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第六章 第五話「スパイス」

「ライトニング!」


 するとステッキの先からヘビへと一直線に雷撃が放たれた。

 ――シャーッ!

 まともに食らったヘビはまた雄たけびを上げ、頭をふらふらと動かしたあと、ドシンと倒れこむ。


「か、雷でピヨった!?」

「陽太様、今がチャンスです!!」

「わ、わかった!!」


 まだ完全には回復していないが、陽太は立ち上がり、鎌を持って走り出す。

 倒れているヘビの首を狙って切りかかる陽太。

 その瞬間、意識を取り戻したヘビがするりと動き出し、逃げるように移動する。

 しかし陽太の鎌はヘビの尻尾を捕らえた。


 ――スパンッ!

 宙を舞うヘビの尻尾。

 といっても先っちょだけで、ほんの数十センチしか切り取れてないのだが。


「しょ……食料ゲットしたぞー!!!」  

「いったん退きましょうっ!」

「了解みゃ!」


 ココは入口の階段へ向かって走り出し、三人もそれを追いかける。

 ヘビの尻尾を抱えて走る陽太。

 雷が効いたのか、追っては来ないようだ。


「はぁはぁ……」


 ヘビが入れない場所まで逃げてきた三人と一匹。

 バタンと倒れこみ息を整える。

 陽太はふとあることに気づき、ココに話しかける。


「なあココ……出口の階段へ逃げたほうが良かったんじゃないか?」

「ほ、ほんとだにゃ……ごめん」


 ココは頬に手を当てペコリと謝る。


「なんだ、素直じゃないか。よーしよしよし――」

「ガブッ! 触るにゃウンコマン!」


 陽太の手を振り払うように噛み付くココ。


「罵倒が小学生レベルだぞ……」

「でも良かったですっ、みんな無事でっ!」


 ――ほんとだよ。

 空腹のせいで判断が鈍ってたのだろうけど、あんなモンスターにいきなり勝負を挑もうなんて無謀もいいとこだ。


「とりあえず、飯にしよーぜ!」

「じゅるり」


 戦利品であるヘビの尻尾を、ルナディの火魔法で丸焼きにして切り分ける。


「かんぱーい!!」


 久しぶりの食事に感無量の陽太たち。

 ヘビ肉といえば、プニュプニュしていて味は意外と淡泊である。

 調味料無しでは決して美味いとは言えないのだが、空腹こそ最高のスパイスであることが実感できた瞬間だった。

 ココにも切り分けると、美味しそうに食べていた。



「――しかしこれじゃあ命がいくつあっても足りないよね……」


 ヘビに襲われる瞬間を思い出し、身震いする陽太。

 そこへアメリアが口を開く。


「そうでもないかもですよっ?」

「え?」

「さすがに何も作戦なしに突っ込んだのは無茶でしたが……今度は戦略を練ってみましょうっ!」


 陽太たちと違い、学校では中等部の授業を受けていたアメリア。

 座学も多く、モンスターとの戦い方まで習っていたそうだ。

 もちろん勤勉家のアメリアはいつも優秀な成績。


「まず、戦ってみた感想を言ってみましょうっ!」

「はい、センセー。相手は俺の瞬歩状態でも追いつかないぐらいの速さでしたー」

「うちの牙も通らないほどの皮膚でしたにゃー」

「水の障壁、くぐり抜けられちゃったの」


 アメリア先生の質問にネガティブな感想ばかりが飛び交う。

 顎に手を当て、ふむふむと頷くアメリア。


「そうですよね……では良かった点ないですかっ?」

「……鎌は通ったな。スパンと切れた」

「目は攻撃できたみゃ」

「ライトニングが効いてたの」


 陽太たちの回答にアメリアはパアッと顔を綻ばせる。


「そうですよねっ! それを踏まえると、だいぶ有利に戦えますよねっ!」

「「「いや、全然」」」

「あら……」


 声を揃えて否定する陽太たちに、ズルっと拍子抜けするアメリア。

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