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第五章 第四話「朝帰り」

天翔あまかける白き霊獣よ、我はみましの眷愛隷属、震える我が魂の風を喰らいて盟約を結び給え――」


 こうして陽太は白虎と契約し、右腕に黒い紋章を出現させた。

 【荒狂の颶風ぐふう】という、竜巻を発生させてかまいたちのように切り裂く風属性最上級魔法だそうだ。

 ――荒狂の颶風……なんか湘南○風みたいだな。

 気になる代償は『呼び出している間、術者の身動きがとれなくなる』とのこと。

 結構危険な技だ。


 ――しかし、業火と竜巻の合わせ技、これ使えるかも。

 そんなことを考えながら喜びに浸る陽太であった。


 これで紋章はあと二つとなった。

 地属性と雷属性だ。


「次は雷属性ですか」

「いや、地のほうへ行く。攻略に五年はかかると思っておきなんし」

「は!?」


 ――五年って言ったべ!? さらっと!!

 今まで割とすんなり契約できてきたけれど、いきなり五年かかるって言われても困る。

 アメリアに会いたい。

 ハリルやルナも元気しているだろうか。

 竜族の一件はどうなったんだろう。

 しれっと五年とか言っちゃって、不老不死の魔女にとってはそんなに大した時間ではないのだろうか。

 まあ最上級を使うためには本来、下級中級上級と全ての魔法を修得しなければならない。

 その時間を考えるとかなりの短縮にはなっているのだろうが。


「と、とりあえず竜族の街へ行かせてくれませんか。心配しているだろうし」

「ふむ。行っても後悔するだけでありんしょうに」


 後悔か。

 また帝都の時みたいに嫌われ者になっているんだろうか。

 あまり気分のいいものではないが。


「夜にこそっと会いに行くぐらいでいいので」


 前にハリルが来てくれたように。

 あわよくば二人も一緒に地属性習得の旅へついてきてくれると嬉しい。

 つか五年だろ……

 五年も経ったら高校生じゃん。

 アメリアも巨乳に……じゃなかった、大人になってるころか。

 いやいや、そうゆうことじゃなくてだな、アメリアを守りたいって決めたんだから傍にいたい。

 第一そんなに離れてたら悪い虫が付いててもおかしくないだろ。

 嫌だな、アメリアも付いてきてくれないかな。


「まあ、通り道じゃし、寄っても構わんが」



 二人はエロ爺さんに別れを告げ、現世へと戻る。

 陽太の服は、魔女が自分の着物を一部切り取り、仕立ててくれた。

 和柄の服はとても格好良く、女性の良い香りがして最高だ。

 それに魔女の裾が短くなって、エッチい感じに足が露出している。

 ――たまらん。


 【世界の穴隙】は瞬間移動のような魔法であるが、幽世との行き来しかできないようだ。

 現世に戻ってきてからは、また魔女の後ろに乗せてもらって空から竜族の国へと向かうことになった。

 ちなみにこの空中浮遊は風属性の上級魔法らしい。

 体感だが、時速二百キロほど出るので騎馬よりもずっと早い。

 もちろん陽太は使えない。

 高速移動だが、天族の島に行けるほどの高さには行けないそうな。

 そして一日のうちに使用できる限度もあるらしい。

 こうして風ヶ岳から幽世へ転移してから山を越え谷を越えると、日が暮れるころには見覚えのある景色が現れた。


「あれは、不死鳥の巣……」


 谷の底から真っすぐに伸びた細長い岩が、荒涼とした大地に影を伸ばしていた。

 魔女に切り取られたキノコ岩の残骸だ。

 言ってる間に竜族の街が見えてきた。


「お前、ここからは一人で行くかや?」

「そうですね、姐さんが一緒だと誤解されそうですし。あ、瞬歩の魔法だけかけといてくれませんか?」

「ほれ」


 魔女はやれやれといった顔で鎌を掲げ、陽太に魔法をかける。

 瞬歩は時属性魔法の初級で、千歩だけ目にもとまらぬ速さで動けるようになる。


「でもいいんですか? 俺、逃げるかもですよ?」

「そんなにわっちとおるのが嫌なのかえ」

「そりゃそうですよ、だって姐さんSっ気ハンパないんですもん。おっぱい触らせてくれないし。俺はハリルやルナと学園生活やり直したいしアメリアとちゅっちゅしてたいです」

「この変態が……勝手にしなんせ」


 魔女はそう言い残し、不死鳥の巣のほうへ飛んで行った。

 ――ま、朝までには戻りますよ。

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