第2話〜お菓子屋少女ランラ〜
【登場人物】真珠色の髪 少女 お菓子屋 【名前】ランラ
【キーワード】「囚人」「夜」「君の願いが叶う事を、祈ってるよ。」
「…クッキー、チョコレート…これで良いかな…」
雪が長い間つもり続けるこの国では、探されにくいという理由で、犯罪者が多く集まる。そのため、囚人も多く居るのだ。
そんな国で、少女がお菓子屋を営んでいた。この国は、知識さえあればある程度の年齢をいけば店を開く権利が与えられる。お菓子屋の少女ランラはその一人だ。もう、3年もお菓子屋をやってはいるが、店を開いたときのランラの歳は、15だった。近所の人たちから祝われ、18歳の誕生日を迎えたランラは、お菓子作りに更に力を入れていた。そして、成人に近くなったランラに国から出された命令は、「囚人達に、お菓子を届けて欲しい」というものだった。国からの命令は、クリアすれば店は更に名が渡る。ランラに課せられたのは、とても簡単なものだった為に、余計に力を入れていたのだ。
怒号や叫び声が響く冷たい牢の間を、綺麗な服装で歩く。 管理人に連れられ、比較的おとなしい人たちがいる囚人牢にまで歩く。ギラギラと光り、睨む目にすくむ体を動かして必死に追いかけていく。
「ここだよ」
そう連れられた牢には、こっちを興味ありげに見る囚人とは思えないほどの少年から青年までの男達がいたのだ。
頑張ってねと背中を押され、冷や汗かきながら歩く。
「…お菓子、どうですか?」
そう、笑い差し出すとこの男グループのリーダー格だろう人が受け取り、口にクッキーを放り込んだ。
味はどうだろうか。自信作だ。美味しいはずだ。グッと目をつむり俯いた。すると、頭に手が乗せられた。
「美味いじゃないかお嬢ちゃん。みんなにも配ってやってくれよ。」
そう、笑うリーダー格の囚人に、ぱあぁっと顔を明るくすると、お菓子入りませんか!と笑いながら、ランラはお菓子を配り始めた。
配り終えた。一息つくと、お礼を言って牢獄を出て行く。すると、牢獄の庭のベンチで星を見ている囚人を見つけた。
一筋に涙を流して星を見上げる囚人にランラは声をかけた。
囚人は、「故郷に友人を置いてきてしまった。早く戻ってやらなくては」と笑っていた。
ランラは、お菓子のカゴを覗いた。そして、余っていたたった一つのお菓子を差し出した。
囚人はそのお菓子を口に含んで、泣きながら食べていた。「友人の味にそっくりだ。早く罪を償って帰りたい。」そう弱音を吐いた囚人の手をランラは取った。しっかりと目を見つめながら笑った。
「貴方の願いが叶うことを、この星空に誓って祈っていますね。」
ありがとうと囚人が笑いかえしたのを確認して、手を離した。それじゃあ、と振り返り走り出した。
早く、皆さんの罪が無くなりますように、そう呟きながら新たにお菓子のイメージを考えて、ランラは満足そうに笑ったのだった。