールが届いているのだが、そのようなメールは届いていない。
「ちょっと転送したるわ。読んでみ。なんか面白そうな感じやで?」
「そうなん?」
「よっと・・・メール転送したで。あっこで座ってちょっと読んでみようか?」
すでに家の近くまで来ていたので、昔は良く遊んだ公園のベンチを指す。
二人は急いでベンチに並んで座った。
幻人が拳2つ分ぐらい離れて座ったのに、すぐに拳1つぐらいに距離を詰める茜。
茜としては、本当はピッタリとくっつきたいのだが、それをすると絶対にもっと離れて座ろうとするのがわかっているので、これ以上は詰めれない。
「えっと・・・『スマホウ』?変な名前のゲームやな」
「呪文を唱える事でスマホで魔法を発動できる・・・呪文・・・え?これマジで自分の口で呪文を唱えなあかんの?!」
「そんな感じやな・・・」
ホームページのリンクがあり、そこにも接続して見てみたが、ゲーム画面そのものは普通の3DCGのRPGとあまり変わらないように見えた。が、今までにないゲームシステムのようだ。
キャラクターは全て魔法使いに分類されるクラスしか存在せず、戦士や騎士や盗賊、射手などのファンタジーRPGではよくいるクラスは存在しないらしい。
「マジ?」
茜は疑うようなセリフをしているが、その目は間違いなく興味深々で、今すぐにでもインストールを始めそうな勢いだ。
「マジっぽいけど、やってみなわからんな」
幻人はゲームも好きだが、小説も好きで、主にSFやファンタジーを読んでいる。
茜と同様に非常に興味を持った。特に「呪文を口に出して唱えるゲーム」というのに非常に興味が出たが、確かに一人でやっても面白くない。こういうゲームは仲間がいると絶対に楽しいハズだ!
すでにヤル気満々に見える茜に向かって提案をしてみる。
「なんやったら、さっきの続きやないけど、俺の部屋に来て、一緒にやってみるか?」
もちろん、ゲーム好きな茜には異論があるはずも無かったのだ。
こうして、ゲームアプリ「スマホウ」の最初の1人目と2人目がほぼ同時にゲームをインストールし、会員登録をしたのだ。
正規のリリースの1周間前の出来事であった。