4頁 初日から、遭遇! 異邦人!
【治草】品質A×3、品質B+×8、品質B×13、品質C+×18、品質C×30
【癒草】品質A×5、品質B+×11、品質B×16、品質C+×21、品質C×36
【元気草】品質A×4、品質B+×9、品質B×18、品質C+×12、品質C×48
【雑草】品質A×62、品質B+×42
本日の戦果、いえ、成果ですね。戦ってませんから。
雑草は、雑草です。品質の良いものは農業組合にもっていくとお小遣いになります。畑にまくための肥料にしたり灰にしたり飼料にしたりするわけです。子供のお小遣い程度の値ですがね。お金は大事ですよ。
ちなみに、レアリティと品質は別物です。
レアリティは、いわゆるレア度で、L、S、R、A〜Gの順に十段階となります。
品質はA〜Gのみになり、それぞれ+がつく時がありますから、全部で十四段階ですね。
レアリティは物ごとに設定されているもので、品質は私たちの行動如何によって変わってきます。スキル【採取】が効いてくるのは品質の方です。私の【採取】スキルレベルは15……
《スキル【採取】のレベルが上がりました》
今の世界の声で上がりましたのでレベル16ですね。まあ、これだけ乱獲すれば、そうなるでしょう。品質Aが出るように細心の中心を払いましたし。けっこう肩や腰に疲労が溜まって来ています。
休憩してから戻りましょうか。
休憩がてら【鑑定】のレベル上げに勤しみましょう。いえ、この広場にある草を全て鑑定してみるだけですけどね。森の木を片っ端からでも良いのですが、見通しが悪くて効率はあまり良くないと思います。
ふむ、広場の一角に『!』の吹き出しが乱立しています。以前来た時も同じ様に全面鑑定していますから、今日までに増えた植物のようですね。近付いて詳細鑑定してみましょう。
!NEW!
【日光麗人】レアリティB
薬草の一種。単体では効力を発揮しない。対となる薬草と調合することで真の効力を発揮する。ある特定の条件下でのみ自生し花を咲かせる。
!NEW!
【月光美人】レアリティB
薬草の一種。単体では効力を発揮しない。対となる薬草と調合することで真の効力を発揮する。ある特定の条件下でのみ自生し花を咲かせる。
《スキル【鑑定】のレベルが上がりました》
薬草の草叢に混ざるこの二つは、テキストでは誤魔化されていますが、樹精霊の領域にのみ自生するものになります。両方共に綺麗な花を咲かせるのが特徴で、その花はレアリティも高く、調合に使用した際薬効が高くなることがわかっています。どちらも蕾が大きく膨らんでいますから、そろそろ咲き頃でしょうかね。顔を覗かせる花弁は、日光草が山吹色、月光草が浅葱色です。
彼がここに根を張ったのが、このゲーム内時間で一ヶ月前。樹精霊はしっかりと根を張った後に自らの領域を形成し、その周りの森を支配下に置くと、自らの領域内の植生に干渉していきます。薬草が生えたり薬草が生えたり、貴重な薬草が生えたりしますね。……それでも、ハイペースな気がします。この二つが自生するようになるまで、大体、半年くらいから一年程かかるはずなんですが。
『モウスグ サク』
採取も付かず離れずの距離にいた樹精霊が横に並び、しゃがみこんで、妹や弟でも可愛がるかのように花を撫でています。咲く、と言うのは日光麗人と月光美人のことでしょう。普通の花であれば今にも開きそうなほどまで蕾が膨らんでいますからね。ですが、これらは、それぞれの名に付く天体が南中にある時にのみ開花しますから、日光美人はもう少しで咲くとしても、月光美人は今日の真夜中頃でしょうね。
「無理をして植生干渉しては、貴方の魔力が足りなくなりませんか?」
『ダイジョウブ
トモエ オニク イッパイ トッテ クル』
ともえ、と言うのは熊さんの名前ですね。相変わらず樹精霊の本体である苗木の隣で丸くなったままです。狩猟してきた魔物を根元に埋めて肥料にしているのでしょうけど、ただ埋めただけではアンデッドに……いえ、セーフティーゾーンでモンスターは発生しませんから、骨がアンデッドになることも無く、大丈夫……ダイジョウブ、デスヨネ?
『デモ チカラ アフレル ヨクナイ
チカラ ツカウ クサ フエル ハコビビト クル
アエテ ウレシイ ウィンウィン』
「ウィンウィンって、何処で覚えたんですが……いえ、それよりも、【新芽の運び人】はもう称号に無いのですが」
『ショウゴウ イラナイ
キオク ノコル
ショクブツ キオクリョク イイ ワスレナイ』
「私としては、私よりも異邦人の方々と親密になって頂きたいのですけど」
『イホウジン ココ タドリツカナイ
モリノ イキモノニ タオサレル』
「……それは、まだ、異邦人の方々がただ単純に弱いか、この森に適応していないかですかね。ですが、そんなことも言っていられないと思いますよ。この森を知っている異邦人もいますからね」
なんて言うのは、フラグになってしまいますかね、やめておきましょうか……と思ったら、時既に遅しだったようです。
『グルルルル……ッ』
ともえさんがのそりと起き上がったかと思えば警戒を露わに低い唸り声をあげ、私の方を……いえ、私の大分後ろの方を睨んでいるようです。振り返って見れば、其処にはどう見ても初期装備のプレイヤーたる異邦人の方々が三人立っていました。
2018/2/25 通知から世界の声に変更