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第六章 第六話「成長」

「つまりですね、水が効かなくて雷が効くってことは地属性のモンスターである確率が高いですよねっ。そもそも地属性ダンジョンって言ってたから考えればわかることだったのかもしれませんが……」

「つまり雷魔法でバンバン弱らせるってことか?」

「それなら任せてなの」


 ちなみにライトニングは全魔法の中で最弱魔法らしい。

 その代わり最速の攻撃速度があるとのこと。

 ――まあ、電撃だもんな。

 しかし、最弱でも効果があるとは、属性というのは重要なんだなと改めて思う。

 そういや雷の最上級魔法はまだ聞いてないな。

 なぜ先にこっちへ行かされたんだろう。

 まあどうであれ魔女に従うしかないのだけど。

 そんなことを考える陽太。


「あとは目への攻撃が効くならそこを狙えば」

「そういや、会社の同僚にヘビ飼ってるって人がいたんだけど――」

「かいしゃ? どーりょー? なにそれ?」

「あ、まあなんだ、そこは今は置いといてくれ。……んで、その人が言うには、ヘビって第三の目があるらしいぞ。そこに熱や音を感知する赤外線センサーみたいなのが付いてるって」

「それ、どこにあるにゃ?」

「ごめんそこまで覚えてない」

「死ね」

「やっぱ口悪いなココ!!」


「まあでも、とりあえずは目を狙えば効果はありそうってことで」

「あと、高速移動が厄介な件ですが、動きを遅くする方法ならあるのですよっ!」

「マジ? どこ情報?」

「授業で習ったんですけど、ヘビの胃袋って体の半分ぐらいのところにあるらしくて、自分よりも大きな動物を捕食した時、消化するまでの間、ノロノロ移動になるらしいですっ!」

「なるほど……しかしそんなエサなんて」

「岩、突っ込む?」

「ちょ、ルナえげつないこと言うじゃねーの」

「でも確かに、それしかないかもっ……」

「まじか……」


 というわけで、話を整理すると――

 一、雷魔法によりまたフラフラにさせる。

 二、動きの遅くなったところで、目を狙ってさらに追い詰める。

 三、あとは陽太が鎌で好きなように切り刻んでお料理完了。

 四、隙があれば口の中に岩を突っ込むのも良し。



 しかしアメリアは偉いな。

 知識がどうとかいうより、その真面目さ。

 学習欲。

 こんな奇想天外な状況でも、学校で習ったことを活かそうとか、状況を整理しようとか、なかなか考え付かないことである。

 学校でいうならまさに委員長タイプだ。

 ――隅っこで漫画読んでた俺とは大違い。

 そう思いながらヘビ肉を頬張る陽太であった。



    §



 お腹いっぱいになり、十分な睡眠をとって精神力も回復する。

 そして早速作戦を開始する三人と一匹。



 しかしその後、例の巨大ヘビとは何度か戦うことになった。

 ルナディの雷魔法は抜群だった。

 運よくまた尻尾の肉を切り取れる時もあり、それでなんとか空腹も満たせていた。

 だが、ピヨったヘビの目を潰しても暴れるので、結局陽太とココで石を詰め込む作戦を決行しようということになる。

 そんな前衛の二人は、何度かヘビと対戦しているうちに連携が取れてきて、タイミングよく敵を攻撃できるようになっていた。

 特にココは格闘種族というだけあって、見習うべき動きが多々あった。

 学校では教えてくれなかった本物の格闘術に、陽太は目を輝かせた。


「師匠!!」

「えっへん。よいこころがけだみゃ」

「俺もアメリアを命に代えても守りたいんで、ご指導くだせえ!!」

「や、ご主人様にはココだけでいいみゃ。どっかいけ」


 ココに弟子入りする陽太。

 いろいろフットワーク軽すぎな気もするが、適応性だけが陽太の才能でもある。

 こうしてヘビの動きをも制することができた陽太たちは、とりあえず安定した食料の確保に至った。


「お野菜が食べたいです……」

「ですよねー」


 来る日も来る日もお肉と水ばっかりでさすがに我慢できない女性陣。

 ついに下の階へ降りる日が来たようだ。

 こうして、胴体の三分の一ほど食べられてしまっているヘビに別れを告げ、陽太たちは階段を下りる。



 するとまた同じような道が続いており、どんどん下へと降りていく陽太たち。

 十一、十二……とさくさく降りて、地下二十階に着いた時、陽太はため息をついた。

 そこにはまたヘビ部屋と同じような空間が広がっていたのだ。

 そして中央にはイノシシのような黒い動物が沢山集まっている。


「今度はなんだよ……」

「あの長い爪、モールですっ!」

「モール?」

「モグラさんなの」


 巨大ヘビの次は巨大モグラか。

 そういえば今までの道にあった無数の穴は、こいつらが作ったのかもしれない。

 なるほど、上にいたヘビは、こいつらを捕食して生きてたってわけか。


「よし、ヘビよりは美味そう」

「なんかダンジョンの目的変わってません……?」


 こうして、またモンスターと戦い、捕食しては下の階へと進む。

 それをずっと繰り返した。

 その間にココは新しい技を習得し、ルナディとアメリアも魔力の最大値をアップさせていった。

 そして陽太も体力や精神力アップはもちろんのこと、大鎌使いとして、いっちょ前に名乗ってもおかしくないほどの戦闘技術をつけていた。

 ココに習った格闘術と、鎌をブーメランのように投げる攻撃、それらを組み合わせた独自の戦い方を編み出していたのだ。


 どれほどの月日が経っただろうか。

 ついに地下百階まで辿り着いた陽太たち。

 ここがダンジョン最後の舞台となる――

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